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書誌分析で明らかになった2000年以降のスポーツ・運動におけるサプリメント研究の傾向

スポーツ・運動領域でのサプリメントに関する研究の傾向についての書誌分析の結果が報告された。中国の研究者らによる論文で、国別では米国、研究機関ではオーストラリアスポーツ研究所発の論文が最多であり、掲載ジャーナルは「Nutrients」が最多であって、インスリン抵抗性、スポーツ栄養、炎症、α-リノレン酸、女性、腸内細菌叢などが現在の主要なトピックだという。

サプリメントへの異物混入の現状と安全なサプリ摂取の推奨事項 ナラティブレビュー

この研究では、Web of Scienceコアコレクションに、2001年の年初から2024年3月8日に収載された論文を対象として、スポーツや運動に関連する栄養補助食品(nutritional supplements for sports and exercise;NSSE)に関する英語論文を検索した。ヒットした5,061から包括基準を満たす1,744報を解析対象とした。科学研究のパターンや傾向を視覚的な表示が可能なソフトを用いるなど、多面的な解析を行った。結果の一部を紹介する。

論文数の経年的な増加傾向:2018年以降に爆発的な増加

合計1,744報の報告年に着目すると、2000~07年は第1段階にあたり論文数が徐々に増加していた。2007~13年の6年間は第2段階にあたり、論文数の増加が加速していた。2013~17年の4年間は第3段階といえ、増加がやや停滞していた。そして2017~2024年の第4段階には論文数が急増し、2023年には170報に達していた。

2000~07年の年間成長率は16.26%であった。

研究が行われた国や被引用件数の傾向:米国がトップで2位の英国の3倍

研究が行われた国別に比較すると、トップは米国で575報であり、2位の英国の194報の約3倍だった。3位以下は、オーストラリアが190報、カナダ156報、スペイン153報、ブラジル124報、イタリア97報、ドイツ74報、中国70報、オランダ60報だった。大陸ごとにみると、アジアでは中国、南米ではブラジルが最多だった。

研究者間の協力関係をみると、米国は英国、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、スペインと密接につながっていた。欧州と北米、オーストラリアのつながりも強固に認められた。

被引用論文の数の増加を意味するバースト値は、中国が9.24でトップであり、2位は7.23の英国、3位はカナダ6.83、4位は米国5.44などであり、そのほかにクロアチア、コロンビア、スロベニア、チリ、エジプト、タイなども被引用回数が増加していた。

なお、被引用回数が最多の論文は、2016年に「Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics」に掲載された、「Position of the Academy of Nutrition and Dietetics, Dietitians of Canada, and the American College of Sports Medicine: Nutrition and Athletic Performance(栄養学アカデミー、カナダ栄養士会、米国スポーツ医学会の立場:栄養と運動パフォーマンス)」だった。

論文数の多い研究機関・研究者:オーストラリアスポーツ研究所がトップ

論文著者の所属研究機関別に論文数を比較すると、トップはオーストラリアスポーツ研究所で58報、次いで英オックスフォード大が30報、3位は米フロリダ州立大だった。研究機関の所在地でみた場合、上位10機関のうち6機関は米国、3機関がオーストラリアであり、米国、オーストラリア以外で唯一トップ10に入ったのは、ブラジルのサンパウロ大だった。

研究者別にみると、1位と2位は研究機関の順位と同様に、オーストラリアスポーツ研究所、英オックスフォード大の研究者だったが3位には英国の民間企業(Performance Influencers社)の研究者がランクインした。そのほかの多くは大学に在籍する研究者だったが、7位は米陸軍研究所の研究者だった。

掲載ジャーナルの比較:トップはNutrients

栄養補助食品(NSSE)関連の論文が最も多く掲載されていたジャーナルは「Nutrients」であり、262報が掲載されていた。なお、同誌はスイスのMDPI社によるオープンジャーナルで、インパクトファクター(impact factor;IF)は5.9。

論文掲載数の多いトップ10のジャーナルのうち、米国と英国の出版社または機関が各4件で、残り2件はスイスの出版社または機関の発行だった。それらのうち最もIFが高いジャーナルは、IF18.6の英国スポーツ医学協会発行「British Journal of Sports Medicine」だった。

頻度の高い共起キーワード:身体活動、エクササイズ、サプリメントが上位三つ

頻繁に用いられている共起キーワードは、身体活動(physical activity、376件)、エクササイズ(exercise、296件)、サプリメント(dietary supplements、258件)が上位三つであり、以下、パフォーマンス、健康、体組成、骨格筋、リスク、酸化ストレス、補充(supplementation)が続いた。

高頻度共起キーワードの傾向性の分析から、2022年以降に炎症や腸内細菌叢に関する研究が増加していることが示唆された。

文献情報

原題のタイトルは、「Global hotspots and trends of nutritional supplements in sport and exercise from 2000 to 2024: a bibliometric analysis」。〔J Health Popul Nutr. 2024 Sep 12;43(1):146〕
原文はこちら(Springer Nature)

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