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特集「主婦の食生活意識調査」(Ajinomoto Monitoring Consumer Survey)
特集「主婦の食生活意識調査」(Ajinomoto Monitoring Consumer Survey)

栄養バランスよりも簡便さが第一に~40年にわたる調査から見る食生活の変化【前編】

栄養バランスよりも簡便さが第一に~40年にわたる調査から見る食生活の変化【前編】

40年以上もの間、主婦の食生活の実情を綿密に調査

国民がどのような栄養を摂取しているのかは、毎年実施されている「国民健康・栄養調査」によって詳細に把握されている。その一方で、国民がどのような『食生活を送っているのか』については、ある一時点の横断的研究の結果は散発的に報告されるが、経年的な変化の解析に用いることが可能なデータは少ない。そのような中、足かけ40年以上にわたって、日本国民の食生活の詳細な調査が実施されているのをご存知だろうか。味の素グループによる「主婦の食生活意識調査(Ajinomoto Monitoring Consumer Survey)」と呼ばれる調査がそれだ。

この調査は同グループが、食生活に関与する女性の意識と食品利用・調理行動などの実態を把握し、商品開発と事業展開に役立てるために行っているもので、本来は社外秘扱いの情報という。ただし、同グループが掲げるミッションの一つである「栄養改善」への取り組みの一貫として、このミッションを最前線で担う管理栄養士・栄養士への情報提供が重要との判断に基づき、今回、結果の一部を提供いただけることになった。一般の方の生活の実態に即した、実践的な栄養指導の一助になるであろうことから、2回に分けて紹介する。

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調査の手法や対象

最初に調査手法等の概要を簡単に解説する。

この調査は1978年に第1回が行われ、1982年以降は3年ごとに実施されている。直近では2018年に第15回目の調査が行われた。

2018年の調査実施地点は沖縄を除く全国210地点で、世帯人員2人以上の2,118世帯の主婦(20~79歳)が回答に協力した。

調査項目は約800問に及ぶが、その中から、最近の食生活の変化の特徴がよく表れている4つの質問に対する回答を取り上げる。

時間に追われて夕食の準備をする人が20代と50代で増加。30~40代は高止まり

最初に紹介するのは、「時間に追われながら夕食の支度をすることがあるか」との質問の回答だ。

経年変化

この質問に、「よくある」「時々ある」と回答した割合は、2006年で既に78%であり、12年後の2018年には82%と経年的に増加していた。年代別にみると、20代と50代で、この12年間でその割合が顕著に増えている。

ただし、30代、40代は2006年時点で既に約9割に達しており、高止まり状態にある。とくに30代では2018年に94%に達し、ほぼ全員が時間に追われながら夕食の支度をしていると言ってよいだろう。

時間に追われて夕食を用意する時【平日】

時間に追われて夕食を用意する時【平日】

(出典:味の素グループ「主婦の食生活意識調査」)

ライフステージ別の回答

2018年調査の回答をライフステージ別に解析すると、就業している主婦(ワーキングマザー)、専業主婦ともに、子どもが成長するにつれ、時間に追われながら夕食の支度をしなければならない人が減る傾向がみられた。また、子どもの年齢にかかわらず、ワーキングマザーは専業主婦よりも時間に追われている実態が明らかになった。

末子が小学生以下のワーキングマザー、および、末子が未就学の専業主婦では、時間に追われながら夕食の支度をすることが「よくある」「時々ある」の合計が9割以上を占めている。

時間に追われて夕食を用意する時【平日】
ライフステージ別

時間に追われて夕食を用意する時【平日】 ライフステージ別

(出典:味の素グループ「主婦の食生活意識調査」)

献立の重点ポイントは「簡単」であることで、「栄養バランス」は下位という現実!

次に紹介するのは、献立を決める時に重視するポイントについて。「栄養バランス」「経済性」「簡単に作れる」「野菜を多くとれる」「子ども(または夫、自分)の好み」などの選択肢から、複数回答可で選んでもらった。

栄養指導にあたる専門職者としては、「栄養バランス」が上位にランクインしてほしいところだが、1位は残念ながら「簡単に作れる(78%)」だった。2012年調査では3位だったのものがランクアップし、1位となった。前問でみたように、時間に追われて食事の支度をしている主婦が増加している以上、仕方のないことかもしれない。

2位は「家にある食材を使う(76%)」(2012年も2位)で、3位には「野菜を多くとれる(74%)」が入った。この「野菜を多くとれる」は2012年には1位であり、栄養指導上は好ましい結果だったのだが、首位から3位に滑り落ちてしまった。

そして4位は「家にある調味料を使う(55%)」であり、5位にようやく「栄養バランス(54%)」が入った。4位と5位は2012年から変わっていない。

6~10位は、「経済性(安いこと)」、「旬の食材をとり入れる」、「子どもの好み」、「夫の好み」、「自分の好み」だった。

献立を決めるときのポイント TOP10

献立を決めるときのポイント TOP10

(出典:味の素グループ「主婦の食生活意識調査」)

年齢層別の回答

この回答を年齢層別にみると、全数解析ではわからない事実も浮かび上がる。ここではまず、20代の回答に注目したい。

20代の主婦が献立の重点ポイントとして挙げたのは、上位から順に「簡単に作れる」、「家にある食材を使う」、「野菜を多くとれる」と続き、このあたりは全数解析と変わりがないが、問題は10位までみても「栄養バランス」がランクインしていないことだ。

さらに、30代では「栄養バランス」がランクインするものの、その順位は8位であり決して高くない。40代では6位、50~60代では5位と、年齢が高くなるにつれて「栄養バランス」が重視されてくるという結果だった。

いずれにしても、適切なエネルギー摂取量とともに栄養指導のメインテーマと言える「栄養バランス」が、一般の人、とくに若い世代では、極めて軽視されていることが明らかだ。

献立を決めるときのポイント 年齢層別TOP10

献立を決めるときのポイント 年齢層別TOP10

(出典:味の素グループ「主婦の食生活意識調査」)

特集「主婦の食生活意識調査(Ajinomoto Monitoring Consumer Survey)」

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「2020年度全国栄養士大会」(81/〜8/31)では、『女性の「食」に対する意識や考え方の現状からバランスよく食べるの指導について考える』をテーマにしたオンライン講演を実施しました。「あじこらぼ」では、鈴木志保子先生の解説とともに、その概要のリポートを公開しています。このリポートをリーフレットにしたPDFのダウンロードも可能です。

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