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米国農務省が学校給食を改善 糖と塩を減らして全粒穀物を増加

米国農務省(United States Department of Agriculture;USDA)はこのほど、学校給食の栄養価を改善するためのプログラムを発表した。科学的エビデンスに基づいて今後、段階的に更新していくことを提案し、また、小規模または地方の学校に財政的な支援を行うという。

米国農務省が学校給食を改善 糖と塩を減らして全粒穀物を増加

バイデン政権の「食事関連の疾患を減らす」という目標達成に向けて

USDAのTom Vilsack長官は、「我々の学校給食プログラムへの取り組みは、我々全員が共有する共通の目標から生まれたものだ。それは、子どもたちの健康を維持し、彼らの可能性を最大限に引き出す一助となることだ。多くの子どもたちが必要な栄養素を摂取できておらず、食事に関連する疾患が増加している。ある研究によると、学校給食はほとんどの子どもにとって1日で最も健康的な食事であり、子どもたちが明るい未来に必要な栄養を摂取できるようにするための重要なツールであることが証明されている。飢餓、栄養、健康に関する国家戦略に従って、2030年までに飢餓を終わらせ、食事関連の疾患を減らすというバイデン政権の目標を達成するためには、我々全員が子どもの健康を支援するために力を合わせなければならない。学校給食を強化することは、その目標を達成するための最良の方法の一つである」と語っている。

また同長官によると、USDAは今後も以下の三つの方法を通じて、子どもたちの健康と生活の質を向上させる取り組みを引き続き支援していくとしている。三つの方法とは、1)学校給食における科学に基づく栄養基準の段階的な更新の提案、2)栄養の質がより一層向上した学区の表彰、3)学校給食の栄養の質を改善するため、小規模および地方の学区の支援。

これらの取り組みは、飢餓、栄養、健康に関する米国の国家戦略の一部であり、バイデン大統領が主催した50年以上ぶりの飢餓、栄養、健康に関するホワイトハウス会議に合わせて、2月28日に発表された。

学校給食基準の更新案の骨子

米国の法律に基づき、USDAは学校給食プログラムを通じて提供される食品と飲料の基準を設定する必要がある。これには「米国人の食事ガイドライン」に沿った栄養基準が含まれる。学校栄養学の専門家は、これらの基準に適合し、地域ごとの好みを反映した食事を開発する。研究によると、これらの基準は良好な栄養摂取を促進するのに効果的であり、学校給食を食べる子どもたちは果物、野菜、乳製品などの栄養価の高い食品を摂取する可能性が高くなる。

参考情報「米国人の食事ガイドライン」

USDは昨年、2022~23学年度および2023~24学年度の栄養基準を発行した。パンデミックに伴い一時的に用件が緩和されてはいるが、学校に明確なガイダンスを提供している。これに基づき、米国食料栄養局(Food and Nutrition Service;FNS)は、科学的エビデンスに基づく新たな基準を、学校栄養学の専門家、公衆衛生と栄養学の専門家、部族国家のパートナー、および食品業界に向けて提案している。

この提案の骨子は以下の4点。

  • まず、いくつかの高糖度製品の添加糖を制限し、その後、メニュー全体で添加糖を制限していく。
  • 特定の条件でフレーバーミルクを許可し、砂糖の添加を合理的に制限していく。
  • 今後、長期間にわたって、ナトリウム制限を段階的に厳格にしていく。
  • 主に全粒穀物製品の利用を推進し、時に、非全粒粉製品のオプション選択を示す。

FNSはさまざまなオプションを提案し、実践的かつ現実的に実施すると同時に、子どもの健康を改善するという目標を最もよく達成するための意見(パブリックコメント)を求めている。より健康的な学校給食は、学校栄養の専門家、保護者、生徒、学校給食パートナー、食品業界など、関係者全員が協力することで可能になる。飢餓、栄養、および健康に関するホワイトハウス会議でのコミットメントを基に、USDAはパートナーに対し、より健康的な学校給食を通じて子どもたちの健康をサポートすることを奨励している。パブリックコメントは、2023年2月7日から60日間募集中。

改善案の具体的な内容

糖について

2025~26学年度には、加糖シリアル、ヨーグルト、フレーバーミルクなどの高糖度食品の制限が始まり、添加糖の制限も必要になる。例えば、チョコレートミルクの8オンス(約240mL)の容器に含まれる砂糖は10gまでとされる。現在、一部の人気のあるフレーバーミルクには、その2倍の砂糖が含まれている。

また、この計画では、朝食時にマフィンやドーナツなどの甘い穀物デザートを週2回までに制限している。2027年の秋までには、学校給食で添加可能な糖分は、朝食と昼食の1週間あたりの総カロリーの10%未満に制限される。

塩分(ナトリウム)について

この提案では、2029年の秋までに学校給食のナトリウムを30%削減することも予定されている。14歳以上の場合、1日あたりのナトリウム摂取量を約2,300mgに制限することを推奨する連邦政府のガイドラインに沿って、段階的に減量される。

なお、上記のほかにUSDAは、学校給食の栄養の質を改善する活動に1億ドルの財政支援を行っている。その支援を基に、栄養の質を大幅に改善した学区の認定や、栄養の質を改善するための小規模および農村の学区への助成金の交付などを進めていく。

関連情報

USDA Announces Steps To Improve Child Health through Nutritious School Meals(米国農務省)
New rules would limit sugar in school meals for first time(AP通信)

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