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スポーツ、軍事、航空宇宙領域における倦怠感への栄養介入の効果 メタ解析からわかったこと

航空宇宙や軍事、そしてスポーツでは、精神的倦怠感に適切に対処せずに作業や戦闘、競技を続けた場合、結果に重大な影響が及ぶ可能性がある。では、精神的倦怠感を栄養介入で改善できるだろうか? この疑問をシステマティックレビューとメタ解析により検討した結果が発表された。エナジードリンクには、反応時間を短縮する効果が認められたという。

スポーツ、軍事、航空宇宙領域における倦怠感への栄養介入の効果 メタ解析からわかったこと

倦怠感は時に、結果に重大な影響を及ぼす

長時間のハイレベルな要求に対応し続けた結果、精神的倦怠感を生じる。倦怠感によって、集中力の維持困難、眠気、反応時間の延長、意思決定力やモチベーションの低下などが生じる。これらの変化が結果に及ぼす影響は小さなものではなく、とくにスポーツや軍事、航空宇宙領域では、倦怠感に関する研究が精力的に行われている。

スポーツでは倦怠感がパフォーマンスや競技成績の低下、怪我のリスク上昇につながることが報告されている。軍事関連では、兵士の射撃精度が低下するとの報告がある。航空宇宙領域では、事故の発生リスクを高める懸念がある。このようなリスクをはらむ倦怠感を抑制する方法として、睡眠を含む適切な休息、環境整備によるストレスの低減などが図られる。

それらと並び、栄養介入による倦怠感への対処も有用性が検討されてきている。ただし、倦怠感に対してどのような栄養介入が最も効果的なのかは明らかになっていない。本論文の著者らは、これまでの既報文献を対象にシステマティックレビューを行い、そのメタ解析によって、倦怠感に対する栄養介入の有効性を検討した。

文献検索の方法について

文献検索には、PubMed、Scopus、SPORT Discus、Google Scholarを用い、2000~20年に報告された文献を対象とした。適格基準は、研究参加者の年齢が18~45歳で、認知機能障害のある対象者を含んでおらず、栄養介入による倦怠感への影響を評価し、英語で執筆されている全文入手可能な論文。検索キーワードとして、精神的倦怠感、精神的負荷、スポーツ、運動、栄養、反応抑制、作業記憶、実行機能、持続的注意、実行的注意、感情調節、食事療法、サプリメント、身体的パフォーマンス、認知的パフォーマンス、エルゴジェニック、eスポーツアスリート、軍人、航空宇宙、戦術的パフォーマンスなどを用いた。

PubMedから655報、Scopusから846報、SPORT Discusから1万1,856報、Google Scholarから1,598報、計1万4,995報がヒットし、重複を削除後の1万1,319報を、2名の研究者が独立して論文タイトルとアブストラクトに基づきスクリーニング。125報が抽出され、うち78報は全文が公開されていなかったため、残りの47報を全文精査の対象とした。

反応時間延長に関して一部に有意な結果

最終的に14件の研究報告がメタ解析の対象とされた。それらの研究における栄養介入は、カフェインによるものが6件、炭水化物が4件、エナジードリンクとβ-アラニンが各2件だった。介入効果は反応の作業精度や反応時間などについて報告されており、カフェイン14件、炭水化物6件、エナジードリンク4件、β-アラニン2件だった。

作業精度には有意な影響がみられないが、反応時間はエナジードリンクで短縮

倦怠感に伴う作業精度の低下に対する栄養介入の効果は、カフェインで7件、炭水化物で2件の研究が行われていた。メタ解析の結果はいずれも有意でなく、統合した解析結果も有意でなかった(標準化平均差〈standardized mean difference;SMD〉-0.12〈95%CI;-0.30~0.06〉)。

一方、倦怠感に伴う反応時間延長に対する栄養介入の効果は、カフェインで7件、炭水化物とエナジードリンクで各4件、β-アラニンで2件の研究が行われていた。メタ解析の結果、エナジードリンクでは反応時間の延長が有意に抑制されることが示された(SMD0.64〈95%CI;0.13~1.16〉)。統合した解析結果は有意でなかった(SMD0.07〈95%CI;-0.04~0.18〉)。

エナジードリンクの成分は、カフェインや炭水化物、タウリンなど

反応時間に有意な影響が認められたエナジードリンクに関する研究を詳しくみると、1件の研究は、15名のトレーニング経験の豊富なサイクリストを対象に、カフェイン160mg、炭水化物54g、および、タウリン、朝鮮人参が含まれているエナジードリンク摂取の影響を、プラセボ摂取と比較していた。別の1件の研究では、近代五種競技選手10名を対象に、炭水化物、カフェイン、ガラナを含むエナジードリンクで検討されていた。

以上より、論文の結論では「メタ解析の結果は、エナジードリンクを摂取すると反応時間が改善される可能性があることを示唆している」と述べられている。なお、本研究で検討された栄養介入のほかに、プレバイオティクス、硝酸塩、ω-3脂肪酸、クレアチン一水和物、ケトン塩などの倦怠感に対する影響の報告が検索されたが、データを利用できない、またはデータが不十分なためにメタ解析の対象には含まれなかったとのことだ。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Nutritional Interventions on Accuracy and Reaction Time with Relevance to Mental Fatigue in Sporting, Military, and Aerospace Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis」。〔Int J Environ Res Public Health. 2021 Dec 28;19(1):307〕
原文はこちら(MDPI)

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