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柔道、空手、テコンドー男性選手の減量戦略の実態 栄養士の関与はわずか2% スペイン

日本発祥の格闘技である柔道、空手に加えて韓国発祥のテコンドーという、東アジアで発展してきた3種類の格闘技は、いずれも体重階級制の競技であり、試合前の減量戦略が勝敗のポイントの一つとなる。これら3競技の男性選手の減量戦略の実態を調査した研究結果が、スペインから報告された。

柔道、空手、テコンドー男性選手の減量戦略の実態 栄養士の関与はわずか2%

検討対象と検討手法

この研究の対象は、140人の男性の格闘技選手で、全員スペイン人。柔道が52人、空手(組手)が40人、テコンドー48人で、2015年の大学全国選手権参加選手から無作為に抽出された。年齢は18~27歳で平均21.3±2.8歳。減量戦略の実態は、精度検証済みの「急速減量質問票(rapid weight loss questionnaire;RWLQ)」と「摂食態度テスト(eating attitudes test;EAT)」を用いて把握した。

試合前に減量を実施するのは約半数

まず、減量にかける期間を問うと(RWLQ-17)、全体のちょうど半数(50.0%)は「減量をしない」と回答した。競技別にみると、減量をしないとの回答は空手が最も多く71.8%で、次いで柔道が48.1%、テコンドーは34.0%だった。

試合前に減量すると回答した選手に、「1週間以内」「1カ月以内」「1カ月以上」の三者択一で回答を得た結果は、空手とテコンドーは1カ月以内が最も多く同順に15.4%、25.5%であり、柔道は1週間以内が最も多く34.6%を占め、短期間で減量しようとする選手の多いことが明らかになった(いずれも減量しないとの回答を含めてのパーセント)。

減量の手法は食事を抜くこと

次に、減量の際に用いる方法について尋ねると(RWLQ-21)、全体の55.1%が「減量しない」と回答し、減量する選手では断食(毎日1~2回食事を抜くか、全く食べないこと、および水分摂取制限)が最も多く、柔道では48.1%、テコンドーでは25.5%、空手では20.5%を占めた。一方、バランスのとれた食事にすることで減量すると回答したのは全体で12.3%と少数であり、競技別にみるとテコンドー(12.3%)と空手(18.0%)は比較的多かったが、柔道ではわずか1.9%だった。

減量幅別にみた減量戦略

減量幅との関連を検討すると、参加しようとしている階級の上限との差が1kg未満の場合、58.8%の選手は脱水以外の減量戦略を行っておらず、10.6%の選手は摂取制限を行い、30.6%は摂取制限+消費エネルギー量増加を行っていた。

参加しようとする階級の上限との差が1~3kgの場合、脱水以外の減量戦略を行わないのは11.8%にとどまり、35.3%は摂取制限を実施、残りの52.9%は摂取制限+消費エネルギー量増加を行っていた。

参加しようとする階級の上限との差が3kgを超えている場合は、脱水以外の減量戦略を行わない選手はおらず(0.0%)、また摂取制限のみで達成しようとする選手も0.0%であり、全員(100.0%)が摂取制限+消費エネルギー量増加を行っていた。

選手の3割は個人的に入手した情報を参考に減量、栄養士の関与は2%程度

続いて減量戦略のための情報入手経路を質問すると(RWLQ-20)、全体の52.2%は「減量しない」と回答し、減量する選手ではインターネットやSNSを利用した選手個人での情報入手が最も多く29.0%を占めた。とくに柔道では40.4%に及び、空手も28.2%を占めた。テコンドーではトレーナーやコーチが23.4%を占め、選手個人での情報入手は17.0%だった。

栄養士から情報を入手して減量を行うとの回答は、全体で2.2%とわずかであり、競技別にみるとテコンドーは4.3%、柔道は1.9%であり、空手は0.0%だった。

軽量級に参加する選手ほど試合前の減量幅が大きい

3種類の競技のなかで柔道選手の試合前の減量幅が最大だった。とくに軽量級(73kg未満)のカテゴリーでの減量幅が大きく、該当者の50%は試合前に2~5kg減量していた。これは、中量級(73~90kg)選手の40%でも観察された。

一方、空手とテコンドーの選手で試合前に減量する選手の減量幅は0.5~2kgだった。またオフシーズンの体重に近い体重で試合に参加した選手のほうが、良い成績を得られる傾向が観察された。

体重管理のために避ける食品は炭水化物の多い食品

摂食態度テスト(EAT-27)の結果から、本調査に参加した格闘技選手が摂取を避ける傾向が認められた唯一の食品は、炭水化物含有量の高い食品(パン、米、ジャガイモなど)だった。全体の42.0%は炭水化物食品を全く避けておらず、24.6%はほとんど避けていなかったものの、33.4%の選手は炭水化物食品の摂取をある程度回避していた。なお、砂糖を含む食品に関しても同様の傾向がみられたが、有意性はなかった。

柔道選手の不健康な減量戦略は、伝統と経験が関与している可能性

著者らはこれらの結果を総括して、「不健康な食習慣が柔道選手の間で多く認められた。これは、この領域の伝統と経験の問題に関連している可能性がある。柔道は東アジアの武道から生まれた最初のオリンピック競技であり、他の格闘技より競争が激しく人気が高い。オフシーズンの体重に最も近い体重カテゴリーで競ったときに最良の結果を得られるにもかかわらず、オフシーズンの体重が体重カテゴリーの上限から大きく上回っているほど不健康な減量慣行がより一般的に認められる。そしてこの傾向は、主に軽量クラスで観察された」と述べ、栄養面の指導を充実させる必要があるとまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Weight Loss Strategies in Male Competitors of Combat Sport Disciplines」。〔Medicina (Kaunas). 2021 Aug 28;57(9):897〕
原文はこちら(MDPI)

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