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日本の小学生のサプリ摂取の実態調査報告 利用率は6.8%、スポーツ参加と強く関連

日本人小学生のサプリメント摂取状況の実態が明らかになった。サプリ利用者率は6.8%で、スポーツ実施頻度とサプリ利用率の有意な関連も認められた。国立成育医療研究センターの石塚一枝氏ら、環境省「エコチル調査」(子どもの健康と環境に関する全国調査)の研究グループが行ったWeb調査の結果であり、このほど「Environmental Health and Preventive Medicine」に論文が掲載された。

日本の小学生のサプリ摂取の実態調査報告 利用率は6.8%、スポーツ参加と強く関連

五千人近くの小学生の母親にWeb調査

多くの栄養補助食品(サプリメント)が市販され利用されているが、日本の子どもたちのサプリメントの利用状況はこれまで明らかでなかった。石塚氏らは、Webによる横断研究を実施、その実態の把握を試みた。

この調査では、医療関連情報サイト「Q life」の登録者のうち、小学生の子どもがいる母親に回答を呼びかけた。回答数の目標を4,000人以上とし、それに到達するまで募集を継続。その結果、2017年9月22日~10月31日の間に5,538人から回答を得られ、そのうち子どものサプリ摂取状況に関する質問に回答していた4,933人を解析対象とした。

解析対象者の居住地は全都道府県にわたり、人口比や世帯収入、母親の年齢(39.8±5.8歳)、子どもの年齢(8.8±1.7歳)および体重・身長などは、全国調査の結果と同等だった。

栄養補助食品(サプリメント)の定義

この調査では、食事を補うために経口摂取されるものをサプリメントとして定義し、形状は問わずに、カプセル、錠剤、粉末、液体などを含めた。成分としては、ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸などのほか、ハチミツや肝油など、一般的には「健康食品」また「栄養強化食品」として扱われるものも含めた。

アンケートへの回答の際、それらのブランド名とメーカー名を記載してもらい、可能であればバーコード画像の貼付も求めた。それらの情報をもとに研究者らの判断により、栄養補助食品(サプリメント)の基準を満たさないものは除外した。

結果として、442製品が栄養補助食品、194製品が栄養強化食品または自然食品、3製品が市販薬と特定された。情報不足のため分類不能なものも61製品あった。

サプリ利用率とスポーツ実施頻度、健康状態などとが有意に関連

結果についてまず調査対象の子どもたちの特徴をみると、性別は男児が51.3%を占め、学年は1~2年生が各13~14%、3~4年生が各17%前後、5年生が18.5%、6年生が20.2%だった。またBMIは63.2%が基準範囲内、14.5%が低体重、22.3%が過体重だった。

子どものスポーツ実施頻度は週に2~3回が37.0%で最多

スポーツの実施頻度は、「週に2~3回」が37.0%で最も多く、次に多かったのは「実施しない」の25.3%だった。その他は「週に1回」が17.0%、「週に4~5回」が12.6%、「毎日」が8.0%の順だった。

6.8%がサプリを利用していて、非ビタミン非ミネラルサプリの利用が多い

サプリメントを利用している子どもは333人で、全体の6.8%だった。この333人のうち70人(21.0%)は複数のサプリを利用しており、117人(35.1%)は毎日摂取していた。

利用しているサプリのタイプ別にみると、非ビタミン非ミネラルサプリ(アミノ酸やタンパク質、n-3系脂肪酸や魚油、プロバイオティクス、ハーブなど)を摂取していたのが全体の5.0%、ビタミンやミネラルのサプリを摂取していたのが2.2%だった。

スポーツの実施頻度が高い子どもはサプリ利用率が高い

多重ロジスティック回帰分析で、アンケートで把握したすべての変数(学年、性別、BMI、健康状態、スポーツ実施頻度、世帯収入、母親の教育歴)を調整後、サプリの利用率と有意に関連する因子として、性別(男性)のほかに、スポーツの実施頻度、健康状態、世帯収入、母親の教育歴が抽出された。学年とBMIは、サプリ利用率との関連が有意でなかった。有意な因子のオッズ比(OR)は以下のとおり。

摂取頻度にかかわらず、サプリを利用することと有意な関連のある因子

性別
女児に対して男児はOR1.38(95%CI;1.09~1.75)
スポーツ実施頻度
「実施しない」に対して、「週2~3回」はOR1.86(1.33~2.58)、「週4~6回」はOR1.85(1.22~2.80)、「毎日」はOR2.58(1.65~4.02)
健康状態(不良、問題なし、良好、極めて良好に分類)
不良に対して、良好はOR1.61(1.21~2.13)、極めて良好はOR2.26(1.35~3.76)
世帯収入
200万円/年未満に対して、1,000万円/年以上はOR1.87(1.13~3.10)
母親の教育歴
12年以下に対して、13~15年はOR1.51(1.10~2.09)、16年以上はOR1.82(1.31~2.52)

毎日サプリを摂取することと有意な関連のある因子

スポーツ実施頻度
「実施しない」に対して、「週4~6回」はOR2.19(1.18~4.05)、「毎日」はOR2.12(1.05~4.29)
健康状態
不良に対して、極めて良好はOR2.88(1.35~6.13)
世帯収入
200万円/年未満に対して、1,000万円/年以上はOR2.56(1.14~5.74)

スポーツ実施頻度が高い子どもほど、アミノ酸やタンパク質サプリを利用

利用しているサプリごとに関連因子を検討すると、アミノ酸やタンパク質サプリについては女児よりも男児で利用頻度が有意に高かった(OR2.40〈95%CI;1.38~4.18〉)。その他のカテゴリーのサプリ(n-3系脂肪酸、ハーブ、プロバイオティクス、マルチビタミン・ミネラル)は、性別による有意差はなかった。

アミノ酸やタンパク質サプリに関しては、スポーツ実施頻度が高いほど利用率が高い傾向が認められた。具体的には、スポーツを「実施しない」に対して、「週に1回」はOR3.64(1.15~11.6)、「週2~3回」はOR4.99(1.75~14.2)、「週4~6回」はOR5.37(1.70~17.0)、「毎日」はOR6.06(1.78~20.6)だった。また、スポーツを毎日行っている群は、マルチビタミンの利用率も有意に高かった(OR3.56〈1.11~11.5〉)。

子どものサプリ摂取に関するガイドラインが必要

著者らはこの研究の結論を、「日本の子どもたちが主に非ビタミン非ミネラルのサプリメントを利用していることが明らかになった。また、子どもたちのサプリ利用が、スポーツへの参加と関連していることもわかった。子どもたち、とくにスポーツに参加している子どもたちのためのサプリメント利用に関するガイドラインが必要と考えられる」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「TDietary supplement use in elementary school children: a Japanese web-based survey」。〔Environ Health Prev Med. 2021 Jun 5;26(1):63〕
原文はこちら(Springer Nature)

関連情報

子どもの健康と環境に関する全国調査「エコチル調査」(環境省)

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