朝食を抜くよりも夕食を抜いた方が肥満リスクが大きい? 大阪大学の学生を6年追跡調査
朝食を食べない人が体重増加や肥満のリスクが高いことは以前から知られていたが、夕食を欠食することも体重増加と肥満のリスクを高めることが、大阪大学の学生を6年間追跡した調査から明らかになった。「Nutrients」に論文掲載されるとともに、同大学のサイトにニュースリリースが掲載された。夕食の摂取頻度と肥満の関連を示した世界初の研究という。
研究の概要:大学入学前に夕食欠食習慣があった学生は在学中に太りやすい
これまで、朝食を食べない人は肥満のリスクが高いことが知られていた。しかし、昼食または夕食の摂取頻度が肥満に及ぼす影響はほとんど知られてなかった。
今回、大阪大学の研究グループは、同大学の学生2万6,433人の体重変化を6年間追跡した。その結果、入学前1年間に夕食をほぼ毎日食べていた学生と比較して、そうでない学生は、入学後に体重が10%以上増加するリスクが上昇していた(男性1.42倍、女性1.67倍)。また、肥満(BMI25以上)を発症するリスクも上昇していた(男性1.74倍、女性1.68倍)。
毎日夕食を食べる生活習慣が、大学生の肥満の予防につながる可能性が考えられる。
図 1年生男性(a)および女性(b)の夕食摂取頻度と10%以上の体重増加の累積発症率
研究の詳細:夕食の欠食とは有意に関連するが、朝食や昼食は関連せず
研究グループでは、2007〜2015年に同大学に入学した学生2万6,433人の入学前1年間の朝食、昼食、夕食の頻度と在学期間の体重変化の関連を検討した。摂食頻度は、「ほぼ毎日食べている」、「食べないことがある」、「食べないほうが多い」、「ほぼ食べない」の4群に分類した。
男性では、夕食を「ほぼ毎日食べている」と回答した1万7,307人のうち、10%以上の体重増加を認めたのは1,857人(10.7%)だった。それに対して、他の3群(食べないことがある、食べないほうが多い、ほぼ食べないと回答した群)266人では、39人(14.7%)に、10%以上の体重増加を認めた(図a)。
女性も同様に、夕食を「ほぼ毎日食べている」と回答した8,502人のうち、10%以上の体重増加を認めたのは1,436人(16.9%)だったが、それ以外の回答をした358人では、82人(22.9%)に、10%以上の体重増加を認めた(図b)。
多変量解析の結果、朝食をほぼ毎日食べていた学生と比較して、そうでない学生の10%以上の体重増加のリスクは、男性で1.42倍(95%CI;1.02~1.98)、女性1.67倍(95%CI;1.33~2.09)で、男性、女性ともに有意なリスク増加が認められた。さらに、肥満(BMI25以上)を発症するリスクを評価した結果、男性は1.74倍(95%CI;1.07~2.84)、女性は1.68倍(95%CI;1.02~2.78)と、やはり有意なリスク増大が認められた。
一方、朝食や昼食の摂取頻度と体重増加・肥満の関連はみられなかった。
本研究成果が社会に与える影響
著者らは、「本研究は朝食・昼食よりも夕食の摂取頻度が、体重増加・肥満に深く関連していることを、世界で初めて報告した研究。研究対象が学生という未成年~若年成人であったため、今後は成人においても同様の結果が得られるかを明らかにする必要がある」と述べるとともに、「本研究成果により、毎日夕食を食べる生活習慣が大学生の肥満の予防につながることが期待される。大学生の肥満予防には、朝食だけではなく、夕食の摂取頻度にも注意が必要」とまとめている。
関連情報
肥満リスクに新知見!朝食のほかに夕食の摂取頻度にも注意(大阪大学「リゾウ」)
文献情報
原題のタイトルは、「Associations of Skipping Breakfast, Lunch, and Dinner with Weight Gain and Overweight/Obesity in University Students: A Retrospective Cohort Study」。〔Nutrients. 2021 Jan 19;13(1):271〕
原文はこちら(MDPI)