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筋グリコーゲン再合成速度を、炭水化物単独と炭水化物+タンパク質で効果を比較検討

運動後の筋肉グリコーゲン再合成を促進するために、炭水化物のみの摂取と、タンパク質も摂取した場合のいずれが有利なのかというテーマに関し、これまで多くの研究が行われてきている。それらの研究報告を対象に実施された、システマティックレビューとメタ解析が報告された。筋グリコーゲンレベルを、評価法のゴールドスタンダートである針生検で測定した研究のみを解析対象として、画像検査で評価した研究は除外している。

筋グリコーゲン再合成速度を、炭水化物単独と炭水化物+タンパク質で効果を比較検討

結論の一部を先に紹介すると、運動後は炭水化物を少なくとも1時間おきという頻度で摂取するのが良いようだ。では早速、より詳しい結果を覗いてみよう。

炭水化物単独の効果と、炭水化物+タンパク質の効果の比較検討

この研究におけるシステマティックレビューとメタ解析の目的は、大きく二つに大別される。一つは、運動後の回復期に炭水化物を単独で摂取した場合の筋グリコーゲン再合成速度に及ぼす影響を評価すること、二つ目は、炭水化物単独摂取と、炭水化物とタンパク質の双方を摂取した場合とで、筋グリコーゲン再合成の速度か異なるかを検証すること。

文献検索にはWebof ScienceとScopusを利用し、それぞれの開始時点から2019年9月までに公開された文献を対象として、2名の研究者が独立してスクリーニングを実施。意見の不一致は3人目の研究者との討議により採否を決定した。

採用基準は、疾患のない成人を対象とするヒトでの研究であり、対照群をおいてあること、筋グリコーゲン濃度は針生検により測定していること、運動後30分以内に加え8時間以内に少なくとも1回の追加測定を行っていること、英文で執筆されていること。一方、除外基準は、炭水化物またはタンパク質以外の栄養素(脂質やアルコールなど)やエルゴジェニックエイド(カフェインやクレアチンなど)も用いられた場合、運動条件が標準化されていない場合(または運動が行われていない場合)、水以外の食事成分が運動中に摂取された場合、経口以外の方法で炭水化物・タンパク質が投与された場合、生検以外の方法(画像検査など)で筋グリコーゲン濃度を測定した場合、筋グリコーゲンデータが適切に記されていない(平均±標準偏差が記されていない)場合。なお、データの欠落している報告は、論文著者に連絡し取得した。

21報、29件のメタ解析

検索でヒットした論文は7,433報で、このうち21報、29件の試験が採用条件を満たしていた。被験者数は合計246名だった。まず、一つ目の研究目的である、運動後の回復期に炭水化物を単独で摂取した場合の筋グリコーゲン再合成速度に及ぼす影響の解析結果をみてみよう。

運動後に1時間以下の間隔で炭水化物摂取を反復すると再合成が速まる

運動後の回復期に炭水化物を単独で摂取した場合の筋グリコーゲン再合成の速度に及ぼす影響は9報、10件の研究が抽出された。対照群は、水などの栄養素を含まない飲食物を摂取していた。 被験者は合計86名で、91%は男性だった。炭水化物の摂取量は平均1.02g/kg体重〈BM〉/時(範囲0.50~1.5g/kg/時)で、平均回復時間は2.9時間(範囲1.0~5.0時間)であり、運動後(炭水化物または水等の摂取前)の筋グリコーゲン濃度は、炭水化物摂取条件は179mmol/kgドライマス〈dm〉(範囲12~406mmol/kg dm)、対照条件では197mmol/kg dm(範囲30~441mmol/kg dm)だった。

10件のうち、運動後に炭水化物を摂取しても筋グリコーゲン再合成速度は対照群と有意差がないと結論付けていたのは1件のみで、他の9件はすべて炭水化物摂取の優位性を報告していた。メタ解析の結果、運動後の炭水化物摂取条件では筋グリコーゲン再合成速度が対照条件に比し、有意に速いことがわかった(23.5mmol/kg dm/時,95%CI;19.0~27.9,p<0.001)。

