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「スポーツには、世界と未来を変える力がある」レガシーとなった東京2020オリンピック・パラリンピック選手村の食事【後編】

「スポーツには、世界と未来を変える力がある」レガシーとなった東京2020オリンピック・パラリンピック選手村の食事【後編】

昨年12月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から公表された、「持続可能性大会後報告書」の中の食品関連の情報をピックアップし2回にわたって紹介している。【前編】では、選手村で試合前の選手がコンディショニングのための飲食に利用するメインダイニングホールでは、大会期間中の食材の処分率が14.5%だったという数値を取り上げた。この「処分率14.5%」という値は、多いのだろうか、少ないのだろうか?

食材廃棄率に関する一つの指標を打ち立てられた

報告書では、比較参照情報として、過去に国内で行われたスポーツ国際大会での食材廃棄率を示している。それによると、2018年の大会では26%、2019年では日ごとに58%、24%、35%と推移していたという。ただし、これらはビュッフェ形式での提供であり、東京2020のメインダイニングホールで行われていた一定量を取り分けての提供とは異なること、東京2020では選手が選手村から外出できない状況であったことなど、条件が不一致なため単純比較はできないとのことだ。しかし報告書では「今後の大会における一つの指標となる数字を提供できたものと考えている」と述べている。

東京2020選手村での具体的な食品ロス対策

東京2020選手村での具体的な食品ロス対策

(出典:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会持続可能性報告書)

大会序盤で大量に発生した弁当の廃棄はどうなったのか?

東京2020では43会場で食品が提供され、総計約160万食に及んだ。コロナ禍という流動的な環境の下、食材の発注は手探りで行われた。それにより大会序盤は弁当の大量処分が発生してしまった。例えば開会式では約1万食の弁当を用意し、そのうち約4,000食がロスとなった。

しかしその後、種々の改善の努力により、弁当のロスは漸減した。7月は非喫食数約19万食、非喫食率24%であったものが、8月には約10万食、15%、9月には約8,000食、8%となったという。そして閉会式では、用意した弁当が約6,000食で、ロスは約200食にとどまったとのことだ。

また、消費期限を過ぎて廃棄せざるを得ないものは、飼料化やバイオガス化のリサイクルに努め、消費期限の長いものについては、フードバンクへ約1,000食を提供した。

持続可能性に配慮した調達

さて、ここまで食品ロスへの対策とその実績を中心にみてきたが、東京2020の食事については、食材の調達にもサステナビリティー(持続可能性)が最大限に配慮されていた。この点については、大会開催前の2019年の段階で、本ニュースコーナーで3回にわたり紹介している。

食材調達のサステナビリティーの評価には、GAP(good agricultural practice.農業生産工程管理)やMSC(marine stewardship council.海洋管理協議会)の基準などが採用された。GAPとは、農業において食品安全や環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程を管理する取り組みのことで、MSCはその水産物版だ。

では、大会開催前の計画は、どの程度達成されていたのだろうか。

特集:未来につなぐ東京オリンピック・パラリンピック
「レガシーとなる選手村の食事メニューが決まるまで」

GAP等の認証・確認率35~99%、国産率60%

食材の調達に際しては、国内で調達できるものは基本的に国産品を使用したという。その結果、選手がリラックスして使用するためのカジュアルダイニングの日本食はすべて国内産を使用できたとのことだ。さらに、東日本大震災被災地で収穫された食材、または都内産の食材を日々活用していたという。

選手村内4つの食事会場で、総計547.6トンの食材が調達され、その60%が国産品だったとのことだ。それでは食事会場、食材別のGAP等の認証・確認率、国産率をみていこう。

メインダイニングホールなど、カジュアルダイニング以外での調達

まず、試合前の選手がコンディショニングのための飲食に利用するメインダイニングホール、テイクアウトや軽食中心のグラブ&ゴー、およびスタッフダイニングでの食材の調達実績をみてみる。なお、これらの施設の規模は以下のとおり。

メインダイニングホール
座席数3,000、最大提供能力4万5,000食/日、提供時間24時間、提供実績約87万食
グラブ&ゴー
座席はなし、最大提供能力1,500食/日、提供時間6~13時、提供実績約5万食
スタッフダイニング
座席数500、最大提供能力1万食/日、朝食・昼食・夕食・夜食間帯に提供、提供実績約30万食

これらの会場では526.5トンの食材が調達され、その国産率は59%だった。食材別では以下のとおり。

GAP等の認証82%、国産82%
野菜
GAP等の認証94%、GAP等の確認6%、国産100%
果物
GAP等の認証59%、GAP等の確認19%、国産41%
肉類
GAP等の認証25%、GAP等の確認35%、国産46%
魚介類
GAP等の認証99%、GAP等の確認1%、国産5%

カジュアルダイニングでの調達

選手がリラックスして使用するためのカジュアルダイニングは、座席数が280、最大提供能力3,000食/日、提供時間は6~10時と11~22時、提供実績は約6万食。21.2トンの食材が調達され、その国産率は前述とおり100%。食材別では以下のとおり。

GAP等の認証92%、GAP等の確認8%、国産100%
野菜
GAP等の認証90%、GAP等の確認10%、国産100%
果物
GAP等の認証64%、GAP等の確認36%、国産100%
肉類
GAP等の認証71%、GAP等の確認29%、国産100%
魚介類
GAP等の認証75%、GAP等の確認25%、国産100%

以上、2回にわたって東京2020の食品・栄養関連のサステナビリティーの実績を紹介してきた。コロナパンデミックによる世界的な危機の中でこのレガシーを残し得た関係者に敬意を表したい。

関連情報

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「持続可能性報告書」
東京2020大会の選手村で使用された食材・産地リストの公表について

特集:未来につなぐ東京オリンピック・パラリンピック
「レガシーとなる選手村の食事メニューが決まるまで」

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