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身体活動質問票による活動量の評価について、疫学調査における妥当性を確認

一般住民の身体活動量を把握する方法の一つとして、身体活動質問票を用いたアンケート調査がよく行われる。これまでその正確さは十分に検証されていなかったが、国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)から、疫学研究に用いるには妥当な正確さが認められることが示された。「Preventive Medicine Reports」に論文掲載されるとともに、国立がん研究センター予防研究グループのサイトにプレスリリースが掲載された。

身体活動質問票による活動量の評価について、疫学調査における妥当性を確認

研究の背景:身体活動の強度について

身体活動とは、「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動作のこと」を指し、大きく運動と生活活動に分類される(図1)。身体活動はその強度によって、低強度(1.5~3.0Mets未満)、中強度(3.0~6.0Mets未満)、高強度(6.0Mets以上)に分けられ、低強度よりも低い強度の活動は座位行動と呼ばれる。

表1 身体活動の定義と強度分類

身体活動の定義

身体活動:安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動作のこと

  1. 運動:身体活動のうち、体力の維持向上を目的として、計画的・意図的に実施し、継続性のある活動
  2. 生活活動:身体活動のうち、日常生活における労働、家事、通勤・通学など
強度 運動の例 生活活動の例
座位行動
(1.5メッツ以下)
デスクワーク・読書・テレビを見る
低強度身体活動
(1.5超3メッツ未満)
ビリヤード・ダーツ・キャッチボール 立位(会話・電話など)・料理・洗濯・ゆっくりした歩行
中強度身体活動
(3以上6メッツ未満)
卓球・野球・ボウリング・ゴルフ 普通の歩行・早歩き・自転車に乗る
高強度身体活動
(6メッツ以上)
ジョギング・サッカー・テニス・柔道・水泳 重い荷物の運搬
世界保健機関(WHO)や厚生労働省が推奨する活動は「中高強度の身体活動」である

(出典:国立がん研究センター予防研究グループ)

これまで身体活動には、肥満や心血管疾患を予防することや、死亡のリスクを下げるなど、さまざまなプラスの影響があることが報告されている。とくに、中強度以上(3Mets以上)、つまり歩行程度以上の身体活動(中高強度の身体活動)と良好な健康状態との関連が数多く報告されている。そのため、厚生労働省が定める「身体活動ガイドライン(健康づくりのための身体活動基準2013)」や世界保健機関(WHO)のガイドラインは、健康増進のために中強度以上(中高強度)の身体活動を推奨している。

しかし、日本人ではガイドラインで示される中高強度の身体活動を行うことの健康への影響について、科学的根拠は未だに十分とは言えず、中高強度の身体活動と健康への研究を進めていくために、身体活動質問票と実際の身体活動量との評価を行うことが重要になる。

研究方法の概要

今回の研究では、新潟県長岡、長野県佐久、東京都葛飾、沖縄県宮古の4保健所管内の住民のうち、多目的コホート研究の10年後調査に参加し、かつ調査アンケートの身体活動質問票および行動記録票に3~6カ月間隔で2回回答した110人の男女を対象とした。

はじめに、身体活動質問票で把握した身体活動の内容にあわせて、それぞれ適切な強度(Mets)をあてはめ(表1)、さらに、各身体活動の実施頻度と、1回あたりの時間から、週あたりの強度別の身体活動量(Mets・時/週)を計算。次に、身体活動質問票から推定した強度別の身体活動と、詳細な行動記録票による強度別の身体活動との相関係数から身体活動質問票による強度別の身体活動の妥当性を検討し、また身体活動質問票の2回の回答間の相関係数から身体活動質問票による強度別の身体活動の再現性を検討した。

表2 身体活動質問票で把握する身体活動とその強度
身体活動質問表で把握した身体活動 強度(分類)
仕事中 座っている時間 1.3メッツ(座位行動)
立っている時間 2.0メッツ(低強度)
歩いている時間 3.0メッツ(中強度)
力仕事をする時間 6.0メッツ(高強度)
余暇 散歩などゆっくり歩く 2.8メッツ(低強度)
ウオーキングなど早足で歩く 4.0メッツ(中強度)
ゴルフ・ゲートボール・庭いじりなどの軽・中強度の運動 3.0メッツ(中強度)
テニス・ジョギング・エアロビクス・水泳などの激しい運動 6.0メッツ(高強度)

(出典:国立がん研究センター予防研究グループ)

身体活動質問票から推定した身体活動の妥当性と再現性

身体活動質問票から推定した強度別の身体活動量と、行動記録票から算出した実際の身体活動量との妥当性(正確さ)の相関係数は、中強度で0.300、中高強度で0.610、総身体活動量で0.672だった。また、測定の再現性(確からしさ)の相関係数は、中強度で0.482、中高強度で0.645、総身体活動量で0.684だった(表2)。

表3 身体活動量の妥当性と再現性
妥当性(正確さ) 再現性(確からしさ)
中強度身体活動量 0.300 0.482
中高強度身体活動量 0.610 0.645
総身体活動量 0.672 0.682

(出典:国立がん研究センター予防研究グループ)

疫学研究への使用には妥当な信頼性

この結果から、研究グループでは、「身体活動質問票で推定した中強度および中高強度の身体活動量は、疫学研究を行うために必要なある程度の正確さがあることがわかった。ガイドラインで推奨されている中高強度の身体活動の評価を行うためにも妥当な質問票であり、そこから得られる多くの知見の確からしさを支持するものと考えられる」と結論をまとめ、「今後、ガイドラインで推奨されている中高強度の身体活動と、糖尿病、癌、脳卒中、心筋梗塞などの疾患との関連を調べる上での重要な基礎資料となる」と述べている。

なお、本研究の限界として、身体活動質問票から推定した高強度の身体活動量の妥当性の相関が-0.095と低値であったことを挙げ、その理由として、「本研究の対象者が中年から高齢者に偏っており、高強度の身体活動の実施者が少なかったため、統計学的に十分な検討ができなかったことが考えられる」と考察し、「今後、若年者を含めて検討するなど、さらなる研究が必要」と付記している。

プレスリリース

身体活動質問票から得られた強度別身体活動の正確さについて(国立がん研究センター予防研究グループ)

文献情報

原題のタイトルは、「Intensity-specific validity and reliability of the Japan Public Health Center-based prospective study-physical activity questionnaire」。〔Prev Med Rep. 2020 Aug 6;20:101169〕
原文はこちら(Elsevier)

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