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十代の子どもの朝食の摂取頻度は生活満足度と関連 世界42カ国15万人超の調査

子どもの朝食摂取頻度が生活に対する満足度と関連のあることが、42カ国、15万人超の調査の結果、明らかになった。著者らは、「因果関係は依然として不明だが、子どもの朝食欠食を防ぐ取り組みの重要性が強調される」と述べている。

十代の子どもの朝食の摂取頻度は生活満足度と関連 世界42カ国15万人超の調査

幸福感が著しく低下しやすい十代を対象に、朝食摂取頻度と生活満足度との関係を検討

複数の研究により、思春期には幸福感が著しく低下することが示唆されている。この変化には、生物学的な要因と心理社会的な要因が関係していると考えられている。他方、食習慣が若年者の生活満足度と関係していることが報告されており、なかでも朝食を抜くことが、抑うつやストレスの強さと関連しているとするエビデンスがある。それにもかかわらず、近年、多くの国で朝食をスキップする子どもたちの増加が報告されている。

この研究は、欧州、中央アジア、カナダで学校に通う思春期の子ども・若年者の健康に関する国際共同研究「Health Behavior in School-aged Children;HBSC」のデータを用いて行われた。42カ国(日本は含まれていない)の10~17歳の就学児童と青少年、計15万5,451人の調査結果が横断的に解析されている。

42カ国、15万5,451人の横断的解析

HBSCの調査対象校・対象者は無作為に抽出され、調査は母国語、回答は匿名で行われている。42カ国の中には、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、イングランド、ウェールズ、エストニア、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、イタリア、カザフスタン、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スコットランド、セルビア、スペイン、スウェーデン、ウクライナなどが含まれている。なお、この調査に日本は参加していない。

朝食の摂取頻度に関する質問は「通常、どの程度の頻度で朝食(牛乳またはフルーツジュース1杯以上)を摂るか?」という質問で、1週間に朝食を摂る回数を把握した。生活に対する満足度は、0~10のビジュアルアナログスケールで、考え得る最高の満足度を10点、考え得る最低の満足度を0点としてスコア付けしてもらった。

そのほかに、共変量として、年齢、性別、BMI、身体活動(60分以上行う日が週に何日か)、朝食摂取量、果物・野菜・加糖飲料の摂取量、家族との食事の頻度、社会経済的地位(自分寝室・自家用車・食洗器・バスルームの有無、パソコンの台数、過去1年での海外旅行数などで評価)などを把握した。

朝食摂取頻度が生活満足度と有意に関連

生活満足度の平均は7.8±1.9点だった。これを1週間の朝食摂取頻度別にみると、0日(全く食べない)では6.9±2.4点、1日では7.0±2.2点、3日では7.5±2.0点、4日では7.5±1.9点、5日では7.6±1.9点、6日では7.7±1.8点、7日(毎日食べる)では8.1±1.7点だった。

共変量(性別、年齢層、BMI、社会経済的地位、果物摂取量、野菜摂取量、ソフトドリンク摂取量、スイーツ摂取量、朝食摂取量、家族での食事の頻度、身体活動習慣)で調整すると群間差はやや縮小したが、依然として朝食摂取頻度が高いほど生活満足度が高いという有意な関係が維持されていた(傾向性p<0.001)。調整後の各群のスコアは0日から順に、5.7点、5.8点、6.1点、6.1点、6.1点、6.2点、6.2点、6.4点。

調査した42カ国すべてにおいて、生活満足度は朝食を毎日食べる参加者よりも朝食を全く食べない参加者で低かった。生活満足度が最も高かったのは、朝食を毎日食べるポルトガルの参加者であり(7.7点)、反対に生活満足度が最も低かったのは、朝食を全く食べないルーマニアの参加者だった(3.5点)。

子どもたちの朝食摂取を推奨すべき新たなエビデンス

以上の結果を基に論文の結論は、「子どもや若年者の場合、朝食の頻度が高いほど生活満足度が高くなるという、ほぼ直線的な関係が認められた。十代という重要な年齢段階における朝食摂取の健康上のメリットを考慮すると、子どもや若年者に対して朝食摂取を推奨することの意義が強調される。ただし、この因果関係は明らかではなく、考慮されていない他の要因が生活満足度に影響を与えている可能性があるため、この推奨事項は慎重に解釈する必要がある」とまとめられている。

なお、朝食摂取頻度と生活満足度との間に有意な関係が存在し得る理由として、以下の4点が考察として述べられている。

まず、朝食の欠食は十代に限らず、すべての年齢層で、ストレス、抑うつ、精神的苦痛を有する割合が高いことと関連していることが報告されているとしている。次に、朝食に含まれる必須栄養素、とくにビタミンやミネラルの役割が考えられ、朝食はそれらを摂取する重要な機会であるという。三つ目には、朝食を習慣的に摂取することは、生活スタイル全体が健康的であることにつながる可能性があるとのことだ。

そして四つ目の理由として、朝食摂取と学業成績の関係を挙げている。過去の研究で、朝食を摂取している子どもは学業成績が良いことが報告されており、これには認知機能に必要なエネルギーと栄養素が朝食によって供給され、集中力、記憶力、学習能力が向上することの関与が想定されており、欠食によりそのメリットを得られなくなることが、生活満足度の低下につながるのではないかとのことだ。

文献情報

原題のタイトルは、「Is the frequency of breakfast consumption associated with life satisfaction in children and adolescents? A cross-sectional study with 154,151 participants from 42 countries」。〔Nutr J. 2024 Jul 16;23(1):78〕
原文はこちら

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