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ノルウェーの菜食主義者を調査「食生活の実態」「動機」「サプリ利用状況」「主観的な健康状態」

菜食主義の人々の食生活の実態がノルウェーから報告された。野菜や果物、全粒穀物の摂取頻度は、同国のガイドラインの推奨より少ないことが明らかになったという。また、菜食を続ける理由のトップは環境問題であり、ビーガンはサプリメント利用率が高いこと、菜食主義の人は主観的な健康状態が良好であることなどが示された。

ノルウェーの菜食主義者を調査「食生活の実態」「動機」「サプリ利用状況」「主観的な健康状態」

ベジタリアンの食生活や健康状態を探る研究

菜食主義の人が世界中で増加していることが報告されている。とは言っても実数はまだ少なく、欧州では報告により1~10%の範囲とされている。本研究が行われたノルウェーでは、菜食主義者が3%、ビーガン(完全菜食主義者)が1%という。

菜食主義は、非感染性疾患のリスク低下という、個人の健康上のメリットにつながると考えられている。ただしそれだけでなく、環境への負荷を軽減し、気候温暖化の抑止や、持続可能な食料供給システムの確立に寄与するという、世界的な合意がある。一方で、動物性食品が主要な供給源である必須微量栄養素の欠乏リスクが高く、菜食主義の人の食生活の実態と健康状態の評価が求められる。

この状況を背景として、本論文の研究者らは、2020年にノルウェー国内でインターネット調査を行った。

回答者の内訳:半数強は準菜食主義者

8万人以上が登録されている同国の調査パネルから、人口構成を考慮して抽出した1万9,000人に調査協力を依頼。自分の食事スタイルが菜食主義だと回答し、回答内容に欠落のない808人を解析対象とした。解析対象者の特徴は、年齢40±6歳、女性66%で、食事スタイルの内訳は以下のとおり。

ビーガン(植物性食品のみ摂取する完全菜食主義者)が8%、ラクト・オボ・ベジタリアン(乳製品や卵も摂取)が16%、ペスコ・タリアン(乳製品や卵、魚も摂取)が23%、フレキシタリアン(時には肉も摂取する準菜食主義者)が53%。

食習慣と健康状態の評価方法

日常の食習慣については食物摂取頻度調査(food frequency questionnaire;FFQ)で把握した。摂取量は評価していない。

健康状態については、以下に該当するものについて、自己申告による回答を得て評価した。次に挙げる栄養素の欠乏症(B12、鉄、ビタミンD、ビタミンA、亜鉛、カルシウム)、コレステロール低値、または高値、血圧高値。また、主観的健康観として、極めて不良、不良、どちらとも言えない、良好、極めて良好、わからない、から選択してもらった。

野菜や果物などの摂取頻度が少なく、サプリ利用率が高い傾向

まず、菜食を続けることの動機を尋ねると、環境問題が71%と1位に挙げられた。2位以下は、健康上の理由が64%、動物福祉49%、動物の不必要な殺害の減少31%が続いた。

食事摂取状況

菜食主義者は以下に示すように、ノルウェーの食事ガイドラインの推奨より、野菜、果物、全粒穀物の摂取頻度が少なかった。ただし、この調査では食事摂取量を把握していないため、摂取量は推奨値を満たしている可能性もあるが評価不能であると、論文中に記されている。

果物、野菜、全粒穀物の摂取頻度

全体の半数が果物を毎日摂取しており、4分の3が野菜を毎日摂取していた。また、全粒穀物は全体の3分の1が毎日摂取していた。これらのいずれについても、群間に有意差はなかった。

ナッツ・種子

全体の24%がナッツ・種子を毎日摂取し、43%が毎週摂取、27%が毎月摂取すると回答した。毎日摂取する割合はビーガン(46%)が最も高く、他群より有意に高かった。

動物性食品

全体の5%が動物性食品を毎日摂取し、39%が毎週摂取、12%が毎月摂取すると回答した。乳製品や卵、魚の摂取頻度は、食事スタイルにより異なり、有意な群間差が認められた。

菓子類

甘味菓子は全体の10%が毎日摂取、塩味菓子は半数が毎週摂取、人工甘味飲料は12%が毎日摂取しており、これらに群間の有意差はなかった。

サプリメントの利用状況:ビーガンの6割強が摂取

サプリメント利用率はビーガンでは62%に及び、他の食事スタイルより利用率が高かった。2位はペスコ・タリアンの40%、続いてラクト・オボ・ベジタリアンが38%であり、フレキシタリアンは28%で最もサプリ利用率が低かった。

利用されているサプリの種類は、マルチビタミン、ビタミンB12、ビタミンD、オメガ3脂肪酸などが多かった。

自己申告による健康状態

自己申告された欠乏症として、ビタミンD(16%)、鉄(13%)、およびビタミンB12(8%)が多く挙げられていた。いずれもラクト・オボ・ベジタリアン群でその割合が最も高く、次いでビーガン、ペスコ・タリアン、フレキシタリアンの順であり、すべて群間差が有意だった。

主観的健康観については、75%が「良好」または「極めて良好」と回答し、「極めて不良」または「不良」は11%と少数だった。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary Habits and Self-Reported Health Measures Among Norwegian Adults Adhering to Plant-Based Diets」。〔Front Nutr. 2022 Apr 27;9:813482〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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