また、運動後の炭水化物の摂取間隔が1時間以内の場合、それよりも間隔が長い場合に比較して、有意に筋グリコーゲン再合成速度が速いことがわかった(11.0mmol/kg dm/時,95%CI;1.24~20.9,p<0.027)。一方、運動後の筋グリコーゲン濃度(150mmol/kg dm以下またはそれを上回るか)、炭水化物摂取量、回復時間、運動の種類(有酸素運動かレジスタンス運動か)の違いでは、筋グリコーゲン再合成速度に有意な差はみられなかった。

タンパク質を同時摂取しても筋グリコーゲン再合成速度は変わらない

次に、炭水化物単独摂取と、炭水化物+タンパク質摂取を比較した研究の解析結果をみてみよう。この条件に該当する研究として、13報、19件が抽出された。

被験者は合計160名で、96%は男性だった。炭水化物の摂取量は、炭水化物単独条件では0.95g/kg BM/時(範囲0.60~1.6g/kg BM/時)、炭水化物+タンパク質条件では0.86g/kg BM/時(範囲0.50~1.2g/kg BM/時)。炭水化物+タンパク質条件でのタンパク質摂取量は0.27g/kg BM/時(範囲0.05~0.40g/kg BM/時)だった。摂取エネルギー量は炭水化物+タンパク質条件のほうが、平均210.5kcal多かった(範囲0~557.9kcal)。

運動後の筋グリコーゲン濃度は、炭水化物単独条件では131mmol/kg dm(範囲85~233mmol/kg dm)、炭水化物+タンパク質条件では129mmol/kg dm(範囲64~235mmol/kg dm)だった。

19件のうち、運動後の炭水化物+タンパク質摂取が炭水化物単独よりも筋グリコーゲン再合成速度に優れていると結論付けていたのは2件、反対に炭水化物単独のほうが優れていると結論付けていたのが1件、他の16件は有意差なしと結論づけていた。なお、炭水化物+タンパク質摂取が優れていると報告していた2件は、炭水化物摂取量が少ない傾向にあった。

メタ解析の結果、炭水化物+タンパク質条件は炭水化物単独条件と比較し筋グリコーゲン再合成速度に有意差はなく(0.4mmol/kg dm/時,95%CI;-2.7~3.4,p=0.805)、両条件で同等であることがわかった。運動後の筋グリコーゲン濃度、回復時間、摂取エネルギー量、運動の種類などの違いは、この結果に影響を与えていなかった。

運動後8時間は1時間未満の間隔で炭水化物を摂取

以上の検討から著者らは、「運動後の炭水化物とタンパク質の同時摂取は、炭水化物の単独摂取に比べて筋グリコーゲンの再合成速度を速めるようにはみえない。一方で、炭水化物の摂取間隔が、筋グリコーゲン再合成速度に影響を与える可能性のある重要な要因であると思われる。アスリートは、運動後の回復時間(8時間以内)にわたり、少なくとも1時間ごとに(またはより頻繁に)炭水化物を摂取することがに推奨される」と結論をまとめている。

なお、本研究と同様の目的で行われたメタ解析が既に行われており、その論文ではタンパク質同時摂取の優位性を報告していた。その既報論文と本研究の差異として著者らは統計解析の手法的なことの違いのほかに、本研究においては筋グリコーゲン濃度を正確に測定できる針生検を用いた研究のみを採用していること(既報論文は画像検査で評価した研究も採用)の差異を指摘している。また、既報論文では炭水化物+タンパク質のみでなく、脂質も追加摂取した研究も含めていたり、回復中の摂取回数が明確に記されていない論文も採用しているが、本研究では除外するなど、解析に含めた研究が部分的に異なることも、結果に影響を及ぼしたという。

また、本研究の限界点としては、英語論文のみを採用したこと、筋グリコーゲン再合成速度に影響を与える可能性のある他の要因(炭水化物の種類、運動負荷の種類・量、評価した筋肉の相違)が存在すること、被験者に女性が少なかったこと(一つ目の研究目的では9.3%、二つ目の研究目的では4.4%)などを挙げている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Effect of Consuming Carbohydrate With and Without Protein on the Rate of Muscle Glycogen Re-synthesis During Short-Term Post-exercise Recovery: a Systematic Review and Meta-analysis」。〔Sports Med Open. 2021 Jan 28;7(1):9〕
原文はこちら(Springer Nature)

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