スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2026 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

なぜ日本の小学生は睡眠不足なのか? 4,000人超調査で子どもの睡眠負債の実態が判明 大阪大学

4,000人以上の日本の小学生を対象とする調査の結果、平日の睡眠時間は平均9時間16分と短く、睡眠負債が発生している実態が明らかになった。また、学業負担やデジタル機器の使用が平日の睡眠時間を短縮させて睡眠負債を増大させる一方で、「外遊び」や「寝る前のルーティン」は睡眠時間を長くして睡眠負債を抑えることがわかった。大阪大学の研究チームによるもので、「Sleep Medicine」に論文が掲載されるとともに、同大学からプレスリリースが発行された。子どもの睡眠時間を守るには、「寝る前1時間のデジタル機器の使用制限」や「就寝時刻の固定」といった家庭のルールが効果的であるという。

なぜ日本の小学生は睡眠不足なのか? 4,000人超調査で子どもの睡眠負債の実態が判明 大阪大学

研究の概要:日本の小学生4,273人の大規模研究で子どもの睡眠負債が明らかに

大阪大学の研究グループは、日本の小学生の保護者4,273人を対象とした大規模調査により、平日の睡眠不足を補うために週末の睡眠時間が長くなる子どもの睡眠負債の実態と、それを防ぐための家庭の役割を明らかにした。

この研究では、睡眠負債の現象を、週末と平日の睡眠時間差(social sleep restriction;SSR)として分析した。週末に平日の睡眠不足を補うために長く寝る行為は、単なる休息ではなく、平日の睡眠が足りていない証拠であり、SSR自体が肥満、感情のコントロールの難しさ、学業不振といった健康・発達リスクと結びついていることが報告されている。

調査の結果、日本の子どもの平日の平均睡眠時間は9時間16分と短く、多くの家庭で睡眠負債が発生していることが確認された。しかし、「寝る前1時間のデジタル機器使用制限」や「就寝時刻の固定」といった家庭のルールがある場合は、平日の睡眠時間が守られ、結果として健康リスクを伴うSSRも抑えられることが統計学的な分析で判明した。

図 子どもの睡眠に関連する生活習慣

子どもの睡眠に関連する生活習慣

(出典:大阪大学)

研究の背景:日本の子どもはなぜ短時間睡眠なのか

睡眠は、子どもの身体的、認知的、情緒的機能の維持に不可欠だが、日本の子どもの睡眠時間は世界的にみて短く、小学生の平均睡眠時間は、推奨される9〜11時間の下限に近い。日本では、宿題や夜遅くまで明るい照明の下で学習する「塾」などの学業負荷が睡眠不足の一因となっている。そのほかに、タブレットやスマートフォン等の急速な普及により、就寝前のデジタル機器使用が増加しており、家庭内のルール作りが追いついていない現状も睡眠不足の一因となっている。

また、日本では7割以上の小学生が大人と寝室を共有する習慣があるが、これが小学生の睡眠に与える影響については十分に解明されていなかった。

研究の内容:習い事、就寝前のデジタル機器使用、大人との寝室共有などが関与

本研究では、2023年11月から2024年3月にかけて、日本の小学生(6〜12歳)の保護者4,273人を対象にウェブ調査を実施した。

小学生の平日の平均睡眠時間は9時間16分で、宿題や習い事(塾など)、就寝前1時間のデジタル機器使用、および「大人との寝室共有」が、平日睡眠時間の短縮に関連していた。デジタル機器の種類としては、テレビでの動画視聴に比べると、双方向性かつ近距離で使用するタブレットやスマートフォンの影響が顕著だった。一方で、読み聞かせや読書などの就寝前のルーティンや外遊びは、平日睡眠時間を長くする方向に関連していた。

週末と平日の睡眠時間差(SSR)に関しては、平均は30分であり、2時間以上のSSRが6.6%の子どもに認められ、平日の睡眠不足がSSRに強く関連していることが明らかになった。

「寝る前のデジタル機器の使用制限」や「就寝時刻の固定」といった家庭のルールは、平日睡眠時間を増やし、SSRを減らす効果が認められた。大人との寝室共有は、睡眠を短くする一因となる一方で、寝る前のルーティンを促進したり、週末の過度の寝坊を抑えたりする効果も認められた。

本研究成果の意義:睡眠を「子どもの権利」として守る視点が必要

週末の長時間睡眠は単なる休息ではなく、平日の睡眠不足のサインと言える。本研究では、子どもの健やかな発達のためには、睡眠を「子どもの権利」として守る視点が必要であることを示唆している。

塾通いや寝室の共有などの文化的な背景を変えることは容易ではないが、デジタル機器を就寝前1時間は使わないことや就寝時刻の固定といった家庭内のルールづくりが、デジタル化や学業負荷の中でも子どもの睡眠を守る「盾」として、極めて重要であることが本研究で明らかにされた。

関連情報

\日本の子どもの睡眠不足を救おう/ 就寝前デジタル機器制限と就寝時刻固定が 子どもの睡眠を守る(大阪大学)
大阪大学大学院 連合小児発達学研究科小児発達学専攻「こころの発達神経科学講座 環境行動小児科学領域」

文献情報

原典論文のタイトルは、「Do caregiver cooking skills boost adolescent resilience and prosocial behavior? Results from a population-based longitudinal study in Japan」。〔Sleep Med. 2026 Oct:146:109054〕
原文はこちら(Elsevier)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2026後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