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老化を前向きに捉えている人ほど健康的に暮らしていて、かつ、実際に健康で長生き

老化を前向きに捉えている人ほど健康的に暮らしていて、幸福感が高く、かつ、実際に健康で長生きであることを示す研究結果が、米国医師会発行の「JAMA Network Open」に掲載された。全死亡のリスク比は、最大43%の差が存在するという。

老化を前向きに捉えている人ほど健康的に暮らしていて、かつ、実際に健康で長生き

老化の捉え方が違えば、習慣が異なり、習慣が異なれば運命も異なる!?

おそらく、人類の歴史が始まった初期から、数えきれない人々が不老長寿を願って暮らしてきたことたろう。現在では抗加齢のためのケアや医学が盛隆で、その願いを部分的にかなえることも可能かもしれない。とは言え、基本的には誰しも、加齢による容姿の変化や体調の悪化と折り合いをつけながら歳を重ねている。

このような加齢に伴う変化、端的に言えば「老化」をどのように捉えるかによって、日々の行動が変わる可能性が考えられる。「日々の行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」と言われる。しかしそれを科学的な批判に耐えられる方法で証明した研究は、なかなかない。

今回紹介する論文は、その検証を試みた研究の報告。

50歳以上の米国成人、約1.4万人を対象とする縦断的研究

この研究は、米国で50歳以上の成人対象に実施されている、就労や定年退職と健康に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータを用いて行われた。HRSの参加者に対しては、4年ごとに心理社会的状況を含む健康に関する調査が続けられている。今回の研究では、2008年と2010年に心理社会的状況に関するアンケートに回答していた人を対象として、老化の捉え方と4年後の健康状態との関連が解析された。

老化の捉え方の調査は8項目の質問から評価した。例えば「自分の老化に関して、これまでのところ満足している」という項目に対する同意の程度を、1~6点のリッカートスコアで判定した(全く同意しないは1点、強く同意するは6点)。そのスコアの四分位に基づき全体を4群に分け、第1四分位群(自分の老化を否定的に捉えている上位25%)を基準に、他群の健康状態を比較。

評価した健康状態は、全死亡(あらゆる原因による死亡)、慢性疾患の有無、健康行動(喫煙、大量飲酒、身体活動、睡眠など)、身体機能制限、心理的苦痛など、35項目。老化の捉え方との関連の解析に際しては、性格特性(外向性、協調性、神経症傾向)と、子ども時代の被虐体験の有無の影響を調整した。

解析対象者は1万3,752人で年齢は65±10歳、女性が59%であり、64%が既婚者だった。

全死亡リスクに最大43%の差

4年間の追跡による解析で、ベースライン時の老化の捉え方が前向きな群ほど、全死亡リスクをはじめとする健康アウトカムが良好であることが明らかになった。主な結果は以下のとおり。

全死亡

老化の捉え方の第1四分位群(老化を最も否定的に捉えている25%)に比べて、第4四分位群(老化を最も前向きに捉えている25%)の全死亡リスクは43%低かった(リスク比〈RR〉0.57〈95%CI;0.46~0.71〉)。さらに、第2四分位群(RR0.72〈同0.63~0.82〉)や第3四分位群(RR0.65〈0.55~0.77〉)も、リスクが有意に低かった。

慢性疾患

慢性疾患の有病率も、第2四分位群から有意に少なく(β=-0.05〈-0.08~-0.02〉)、第3四分位群はβ=-0.11(-0.15~-0.08)、第4四分位群はβ=-0.18(-0.21~-0.14)だった。リスク差の最も大きな疾患は脳卒中であり、第4四分位群はRR0.68(0.54~0.84)と、32%少なかった。

身体機能制限

第2四分位群から有意に低リスクで(RR0.84〈0.77~0.91〉)、第3四分位群はRR0.68(0.61~0.75)、第4四分位群はRR0.53(0.44~0.64)だった。

認知機能障害

第2~3四分位群は非有意で、第4四分位群は有意に低リスクだった(RR0.83〈0.70~0.98〉)。

慢性疼痛

第2四分位群は非有意で、第3四分位群(RR0.84〈0.77~0.91〉)と第4四分位群は有意に低リスクだった(RR0.73〈0.65~0.80〉)。

主観的健康観

第2四分位群から有意に良好で(β=0.19〈0.15~0.23〉)、第3四分位群はβ=0.34(0.28~0.39)、第4四分位群はβ=0.46(0.41~0.5)だった。

健康関連行動

身体活動習慣は、第2四分位群から有意に多く(RR1.13〈1.05~1.22〉)、第3四分位群はRR1.18(1.09~1.28)、第4四分位群はRR1.23(1.12~1.34)だった。

睡眠障害は、第2四分位群から有意に低リスクで(RR0.90〈0.83~0.98〉)、第3四分位群はRR0.86(0.78~0.95)、第4四分位群はRR0.77(0.69~0.86)だった。

喫煙習慣と大量飲酒に関しては、第1四分位群と有意差がなかった。

孤独感

第2四分位群から有意に低く(β=-0.18〈-0.22~-0.14〉)、第3四分位群はβ=-0.28(-0.34~-0.23)、第4四分位群はβ=-0.41(-0.48~-0.33)だった。

精神的健康・心理的苦痛

前向きな姿勢など、評価した7項目すべてが、第2四分位群であっても有意に良好だった。また、心理的苦痛に関しては、うつレベルなど評価した57項目すべてが、第2四分位群であっても有意に低かった。

著者らは、「老化に対する満足度は、その後の人生の健康と幸福感を高めることを目的とした、今後の重要な介入標的になるのではないか」と結論づけている。

文献情報

原題のタイトルは、「Associations Between Satisfaction With Aging and Health and Well-being Outcomes Among Older US Adults」。〔JAMA Netw Open. 2022 Feb 1;5(2):e2147797〕
原文はこちら(American Medical Association)

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