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アスリートは睡眠の質が悪い? ランナーは睡眠時間が短い? 睡眠時間と睡眠の質を調査

アスリートの睡眠時間や睡眠の質を、参加競技、競技レベル別に比較した結果が報告された。陸上競技のランナーは他の競技のアスリートよりも睡眠時間が短いことや、参加競技にかかわらず、睡眠の質が良くないアスリートが多数を占めるという実態が明らかになった。英国からの報告。

アスリートは睡眠の質が悪い? ランナーは睡眠時間が短い? 睡眠時間と睡眠の質を調査

アスリートの睡眠習慣を多種目、あらゆる競技レベルで比較

習慣的に運動をしている人は睡眠障害のリスクが低い。それにもかかわらず、アスリートは一般成人に比べて、睡眠時間が短く、また、就床から睡眠に要する時間である睡眠潜時や中途覚醒の頻度から把握される「睡眠の質」が低いことが報告されている。

アスリートの睡眠障害は、パフォーマンスの低下と関連している。例えばテニスのサーブ精度、ランニング速度が低下するとのデータがあり、また怪我のリスクが上昇することも示唆されている。さらに、心理的ストレスを高めたり、身体の疼痛の増加との関連も明らかになっている。

これまでに、アスリートの睡眠時間や睡眠の質を評価した研究報告は少なくない。しかし、調査対象の競技種目や競技レベルが限定された研究が多く、網羅的に調査し、互いの比較検討を可能とするデータは得られていない。今回紹介する研究の著者らはこの点の不足をカバーする目的で、以下の検討を行った。

28競技、313人のアスリートを対象とする横断的な検討

研究対象は、年齢が18~60歳、週に1回以上スポーツを行っていること、既知の心血管疾患や代謝性疾患がないことを条件として、英国内のスポーツクラブなどの組織を通じて、または個人的なつながりを通じて募集された313人のアスリート。年齢は27±8歳(範囲18〜54歳)、男性243人(77.7%)、女性70人(22.4%)で、参加している競技は28種類にわたった。

トレーニング量は5±2回/週、1回あたり93±44分。自己申告による競技レベルは、レクリエーションレベルが51人(16.3%)、競技会参加レベルが149人(47.6%)、全国大会レベルが76人(24.3%)、エリートレベルが37人(11.8%)だった。

睡眠について、就床時刻や起床時刻などの一般的な睡眠習慣を問うとともに、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)を用いて睡眠の質を評価した。PSQIスコアが5点以上の場合、睡眠の質が悪いと判定した。

平均睡眠時間は7時間半だが理想は9時間半で、過半数は睡眠の質が「悪い」

まず全体的な解析結果をみると、就床時刻は22:57±00:53(範囲20:30~02:00)であり、起床時刻は07:25±01:11(範囲04:00~12:00)であって、睡眠時間は7時間34分±1時間(範囲4~11時間)だった。睡眠時間7時間未満が19%であり、50%が8時間未満だった。

入眠潜時は21±17分、PSQIスコアは5.0±2.4であり、55%のアスリートが「睡眠の質が悪い」と判定された。

一方、アスリート自身が「理想」として回答した就床時刻は22:22±00:44(範囲20:00~02:00)、起床時刻は07:48±00:58(範囲05:00~11:00)であり、理想睡眠時間は9時間26分±58分(範囲7時間~12時間30分)であて、すべて実際の時刻や時間との間に有意差が認められた(p<0.001)。

性別での比較

性別で比較すると、女性アスリートよりも男性アスリートは、就床時刻と起床時刻が有意に遅かった(いずれもp=0.03)。睡眠時間、入眠潜時、睡眠の質には性別による有意な差はなかった。また、理想とする睡眠時間についても有意差はなかった。

年齢との関連

年齢と就床時刻(r=-0.34,p<0.001)、および睡眠時間(r=-0.30,p<0.001)との間に弱い負の相関がみられた。また、年齢と起床時刻との間に中程度の負の相関がみられた(r=-0.49,p<0.001)。PSQIスコアと年齢との間に、有意な関係は認められなかった。

最若年層(18~24歳)の就床時刻と起床時刻は、他群に比べ有意に遅く、睡眠時間は他群に比べ有意に長かった。また、その年齢層が理想とする睡眠時間も、他群に比べ有意に長かった。

参加競技での比較

競技種目による睡眠習慣の有意な相違も観察された。

例えば、陸上ランナーの睡眠時間は6時間58分±1時間5分であり、バスケットボールの7時間55分±56分、サッカーの7時間50分±1時間4分、ラグビーの7時間45分±47分、自転車の7時間39分±48分などより有意に短かった(p<0.05)。就床時刻や起床時刻にも、参加競技による有意差が認められた。

一方、入眠潜時、PSQIスコア、理想とする睡眠時間には、参加競技による有意差がなかった。PSQIスコアが5点以上で睡眠の質が悪いと判定されるアスリートが占める割合は参加競技による差異が認められ、ラグビーはその割合が最も高かった。

競技レベルでの比較

競技レベルでの比較では、レクリエーションレベルの睡眠時間が7時間7分±56分であり、全国大会レベルの7時間49分±1時間2分や、エリートレベルの7時間49分±50分に比較し、有意に短かった。競技会参加レベルは7時間32分±1時間であり、他群との有意差はなかった。入眠潜時やPSQIスコア、理想とする睡眠時間に有意差はなかった。

このほか、睡眠時間と週あたりのトレーニング時間が、正相関することも明らかになった(r=0.23,p<0.001)。

以上の結果から、アスリートの半数が8時間以上の睡眠時間を確保できていないこと、過半数が睡眠の質が低下していることが明らかになった。また、行っているスポーツの種類と競技レベルが睡眠時間に影響を与える可能性も示唆された。ただし、それが睡眠の質に影響を及ぼす可能性はみられなかった。

文献情報

原題のタイトルは、「Self-reported current sleep behaviors of adult athletes from different competitive levels and sports」。〔Sleep Sci. Jan-Mar 2021;14(Spec 1):1-7〕
原文はこちら(Brazilian Sleep Association)

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