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朝食欠食が頭痛を引き起こす可能性 イランの大学生8万4,000人を調査

朝食の摂取頻度が少ない、つまり朝食を欠食している人は、頭痛もちである可能性が高いことを示すデータがイランから報告された。同国の8万人以上の大学生を対象に行われた横断研究の結果だ。ただし、性別やBMIによる層別解析から、男性や肥満者では交絡因子の調整により、この関係が有意でなくなるという。

朝食欠食が頭痛を引き起こす可能性 イランの大学生8万4,000人を調査

朝食欠食が頭痛を引き起こす可能性

何らかの疾患の影響によるものではなく、頭痛のみが治療対象となる「一次性頭痛」の原因はよくわかっていないが、遺伝的要因のほかに環境因子や行動関連因子の存在が想定されている。行動関連因子の中では食行動が重要と考えられていて、とくに朝食の欠食との関連が示唆されている。

朝食を摂取することで、視床下部-下垂体-副腎系が抑制され、頭痛の発症に関与するコルチゾールなどのストレスホルモン分泌が減少する可能性がある。他方、大学生を含む若年者は朝食欠食率が高いことが知られており、そのことが頭痛の有病率に影響を与える可能性もある。ただしこれらの関連の実態は明らかになっていない。

テヘランの大学生8万4,000人の、朝食摂取頻度と頭痛との関連を調査

約半数が朝食欠食者で、9%が頭痛もち

この研究は、イランの首都であるテヘランにある大学に通う学生8万4,332人を対象に行われ、自記式アンケートによる食事調査に回答した8万3,677人が解析対象となった。朝食の欠食については明確な定義はないが、本研究では、既報により健康状態悪化との関連が示されている1週間の摂食回数が5回未満の場合を「朝食欠食者」と定義した。

一方、頭痛については過去12カ月間に一次性頭痛を経験したか否かを質問して、有無を判定した。風邪や発熱など、他の症状とともに発症した頭痛は除外した。

対象者の年齢は21.50±4.01歳で、54.7%が女性であり、45.6%が朝食頻度が5日/週未満の朝食欠食者に該当した。一次性頭痛の有病率は9.0%だった。

朝食摂取頻度が高い学生ほど、食習慣が良好

朝食摂食頻度が高い群は、女性が多く、身体活動的で、規則正しい睡眠パターンな人、既婚者が多く、反対に喫煙者、肥満者は少なかった。また、乳製品、野菜、果物の摂取量が多く、反対にファストフード、加糖飲料、菓子の摂取量は少なかった。

朝食摂食回数が多いほど頭痛が少ない

朝食摂取頻度が1日/週未満の群(4.9%)を基準に比較すると、摂取頻度が1~2日/週の群(14.9%)の頭痛経験者のオッズ比(OR)は0.84(95%CI;0.75~0.93)、摂取頻度が3~4日/週の群(25.8%)ではOR0.68(95%CI;0.62~0.76)、摂取頻度5日/週以上の群(54.4%)ではOR0.57(95%CI;0.52~0.63)であり、すべて有意に少なく、朝食摂取頻度が高いほど頭痛経験者が少ないという有意な傾向性が認められた(p<0.001)。

頭痛の発症リスクに影響を及ぼす可能性のある因子(年齢、性別、婚姻状況、教育歴、職業、身体活動量、経済状況、喫煙、電子機器の使用、睡眠パターン、高血圧、サプリメントの使用、果物・野菜・ファストフード・加糖飲料・全粒穀物・菓子の摂取量、BMI)で調整すると、朝食摂取頻度が1~2日/週の群では摂取頻度1日/週未満の群との有意差が消滅したが、摂取頻度が3~4日/週の群はOR0.81(95%CI;0.70~0.93)、摂取頻度5日/週以上はOR0.75(95%CI;0.65~0.86)であり、引き続き有意に低リスクだった。また全体としての傾向性も有意性が保たれていた(p<0.001)。

男性やBMI25以上のサブグループ解析では非有意

続いて、性別およびBMI25未満/以上で層別化したサブグループ解析を行った。その結果、交絡因子未調整の解析では、男性/女性、BMI25未満/以上の4群すべてで、朝食摂取頻度が高いほど頭痛経験者が少ないという有意な逆相関が認められた。ただし、前記の交絡因子で調整後は、男性およびBMI25以上の肥満の群では、有意性が失われた。

交絡因子で調整後の各カテゴリーの朝食欠食習慣のない学生(摂食頻度が5日/週以上)が、頭痛経験者であるオッズ比は以下のとおり。男性OR0.86(95%CI;0.68~1.08)、女性OR0.68(95%CI;0.57~0.81)、BMI25未満OR0.68(95%CI;0.59~0.80)、BMI25以上OR1.01(95%CI;0.74~1.37)。

性ホルモンや肥満による慢性炎症が、朝食摂取と頭痛の関連に影響か?

女性では朝食摂取頻度と頭痛に有意な関連がみられるのに対し、男性では有意でないことについて著者らは、「神経系に対する性ホルモンの影響の違いが原因である可能性がある」としている。例えばプロゲステロンとエストロゲンは痛みに対する保護作用があり、女性の一次性頭痛に対する朝食摂取の有益性を媒介する可能性があるという。また、自記式アンケートの精度は、男性は女性よりも低いことが既報で示されており、そのことも結果に影響を与えた一因として考えられると述べている。

一方、BMI25以上の肥満者で有意な関連が認められなかった点については、肥満により無症候性炎症反応が亢進しており、炎症性サイトカインが頭痛の発症と重症度に影響を与える可能性があるため、朝食摂取によるメリットが相殺されたのではないかという。

本研究の結論としては、「大学生の朝食摂取と頭痛の有病率が逆相関することが明らかになった。この関連は、女子学生およびBMI25未満の群で明確だった。頭痛の予防や治療の観点から、この関連のさらなる研究が求められる」と、著者らはまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Breakfast consumption is inversely associated with primary headaches in university students: The MEPHASOUS study」。〔Complement Ther Med. 2021 Jan 15;57:102663〕
原文はこちら(Elsevier)

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