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子どものジャンクフード摂取量と関連する因子とは? 学校以外でのスポーツへの参加とは負の関連

子どものジャンクフードの摂取量と関連のある因子を探る研究の結果が報告された。教師からの影響を強く受けている子どもや、学校以外でもスポーツ活動に参加している子どもは、交絡因子を調整後もジャンクフードの摂取量が少ないという。反対に親の食習慣が良くないことは、子どものジャンクフードの摂取量と正の関連があったとのことだ。ギリシャからの報告。

子どものジャンクフード摂取量と関連する因子とは? 学校以外でのスポーツへの参加とは負の関連

何が子どもの肥満を助長しているのか?

世界保健機関(World Health Organization;WHO)は、世界の5~19歳の未成年のほぼ5人に1人が肥満か過体重であり、毎年130万人ずつ増加しているとしている。小児肥満の原因を一つに絞り込むことはできないが、最も重要なこととして、果物や野菜の摂取不足とともに高カロリーのスナックやジャンクフードの過剰摂取が指摘されている。肥満の子どもの摂取エネルギー量の約20%がジャンクフード由来だとする報告もある。

食習慣と食べ物の好みは小児期に形成され成人期に引き継がれることが多いため、小児期の肥満につながる因子を特定し、それに対する介入戦略を確立することが、世界的に急務の課題となっている。この状況を背景として、今回紹介する論文の著者らは、ギリシャ国内の小学校を対象とする学校ベースの横断研究によって、子どもの肥満と関連のある因子を検討した。

1,700人の児童とその親1,200人での横断調査

対象は、アテネおよびギリシャ南部の大都市に所在する47の小学校で、それらは同国教育省のリストから無作為に抽出された。なお、調査の実施時期は新型コロナウイルス感染症パンデミック前の2014~16年。

47校の小学5年生と6年生(10~12歳)1,728人にアンケートへの回答が求められた。除外基準は設けず、原則全員から回答を得た。回答率は学校または地域により95~100%の範囲だった。回答の不備を除外し、最終的に1,718人の子ども(11.2±0.8歳、女児54%)の回答を解析対象とした。

このほか、対応する親にも調査協力を依頼し、1,190人(父親の場合45.8±5.2歳、母親の場合41.5±4.4歳)から有効回答を得た。

食習慣は地中海食を基準に判定

子どもの食習慣は、未成年者対象の地中海食遵守状況の評価指標(Mediterranean Diet Quality Index for children and adolescents;KIDMED)を用いて評価した。これは、-4~12点のスコアで判定し、3点以下は非常に低品質、4~7点は改善の余地あり、8点以上は高品質の地中海食と判定される。一方、親の食習慣は、地中海食パターンへの順守レベルの評価指標(Mediterranean Diet Score;MDS)を用いて、0~55点の範囲で評価。25点以下は地中海食らしくない食事スタイル、25点超は地中海食らしい食事スタイルと判定した。

このほか、子どものスポーツクラブへの参加やジョギング、水泳など、学校以外での身体活動の実施状況、ライフスタイルに最も影響を与えている存在(親や親戚、教師、級友、広告)、親と子どものジャンクフードの摂取状況、親の年齢、BMI、教育歴、収入などを把握した。

親への調査結果の多くが子どものジャンクフード摂取量に関連

結果についてまず、子どものジャンクフードの摂取量の三分位で3群に分けて比較すると、摂取量の多い群ほど男児の割合が高く、地中海食スコア(KIDMED)が低く、KIDMEDにより低品質の食習慣と判定された子どもの割合が高いという有意な関連が認められた。BMIや肥満該当児童の割合は、有意水準には至らないもののジャンクフードの摂取量が多い群ほど高い傾向にあった。

次に、親への調査結果との関連をみた場合、ジャンクフードの摂取量が多い群の子どもの親は、地中海食の高い順守者(MDSが25点超の割合)が少ないという有意な関連が認められた。また、父親か母親のどちらか(または両方)が喫煙者の場合、子どもがジャンクフード摂取量の高位群に該当する割合が有意に高かった。

スポーツへの参加はジャンクフードの摂取量が少ないことと有意に関連

続いて、子どもの年齢、性別、親の年齢、性別、BMI、身体活動習慣、教育歴、収入、および地中海食遵守状況(MDS)を調整後、子どものジャンクフードの摂取量の第1三分位群(ジャンクフード摂取量の少ない下位3分の1)を基準として、第3三分位群(ジャンクフード摂取量の多い上位3分の1)に該当するオッズ比を検討。その結果、以下のように、子ども本人に関連する因子と、親の食習慣との関連が浮かび上がった。

子ども本人に関する因子

子ども本人が「ライフスタイルは教師から影響を受けている」と回答した場合、ジャンクフード摂取量が多い群に該当するオッズ比が有意に低かった(OR0.69〈95%CI;0.52~0.92〉)。また、学校以外でのスポーツ活動に参加していることも、同様の関連が認められた(OR0.55〈0.41~0.74〉)。反対に、「広告からライフスタイルの影響を受けている」と回答した子どもは、ジャンクフード摂取量が多い群に該当するオッズ比が有意に高かった(OR1.45〈1.02~2.08〉)。「級友から影響を受けている」と回答した子どもについては、ジャンクフード摂取量との有意な関連がみられなかった。

親の食習慣との関連

親のジャンクフードの摂取頻度が低い場合、子どもがジャンクフード摂取量の多い群に該当するオッズ比が有意に低かった(親のジャンクフード摂取頻度が「低」でOR0.14〈0.09~0.23〉、頻度「中」でOR0.27〈0.17~0.45〉)。そのほか、外食の頻度が高いこと、食事のデリバリーの利用頻度が高いこと、地中海食遵守状況(MDS)が低いこと、BMIが高いこと、家族一緒の食事の頻度が少ないことは、すべて、子どもがジャンクフード摂取量の多い群に該当するオッズ比の高さと有意な関連が認められた。

著者らは、「親と教師の双方が、未成年者のジャンクフードの摂取量に影響を及ぼしているようだ。また、広告の有害性が本研究からも改めて確認された。級友の影響は重要ではないようだ」と結果を総括。そのうえで、「公衆衛生の観点から、健康的な食習慣を促進するための家庭環境と教師の役割の両方をよく考慮する必要がある。また、テレビなどの広告が子どもの食生活に及ぼす悪影響に関して、利害関係者は責任を負うべきだろう」と結論で述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Association of Junk Food Consumption with Preadolescents’ Environmental Influences: A School-Based Epidemiological Study in Greece」。〔Children (Basel). 2022 Dec 2;9(12):1891〕
原文はこちら(MDPI)

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