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オーストラリア発、世界で人気を集める「味噌」の健康上のメリットを考察

日本の伝統的な発酵食品の一つ「味噌」をめぐって、その歴史や発酵プロセス、味噌の微生物群、健康への潜在的な影響など、さまざまな角度から考察したオーストラリアの研究者によるレビュー論文が「Journal of Food Science」に掲載された。健康栄養に関連する部分を中心に、一部を紹介する。

オーストラリア発、世界で人気を集める「味噌」の健康上のメリットを考察

イントロダクション:世界では味噌の人気が上昇している

食品を加工して生産するための一つの手段として、古代から発酵というプロセスが使われている。肉や魚、牛乳、穀物、果物、野菜など、ほぼすべての食品を発酵させることができ、発酵により保存食品を作りだすことが可能。また発酵によって、食感、消化吸収、および栄養素含有量を変化させることができる。

発酵食品は地理的に大きな多様性があり、さまざまな発酵食品が世界各地で独自の進化を遂げてきた。日本も例外でなく、醤油、漬物などがある。ただし、恐らく日本のすべての発酵食品の中で、世界で最もよく知られているのは味噌だろう。

味噌は「ミソスープ(味噌汁)」の調味料として使われ、特有の香ばしい風味が料理人によって活用されている。現在、調味料、マリネ、さらにはデザートとして西洋料理で利用されつつあり、ますます人気が高まっている。

味噌の歴史:日本では味噌の人気が低下している

日本の味噌の起源は、紀元前1世紀の中国に遡るとされている。海を渡って日本に入り、やがて西暦600年頃からは日本国内の農家でも作られ始めたようだ。調理した大豆をすり潰し、カビの胞子を植えたまま放置していたと考えられる。味噌の種類にもよるが、発酵期間は短いもので1週間、長いものでは3年程度であり、発酵期間が長いほど色と風味が増す。

かつて日本では味噌の多くが各家庭ごとに作られていた。現在は大半が大量生産されたものが使われている。1945年には33万6,000トンの味噌、つまり日本の味噌生産量の 55%が家庭で作られていたが、1980年までに約90%が商業ベースのものに置き換わった。2018年の自家製味噌は7万5,000トンに過ぎない。

1980年以降、恐らく、西洋料理の影響により日本人の食生活が変化し、日本国内での味噌の人気は低下していった。生産量は1980年に70万トンだったものが、2013年までに42万6,000トンと40%減少した。ただし2019年には48万2,000トンであり、回復する兆しもみられる。

西洋での味噌使用の歴史

栄養と健康への関心の高まりを背景に、1970年代以降、西欧諸国では味噌などの大豆食品の人気が高まっている。味噌の風味は複雑で、さまざまなタイプの味噌を試すことが西洋のシェフや家庭料理人の間で行われている。

日本は2017年に1万6,000トンの味噌を世界に輸出し、この量は1990年の2,800トンから470%増だ。

麹と味噌の健康上の潜在的メリット

発酵食品全般の健康上の潜在的メリット

ヒトの腸内細菌叢を構成する微生物は、多くの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たすと考えられている。例えば、それらは病原菌からヒトを守り、免疫システムを調整し、代謝機能を助ける。経口摂取される微生物は消化管の過酷な環境でも生き残り、一時的に腸内細菌叢に定着することが示されているため、これらの生理学的機能に寄与する可能性がある。

多くの研究で、さまざまな伝統的な発酵食品を食べることの潜在的な健康上の利点が議論されている。ただし、発酵食品がどのように健康上のメリットをもたらすかについてのメカニズムはほとんどわかっていない。しかし最近の研究では、発酵食品の乳酸菌によって生成される抗菌代謝物がヒトの免疫システムに関与していることが示されている。

味噌の健康効果を示す観察研究

味噌は麹を用いて大豆を発酵させ、生産される。発酵性大豆食品の摂取と健康との関連を調査する観察研究が報告されている。日本人を対象とするコホート研究では、発酵性大豆食品、とくに納豆と味噌の摂取量が多いほど死亡リスクが低下することがわかった。

また、味噌は塩分が少なくないが、味噌の摂取量は高血圧の発症と関連がないとの報告がある。そのほかに、味噌汁の摂取頻度が低いことと胃食道逆流症の症状の関連を指摘した研究も報告されている。

発酵性大豆食品に関しては、抗糖尿病、抗酸化、抗炎症、発癌抑制、抗高血圧効果の報告もある。

味噌の健康効果を示す基礎研究

麹や味噌が人間に与える健康効果に関する無作為化比較試験は実施されていない。ただし動物実験では潜在的な効果が示されている。

マウスを用いた研究では、放射線照射の前に味噌を摂取させることで、腸粘膜のダメージが抑制された。その効果は、長期間かけて発酵させた味噌のほうが有効性が高いとのことだ。また、ラットを用いた研究からは、味噌の脳卒中からの保護効果、腎保護効果も示されている。

味噌の栄養価と安全性

味噌は、タンパク質、イソフラボン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれているため、健康食品と見なされている。

一方、発酵食品は生鮮食品と同様に、病原微生物による汚染のリスクがある。発酵食品全般を見渡せば、大腸菌、O157、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、リステリア菌などの微生物による汚染が、世界中から報告されている。しかし、この点について著者は、「われわれの知る限り、味噌の汚染によるアウトブレイクは報告されていない。これは、麹による発酵で作られた味噌が安全であることを示している」としている。

文献情報

原題のタイトルは、「Fermentation and the microbial community of Japanese koji and miso: A review」。〔J Food Sci. 2021 May 30〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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