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朝食・夕食を食べない女性は蛋白尿のリスクが高い 大阪大学職員の健診データを解析

大阪大学職員の定期健康診断のデータを解析した結果から、朝食・夕食を食べない女性は蛋白尿のリスクが高いことが報告された。論文が「Nutrients」に掲載されるとともに、同大学のサイトにニュースリリースが掲載された。

朝食・夕食を食べない女性は蛋白尿のリスクが高い 大阪大学職員の健診データを解析

朝食を食べないことはメタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患などの生活習慣病のリスクであるが、腎臓病との関係は明らかではなかった。また、昼食・夕食の摂取頻度と生活習慣病・腎臓病の関係はこれまでほとんど報告されていない。今回の報告では、朝食や夕食をほぼ毎日食べると回答した女性と比較して、そうでないと回答した女性の蛋白尿のリスクは1.3~1.5倍高く、朝食と夕食をしっかり食べる生活リズムを維持することが、腎臓病の予防につながる可能性があることが示唆された。

研究の背景

国内の透析患者数は2018年末時点で34万人であり、透析医療費は全医療費の約4%(1兆6,000億円)を占める。また、腎臓病は透析リスクが高いことだけでなく、心血管疾患のリスクが高く、その点においても予防や治療が重要。

透析患者数および透析医療費を減少させるためには、蛋白尿と腎機能の低下(糸球体濾過量の低下)で特徴づけられる慢性腎臓病の予防策を確立する必要があり、肥満・喫煙等の改善可能な生活習慣リスクの同定が求められる。

研究の概要

大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平氏と同大学大学院医学系研究科腎臓内科学の猪阪善隆氏らの研究グループは、2005年1月~2013年3月に定期健康診断を受診した同大学職員1万113人を2019年3月まで追跡し、朝食・昼食・夕食の摂取頻度と蛋白尿(尿蛋白1+以上)の発症の関係を検討した。蛋白尿は、腎臓病の主要な特徴の一つであり、将来の腎機能の予測因子でもある。

朝食を「ほぼ毎日食べる」と回答した女性4,343人と比較し、「不規則」と回答した女性638人、および「ほぼ食べない」と回答した女性458人の蛋白尿のリスクは、それぞれ1.35倍、1.54倍に上昇していた(図1)。

図1 女性の朝食摂取頻度と蛋白尿リスク

女性の朝食摂取頻度と蛋白尿リスク

(出典:大阪大学)

また夕食に関しても、「不規則」あるいは「ほぼ食べない」と回答した女性職員309人のリスクは、「ほぼ毎日食べる」と回答した女性5,130人の1.31倍だった(図2)。

これにより、朝食あるいは夕食を食べない女性は蛋白尿のリスクが高いことが明らかになった。なお、昼食の摂取頻度と蛋白尿の関係は認められなかった。また男性では、朝食・昼食・夕食いずれの摂取頻度とも、蛋白尿との関連は認められなかった。

図2 女性の夕食摂取頻度と蛋白尿リスク

女性の夕食摂取頻度と蛋白尿リスク

(出典:大阪大学)

本研究成果の意義

本研究により、朝食あるいは夕食を毎日食べない女性では、腎臓病のリスクが高いことが明らかになった。朝食と夕食を毎日しっかり食べる生活リズムを維持することが、腎臓病の予防につながることが期待される。

関連情報

朝食・夕食を食べない女性は蛋白尿のリスクが高いことが明らかに-大阪大学

文献情報

原題のタイトルは、「Frequency of Breakfast, Lunch, and Dinner and Incidence of Proteinuria: A Retrospective Cohort Study」。〔Nutrients. 2020 Nov 19;12(11):3549〕
原文はこちら(MDPI)

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