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ラジオ体操で「フレイルまたはプレフレイルの高齢者」の敏捷性、バランス、持久力が向上 RCTの検証結果

ラジオ体操の実践が、フレイルやプレフレイルに該当する高齢者の敏捷性・バランス、持久力の向上、運動を継続する自信の維持に有益であることがわかった。株式会社かんぽ生命保険、東京都健康長寿医療センター、東京医科大学、全国ラジオ体操連盟が共同研究として行ったRCTの結果であり、「Journal of Epidemiology」に論文が掲載されるとともに、プレスリリースが発行された。

ラジオ体操で「フレイルまたはプレフレイルの高齢者」の敏捷性、バランス、持久力が向上 RCTの検証結果

もうすぐ生誕100年を迎えるラジオ体操の歴史

ラジオ体操は、1928年にかんぽ生命の前身である逓信省簡易保険局によって制定され、2028年には生誕100年を迎える。制定時に掲げられた「ラジオ体操によって国民が健康になり、寿命が伸び、幸福な生活を営むことができるように」という想いが現在も継承されていて、これまでにラジオ体操を通じた社会貢献活動として、さまざまな取り組みがなされてきている。

超高齢社会を迎え、人々が人生の長い期間にわたり質の高い生活を維持するための取り組みが重要視されるようになった日本において、ラジオ体操のさらなる普及・促進によって健康寿命の延伸、生きがいを持てる社会の実現が期待されている。

研究の目的:ラジオ体操の効果を科学的に検証する

ラジオ体操は、「いつでも、どこでも、誰でも」手軽に行えるだけでなく、関節や筋肉の柔軟性、バランス能力、下肢筋力、調整力、全身持久力など健康を維持するために必要な体力要素がバランスよく入っていて、ラジオ体操の習慣化は、健康寿命の延伸に寄与すると考えられている。しかしながら、かんぽ生命が2024年8月に実施した一般消費者調査では、ラジオ体操の国内での認知率は88.2%と高い一方で、1週間に1回以上行っている人の割合は12.1%にとどまることが示された。

図1-1 ラジオ体操の認知率

ラジオ体操の認知率

(出典:東京都健康長寿医療センター)

図1-2 ラジオ体操の実施率

ラジオ体操の実施率

(出典:東京都健康長寿医療センター)

図1-3 ラジオ体操の実施率【性・年代別比較】

ラジオ体操の実施率【性・年代別比較】

(出典:東京都健康長寿医療センター)

この状況を踏まえ、医学的な検証結果に基づくラジオ体操の健康効果に関する認知度を高め、一人でも多くの人にラジオ体操を継続的・習慣的に行ってもらうことを意図して、本共同研究が実施された。

研究の方法:RCTで12週間介入

図2 研究の方法

研究の方法:RCTで12週間介入

(出典:東京都健康長寿医療センター)

ラジオ体操がフレイルまたはプレフレイル※1の高齢者の健康関連QOL※2、運動能力、運動セルフエフィカシー※3に及ぼす効果を、介入期間12週間のランダム化比較試験(RCT)※4により検証した。

※1 フレイル、プレフレイル:フレイルは「Frailty(虚弱)」から作られた言葉で、機能的な能力が低下し、要介護状態に陥る危険性が高い状態のことを指す。プレフレイルはフレイルの前段階。
※2 健康関連QOL(Quality of Life):個人の生活の質を身体的、精神的、社会的な側面から多次元的に評価した概念。
※3 運動セルフエフィカシー:運動を継続できる自信を指す。
※4 ランダム化比較試験(RCT):ランダム化比較試験は、対象者を二つのグループに無作為に分け、対象者の背景情報を均質にする。そうすることで、ラジオ体操の効果を厳密に検証することができる。

研究の結果:ラジオ体操介入で、動的バランス、持久力などに対照群と有意差

本研究の結果、ラジオ体操の実践は、フレイルまたはプレフレイル高齢者の敏捷性・バランス、持久力の向上、運動を継続する自信の維持には有益であることがわかった。一方で、健康関連QOLの改善には、12週間の実践では有意な差はみられなかった。

図3 研究の結果

研究の結果:ラジオ体操介入で、動的バランス、持久力などに対照群と有意差

(出典:東京都健康長寿医療センター)

プレスリリース

ラジオ体操の健康効果に関する共同研究の結果について(株式会社かんぽ生命保険)

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Radio-Taiso on Health-related Quality of Life in Older Adults With Frailty: a Randomized Controlled Trial」。〔J Epidemiol. 2024 Oct 5;34(10):467-476〕
原文はこちら(J-STAGE)

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