ノルディックスキー選手のオフシーズンのREDsリスク トレーニング増加と炭水化物摂取量のバランスが原因か
エリートレベルのノルディックスキー選手のシーズンオフの食事やトレーニングの変化に焦点を当てた研究結果が、ノルウェーから報告された。24週間にわたり、競技シーズンが近づくにつれて摂取量とトレーニング量が増加していたが、摂取エネルギー量、とくに炭水化物の摂取量の増加はトレーニング量の増加を下回っていたという。REDsとの関連についても検討されている。

ノルディックスキー選手におけるオフシーズンのREDsリスクを探る
ノルディックスキー選手は一般に1年を2~4のサイクルに分割して、トレーニングを行っており、競技期間終了後の初期オフシーズンには、トレーニング量・強度が最も低く、食事・栄養素摂取量も最も少ない。そして次のシーズンが近づくに従い、トレーニング量・強度を増やしていき、食事・栄養素摂取量も増加させていく。
ノルディックスキーの特徴として、高強度の運動を長時間継続し、大量のエネルギーを消費することが挙げられる。このような持久系競技では、消費エネルギー量と摂取エネルギー量のバランスが負に傾きやすく、利用可能エネルギー不足(low energy availability;LEA)やスポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;REDs)のリスクが生じやすい。
しかし、ノルディックスキー選手を対象に行われた過去の研究は、1年間のある一時点のみの食事摂取状況を調査したものが多く、トレーニングの周期化(ピリオダイゼーション)との関係は不明点が残されている。このことから、ノルウェーの若手エリート選手を対象とする、オフシーズンの縦断的調査が実施された。
60人のノルディクスキー選手をオフシーズンの半年間追跡
この研究は、ノルディックスキー選手を対象に異なるタイプのチーズの摂取が、骨ミネラル代謝にどのように影響するかを検討した無作為化比較試験の二次解析として実施された。介入は盲検化された2群に対して行われていたが、本研究では参加者全員を1群として扱った。
参加者は、ノルウェーのソーシャルメディア、競技団体、研究者の人脈を通じて募集された60人(男性と女性が各30人)。食事およびトレーニングに関する情報は、ベースライン時、および介入期間中は8週ごとに、それぞれ4日間連続で記録され、24週間で計4時点のデータが得られた。骨代謝マーカーや、安静時代謝量(resting metabolic rate;RMR)、体組成、心拍数などは介入前後で評価し、かつ項目によっては介入期間の2時点(8週、16週)にも評価した。
摂取エネルギー量、炭水化物摂取量の変化が、トレーニング量増大に見合っていない
介入期間中の脱落、および食事・トレーニング記録の欠落により、解析対象は女性29人(20.3±2.7歳、BMI 22.1±1.7)、男性27人(20.7±2.7歳、BMI 22.1±1.6)となった。
摂取エネルギー・栄養素量の変化
摂取エネルギー量は性別にかかわらず、24週間で有意に増加していた。全体として、ベースラインでは2,471kcal/日であったものが、24週後には3,089kcal/日となり、618±569kcal/日、25.0%の増加だった。
栄養素別にみた場合、タンパク質は107.6±35.5g/日から139.4±37.8g/日へと、31.9±28.2g/日、29.6%増加していた(体重換算では0.40g/kg/日、29.3%増)。それに対して、炭水化物は289.0±111.6g/日から333.5±112.6g/日へと、44.5±76.2/日15.4%、の増加にとどまっていた(体重換算では0.61±1.07g/kg/日、14.8%増)。
トレーニング量およびその他の指標の変化
トレーニング量は性別にかかわらず、ベースラインから8週時点にかけて有意に増加し、その後は有意な変化がなかった。全体として、ベースラインでは10.6±5.5時間/週であったものが、24週後には16.8±5.7/週となり、6.2±5.5時間/週、58.5%の増加だった。
体脂肪率はベースラインが19.5±5.8%、24週後が19.2±6.0%であり、内臓脂肪量は同順に126±93g、118±91gだった。
評価指標間の相関
評価指標間の相関を検討した結果、骨密度、骨代謝マーカー、安静時代謝量(RMR)、除脂肪量の間には互いに正の相関があり、内臓脂肪量とREDsマーカー(代謝指標、体組成など)との間には負の相関が認められた。内臓脂肪量はRMRと骨代謝マーカーと相関していた。
除脂肪量は、体脂肪率、RMR、骨密度、心拍数を含む、複数のREDsマーカーの変動の説明因子であることがわかった。例えば骨密度の変動の24.3%は、除脂肪量とBMIによって説明され、RMRの変動の63.6%は除脂肪量と内臓脂肪量によって説明可能だった。
これらの結果の総括として論文の結論は以下のようにまとめられている。
「ノルディックスキー選手は、競技シーズンに向けての準備期間中、摂取エネルギー量を十分に増やすことができていないようであり、とくに炭水化物摂取量とトレーニング量の変化に大きな乖離がみられる。摂取エネルギー量と骨密度、安静時代謝量、内臓脂肪量、心拍数の相関関係は、エネルギー不足の臨床的影響を強調するものと言える。また、内臓脂肪量や一部の骨代謝マーカーは、REDsへの食事介入をモニタリングするための有望な指標である可能性があり、今後のREDs治療戦略に関する研究で考慮されるべきだろう」。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Seasonal changes in energy intake and emerging indicators of energy availability in young elite Nordic skiers」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2026 Dec 31;23(1):2634184〕
原文はこちら(Informa UK)







熱中症予防情報
SNDJユニフォーム注文受付中!

