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スポーツは高齢者の早期死亡を有意に減らす リスクを下げる死因の競技による違いも明らかに

ラケットスポーツでマイナス16%、ランニングでマイナス15%、ウォーキングでマイナス9%…。いずれもスポーツを行っている高齢者の死亡リスクの低下の割合である。ほかにも、サイクリング、水泳、エアロビクス体操、ゴルフによる有意な死亡リスク抑制が認められたという。研究結果は米国医師会発行の「JAMA Network Open」に論文掲載された。

スポーツは高齢者の早期死亡を有意に減らす リスクを下げる死因の競技による違いも明らかに

運動量が同じでも、スポーツの種類が違えば死亡リスクへの影響は異なるのか?

身体活動や運動が長寿につながることを示した研究報告は少なくない。しかし、同等の運動量を異なるスポーツで行った場合に、健康リスク低下幅は同等なのか、それともスポーツの種類により異なるのかは明らかになっていない。この疑問の答えを得るため、本論文の著者らは、解析対象者の運動量(1週間あたりの平均MET時間)をそろえて、死亡リスクへの影響を比較するという研究を行った。

7.5~15MET時間/週の運動による死亡リスクへの影響を競技別に比較

この研究は、米国立衛生研究所と全米退職者協会が実施した、食事と健康に関する研究のデータを用いて、縦断的に解析するという手法を用いた。解析対象者数は27万2,250人で、平均年齢70.5±5.4歳、男性58%だった。

死亡リスクと、7種類(後述)のスポーツによる運動量との関連を検討。スポーツの種類による死亡リスクへの影響の差異の検討に際しては、運動量を1週間あたり7.5~15MET時間の代謝当量に統一して比較した。また、運動量との用量反応関係も検討した。

解析に際しては、死亡リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、飲酒・喫煙習慣、人種/民族、教育歴、婚姻状況、糖尿病・脳卒中・虚血性心疾患・がんなどの既往、および解析対象とするスポーツ以外での運動量など)の影響を統計学的に調整した。

12年半追跡して死亡リスクを縦断的に解析

解析対象者が行っている運動やスポーツの種類は、ウォーキングが最も多く78%を占め、その他は、エアロビクス体操30%、サイクリング25%、ゴルフ14%、水泳10%、ランニング7%、ラケット スポーツ4%だった。

ランニング、エアロビクス体操、ラケットスポーツ、およびウォーキングで週7.5~15MET時間未満を達成した人は平均して若く、一方、水泳選手は高齢だった。いずれかのスポーツを行い、その運動量が多い人はBMIが低く(水泳を行っている人を除く)、他の活動への参加レベルが高かった(ゴルフを行っている人を除く)。

全死亡と心血管死はラケットスポーツ、がん死はランニングで死亡リスクが最低に

2004~05年の参加登録から2019年末まで、12.4±3.9年追跡。追跡期間中に11万8,153人(43%)が死亡した。死因の内訳は、心血管疾患死が3万8,300人、がん死が3万2,366人だった。

運動量と全死亡リスクの用量反応関係

結果について、まず、行っているスポーツを考慮せずに全死亡(あらゆる原因による死亡)リスクと運動量の用量反応関係をみると、週に0.1~7.5MET時間未満の運動をしていた人は、運動をしていなかった人に比べて全死亡リスクが5%有意に低かった(HR0.95〈95%CI;0.94~0.97〉)。運動量が週に7.5~15MET時間未満とより多い人の全死亡リスク低下幅はさらに大きく、13%だった(HR0.87〈0.85~0.89〉)。運動量が週に15MET以上の場合の全死亡リスクはより小さかったが、7.5~15MET時間未満とのリスク差も小さく、影響力が頭打ちになる傾向が認められた。

スポーツの種類と全死亡リスクとの関係

次に、本研究の主題である、運動量が等しい場合(週に7.5~15MET時間未満)のスポーツの種類の違いによる死亡リスクとの関連についてみてみよう。まず、全死亡リスクとの関連は以下のように、検討された7種類のすべてで有意なリスク低下が認められた。

ハザード比(HR)がより低いスポーツから順に、ラケットスポーツでは16%低リスクであり(HR0.84〈0.75~0.93〉)、ランニングでHR0.85(0.78~0.92)、ウォーキングHR0.91(0.89~0.93)、エアロビクス体操HR0.93(0.90~0.95)、ゴルフHR0.93(0.90~0.97)、水泳HR0.95(0.92~0.98)、サイクリングHR0.97(0.95~0.99)だった。

異質性p値は0.01未満だった。

スポーツの種類と心血管死リスクとの関係

続いて心血管死リスクとの関連をみると、7種類のスポーツのうち、以下の3種類で有意なリスク低下が認められた。

ハザード比が最も低いスポーツは、全死亡リスクと同様にラケットスポーツであり、HR0.73(0.59~0.89)だった。続いて、ウォーキングはHR0.89(0.86~0.92)、ゴルフがHR0.91(0.85~0.98)。

他の4種の競技のうち、サイクリングを除く3種(ランニング、水泳、エアロビクス体操)は、ハザード比は1未満だが有意でなかった。サイクリングのハザード比は1.00で非有意だった。

異質性p値は0.01未満だった。

スポーツの種類とがん死リスクとの関係

最後にがん死リスクとの関連をみると、7種類のスポーツのうち、以下の3種類で有意なリスク低下が認められた。

ハザード比がより低いスポーツから順に、ランニングがHR0.81(0.69~0.95)、エアロビクス体操HR0.91(0.86~0.97)、サイクリングHR0.94(0.90~0.98)〕。他の4種の競技のうち、エアロビクス体操とウォーキングのハザード比は1未満だが有意でなかった。ゴルフのハザード比は1.00、ラケットスポーツは1.01で、ともに非有意だった。

異質性p値は0.14だった。

文献情報

原題のタイトルは、「Association of Leisure Time Physical Activity Types and Risks of All-Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality Among Older Adults」。〔JAMA Netw Open. 2022 Aug 1;5(8):e2228510〕
原文はこちら(American Medical Association)

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