世界アンチドーピング機構が2020年の規則違反報告を公開 新型コロナのため違反件数が半減
世界アンチドーピング機構(World Anti-Doping Agency;WADA)は5月29日、2020年のアンチドーピング規則違反報告書を公開した。2020年に確認された規則違反は935件であり、2018年の1,923件、2019年の1,914件などに比べて半減した。これはもちろん、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響によるもの。検査件数に対する規則違反と認定された割合は、例年と変化がなかった。
2020年のアンチドーピング規則違反は千件弱で、例年から半減
世界アンチドーピング機構(WADA)によるこの報告書の発表は今回で8回目。2020年中に実施さたれ検査および調査の結果の報告。2020年には述べ14万9,758件のサンプルが収集・分析された。これらのうち、1,007件(0.67%)が有害と評価された(adverse analytical finding;AAF)。
分析結果が有害と評価された1,007件のAAFのうち、2021年1月31日までに、672件(66%)が制裁の対象と判定され、113件(11%)は治療使用特例(therapeutic use exemption;TUE)を含む正当な医学的理由があると判定された。また、138件(14%)は医学的理由以外の正当な理由があると判定された。4件(1%)は、競技者がアンチドーピング規則違反を犯していないことが証明され「制裁なし」となった。他の80件(8%)は継続審査中。
結果として、現時点で2020年に確認されたアンチドーピング規則違反は935件であり、91カ国、67種類の競技アスリートまたはサポートスタッフが関与していた。このうち、672件はアンチドーピング検査の結果が陽性であることから違反が見いだされ、他の238件のアスリート、および25件のサポートスタッフの違反は、規則違反に関する調査のエビデンスに基づき判定された。
COVID-19パンデミックの影響のため、規則違反の件数は例年に比べて半減した。ただし、検査件数に占める規則違反と判定された件数の割合は、例年と同等だった。
関連情報
世界アンチドーピング機構(WADA)が2019年の規則違反報告書と2020年のテスト件数を公開
規則違反の76%が男性アスリート
規則違反と判定された672件を性別にみると、男性508人(76%)、女性163人(24%)だった。
検体の分析結果が有害と評価された1,007件のAAFのうち、686件(68%)は競技会内で採取された検体から報告され、そのうち486件が違反と判定された。321件(32%)は競技とは別の機会に採取された検体から報告され、そのうち184件が違反と判定された。
違反判定の多かった上位10位の競技や国は以下のとおり。
競技 | 件数 | 上位10種目に 占める割合 | |
---|---|---|---|
1 | 陸上競技 | 107 | 16% |
2 | 自転車 | 94 | 14% |
3 | 重量挙げ | 89 | 13% |
4 | パワーリフティング | 83 | 12% |
5 | ボディービル | 77 | 11% |
6 | 総合格闘技 | 74 | 11% |
7 | フットボール | 67 | 10% |
8 | レスリング | 44 | 6% |
9 | 水泳 | 26 | 4% |
10 | ボクシング | 25 | 4% |
国 | 件数 | 上位10カ国に 占める割合 | |
---|---|---|---|
1 | ロシア | 135 | 30% |
2 | インド | 59 | 13% |
3 | 米国 | 57 | 13% |
4 | イタリア | 47 | 10% |
5 | ウクライナ | 39 | 9% |
6 | 中国 | 25 | 6% |
7 | ブラジル | 23 | 5% |
8 | フランス | 23 | 5% |
9 | カザフスタン | 22 | 5% |
10 | ルーマニア | 21 | 5% |
ニュースリリース
2020年アンチドーピング規則違反報告書(世界アンチドーピング機構(WADA) )