個人の居住地域や資産状況も、栄養状態やフレイルリスクと関連する
欧州で行われた横断研究から、高齢者の栄養状態とフレイルに有意な相関があることが報告された。また、性別や個人の居住地域、資産状況とも関連があることがわかった。
研究対象は2017年1月から5月の間に高齢者施設に入所した60歳以上の者120名(平均71±9.03歳、女性53.3%、BMI28.2)。除外基準は、中等度以上の認知症、うつ病、四肢麻痺またはリウマチ性疾患により筋力が低下している者など。
MNA®(Mini Nutritional Assessment;簡易栄養状態評価表)を用いて評価した栄養状態は平均24.4点で、64.2%が24点以上で適正と判定されたものの4.2%は栄養障害(17点未満)、31.7%は栄養障害のリスクあり(17~23.5点)と判定された。性別にみると、男性は25.2点、女性は23.7点で、有意差が存在した(p=0.026)。
対象者の居住地域を都市部と農村部に分けて栄養状態を比較すると、農村部居住者において栄養障害およびそのリスク状態と判定された者の割合が有意に高かった(p=0.046)。また資産状況が標準的な群のMNA®平均値は23.7点だったのに対し、資産がより多いグループの平均値は25.2であり、群間に有意差が認められた(p=0.016)。
フレイルの判定はSHARE-FI(Frailty Instrument of the Survey of Health, Ageing and Retirement in Europe)によった。すると33.3%がフレイル、26.7%がプレフレイルとされた。SHARE-FIスコアは、性別(p<0.025)や資産状況(p=0.036)との有意な関係が認められた。
栄養状態とフレイルの間にも有意な関連かみられ(p<0.01)、MNA®が24点以上の群では50.6%が非フレイルであり、フレイルと判定されたのは20.8%にとどまったのに対し、MNA®が17点未満の群では8割がフレイルに該当した。
本研究により栄養障害がフレイルと相関していることが確認されるだけでなく、性別や居住地域、資産状況と栄養状態、フレイルとの関連も明らかになった。
文 献
原題のタイトルは、「Assessment of the relationship between frailty syndrome and the nutritional status of older patients」。〔Clin Interv Aging. 2019 May 3;14:773-780〕