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蛋白質の総摂取量が多いことが死亡リスクの低さと関連 32件の研究のメタ解析

蛋白質の総摂取量が多いことが死亡リスクの低さと関連 32件の研究のメタ解析

蛋白質摂取量と生命予後との関連は研究により異なり、一致した結論が得られていないが、「BMJ」誌に最近掲載されたシステマテックレビューとメタ解析から、蛋白質の総摂取量が多いことは死亡リスクの低さと関連していることが示された。総蛋白質摂取量と全死亡との関連のほか、植物性蛋白質の摂取量は心血管死のリスク低下とも関連していたという。

これまでの報告のまとめ

心血管疾患と癌は多くの国における主要な死因であり、その抑制に食事療法が重要な役割を果たす。近年、高蛋白摂取への指向が世界中で高まっている。これは、減量、筋肉量の維持、および筋力の増加に影響を与える可能性があることが、人気の一因である。

高蛋白食は血清脂質の低下と関連しているとみられるが、動物性蛋白質の摂取は心血管疾患や一部の癌の発生率の増加との間に有意な正の関連があると報告されており、これは動物性蛋白質中の含硫アミノ酸に起因する可能性がある。一方、総蛋白質摂取量と生命予後との関連は、いくつかの研究で死亡リスクの低下と関連していたが、他の調査ではそうではなく、結論を得るに至っていない。

このような状況を背景として、この研究では、前向きコホート研究の系統的レビューと用量反応メタアナリシスにより、総蛋白質、動物性蛋白質、植物性蛋白質の摂取量と、すべての原因による死亡(全死亡)、心血管疾患による死亡、および癌による死亡リスクとの間の用量反応関係を定量化することが試みられた。

研究の手法と対象の特性

2019年12月31日までに、PubMed/Medline、ISI Web of Science、Scopusなどのオンラインデータベースに公開された論文を対象とし、言語や公開時間に制限を設けず体系的な検索が行われた。採用基準は、18歳以上の成人を対象とする観察的前向き研究、比較対照研究であり、蛋白質摂取量と死因との関連を調査した研究。死因については国際疾病分類第10版(International Classification of Diseases-10;ICD-10)に基づいて分類された。レター、レビュー、メタアナリシス類の記事、および小児・若年者、慢性腎臓病、血液透析、末期癌、その他重篤な疾患の有病者が対象に含まれる報告は除外した。また、蛋白質量の代替指標として尿素窒素を用いた研究、蛋白質摂取量を個々の食品の量で表すなど正確な蛋白質摂取量が明確でない研究も除外した。

検索でヒットした論文は1万8,683件で、採用基準を満たすものとして32件が抽出された。これらの研究の検討対象者数は288~13万5,335人に分布し合計71万5,126人、年齢は19~101歳、追跡期間は5~32年、追跡中の死亡者数は11万3,039人、心血管死1万6,429人、癌死2万2,303人だった。蛋白質摂取量の評価には、11件の研究が食事内容の記録または思い出し法、19件は食物摂取頻度調査を用いていた。

結果の概要

それでは結果をみてみよう。全死亡、心血管死、癌死について、総蛋白質摂取量、動物性蛋白質摂取量、植物性蛋白質摂取量の順に記載する。

全死亡との関連

総蛋白質摂取量と全死亡の関係を報告した論文は23件で、そのうち6件が全死亡との有意な逆相関を報告していた。正相関の報告はみられなかった。検討対象者数で重みづけしたメタ解析の結果、総蛋白質摂取量が多いと全死亡リスクが低下するという有意な関連が認められた(効果量0.94,95%CI:0.89-0.99)。

動物性蛋白質摂取量と全死亡の関係を報告した論文は13件で、そのうち2件が全死亡との有意な逆相関を報告し、1件は有意な正相関を報告していた。検討対象者数で重みづけ後のメタ解析の結果、動物性蛋白質摂取量と全死亡リスクの間には有意な関連が認められなかった(効果量1.00,95%CI:0.94-1.05)。

植物性蛋白質摂取量と全死亡の関係を報告した論文は15件で、そのうち5件が全死亡との有意な逆相関を報告していた。正相関の報告はみられなかった。メタ解析の結果、植物性蛋白質摂取量が多いと全死亡リスクが低下するという有意な関連が認められた(効果量0.92,95%CI:0.87-0.97)。

心血管死との関連

総蛋白質摂取量と心血管死の関係を報告した論文は12件で、そのうち1件が心血管死との有意な逆相関を報告し、1件は有意な正相関を報告していた。メタ解析の結果、総蛋白質摂取量と心血管死リスクの間には有意な関連が認められなかった(効果量0.98,95%CI:0.94-1.03)。

動物性蛋白質摂取量と心血管死の関係を報告した論文は10件で、そのうち1件が心血管死との有意な逆相関を報告し、1件は有意な正相関を報告していた。メタ解析の結果、動物性蛋白質摂取量と心血管死リスクの間には有意な関連が認められなかった(効果量1.02,95%CI:0.94-1.11)。

植物性蛋白質摂取量と心血管死の関係を報告した論文は12件で、そのうち5件が心血管死との有意な逆相関を報告していた。正相関の報告はみられなかった。メタ解析の結果、植物性蛋白質摂取量が多いと心血管死リスクが低下するという有意な関連が認められた(効果量0.88,95%CI:0.80-0.96)。

癌死との関連

総蛋白質摂取量と癌死の関係を報告した論文は13件で、そのうち1件が癌死との有意な逆相関を報告していた。正相関の報告はみられなかった。メタ解析の結果、総蛋白質摂取量と癌死リスクの間には有意な関連が認められなかった(効果量0.98,95%CI:0.92-1.05)。

動物性蛋白質摂取量と癌死の関係を報告した論文は10件で、有意な逆相関または正相関は報告されておらず、メタ解析の結果も非有意だった(効果量1.00,95%CI:0.98-1.02)。また、植物性蛋白質の摂取量に関しても結果は同様だった(効果量0.99,95%CI:0.94-1.05)。

結果の解釈には人種・民族の相違に留意が必要

以上の結果から著者らは、「総蛋白質摂取量が多いと全死亡リスクが低くなり、また、植物性蛋白質の摂取は全死亡に加え心血管疾患による死亡リスクの低下とも関連していた。これらは血清脂質のプロファイル、血圧、血糖調節などの心血管代謝リスク因子に対する有益な効果と一致している。植物性蛋白質の摂取量は動物性蛋白質から置き換えることで比較的容易に増やすことができ、寿命に大きな影響を与える可能性があるため、この結果の公衆衛生に対するインパクトは大きい。植物性蛋白質からのエネルギー摂取比率を3%増やすことは、全死亡リスクの5%低下と関連している。ただし、メタ解析に含まれた研究のほとんどは西側諸国からのものであるため、それ以外の国にこの結果を外挿することは慎重であるべきで、さらなる研究が求められる」とまとめている。

なお、植物性蛋白質の摂取が死亡リスクを低下させるメカニズムについては、腸内細菌叢への影響や植物性蛋白質由来の生理活性ペプチドが抗酸化作用、抗炎症作用、血清脂質改善作用などをもたらすこと、また、動物性蛋白質とのアミノ酸組成の違いが健康面への影響に差をもたらす可能性などを考察している。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary intake of total, animal, and plant proteins and risk of all cause, cardiovascular, and cancer mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies」。〔BMJ. 2020 Jul 22;370:m2412〕
原文はこちら(BMJ Publishing Group)

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