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食後の運動は健康状態にかかわらず一過性の低血糖を惹起する可能性

運動中に炭水化物の利用が増加し筋グリコーゲンの貯蔵が枯渇し始めると、低血糖のリスクが上昇する。低血糖状態では、頭痛、吐き気、かすみ目、めまいなどが現れパフォーマンスが低下する。

健常者に生じるこのような運動誘発性低血糖によるパフォーマンス低下リスクを最小化するために、これまで、適切な食事のタイミングや炭水化物摂取量を探る目的で研究が進められてきた。それらの研究では、比較的長時間または高強度の運動による低血糖リスクへの影響が調査されることが多い。一方で中等強度の運動が健常者に低血糖を引き起こすか否かは明確になっていない。

食後の運動は健康状態にかかわらず一過性の低血糖を惹起する可能性

今回紹介する論文の著者らは、中等強度の運動が血糖に及ぼす影響を、肥満また非肥満の一般健常者および肥満糖尿病患者を対象とする、食後の運動負荷条件と安静条件のクロスオーバー試験で検討した。

検討の対象と研究デザイン

この検討の対象は、18名の非肥満健常者と18名の肥満健常者、および10名の肥満2型糖尿病患者。年齢は25〜65歳で平均46.3±2.1歳。非肥満者はBMI25未満、肥満者はBMI30~45で、いずれも過去6カ月間体重が安定している者とした。喫煙者および妊娠中の女性と経口避妊薬を服用している女性は除外した。また、以下の研究実施に際し、糖尿病患者は研究日前夜からの血糖降下薬の使用を中止してもらった。

研究の前日に、被験者にはその日の夕食と翌日(研究当日)の栄養バランスが統一された朝食、軽食、昼食が支給された(炭水化物56.1%、脂質21.5%、蛋白質22.4%)。研究当日は7:00に朝食、12:00に昼食を摂取した後、研究室を訪れ18:00に夕食(炭水化物40%、脂質35%、蛋白質25%)を摂取。その後は、安静条件では就寝まで座位で過ごしてもらい、運動負荷条件では20:00から45分間、55%VO2maxでトレッドミルによる運動をしてもらった。夕食開始20分前から翌朝7:00まで定期的に血液が採取され、本研究ではそのうち前半5時間分の検査データを解析に用いた。

低血糖は、血糖値70mg/dL未満と定義した。

各群・各条件の血糖、インスリン、グルカゴンの推移

結果について、まず血糖値の推移の概略をまとめると、糖尿病患者は健常者の2群(肥満または非肥満者)に比較して、運動負荷および安静の両方の条件で、食後の血糖値が有意に高かった(p<0.05)。また、運動負荷条件では、糖尿病患者の運動後の血糖値の低下幅(-98.4±13.3mg/dL)は、肥満健常者(-44.8±7.1mg/dL)や非肥満健常者(-39.3±6.1mg/dL)に比較して、有意に大きかった(p<0.01)。

性別の検討では、両方の条件で男性よりも女性の血糖低下幅が大きかった(p<0.01)。

その他、インスリンやグルカゴンについては、肥満の男性は肥満の女性よりも運動負荷によるインスリン分泌の低下が大きいことや(p=0.01)、運動負荷条件でのグルカゴン濃度は安静条件と比較して上昇すること(p<0.001)、肥満糖尿病の男性は女性と比較して安静条件、運動負荷条件ともにグルカゴン濃度の上昇幅が大きいこと(p<0.01)などが明らかになった。

すべての群・条件で低血糖が一定数発生

血糖値の最低値は、肥満糖尿病患者は80.1±5.0mg/dL、肥満健常者は60.2±4.0mg/dL、非肥満健常者は53.3±3.7mg/dLだった。低血糖(血糖値70mg/dL未満)は、すべての群・条件において、少なくとも一部の被験者に認められた。

具体的には、安静条件では、17名の非肥満健常者、12名の肥満健常者、および4名の肥満糖尿病患者に低血糖が記録され、運動負荷条件では、17名の非肥満健常者、17名の肥満健常者、および5名の肥満糖尿病患者に低血糖が記録された。さらに、15名の非肥満健常者、10人の肥満健常者、および2人の肥満糖尿病患者は、両方の条件で低血糖が記録されていた。

血糖値が60mg/dL未満の低血糖も記録されていた。安静条件では、12名の非肥満健常者、7名の肥満健常者、2名の肥満糖尿病患者がこれに該当し、運動負荷条件では同順に、16名、14名、4名が60mg/dL未満となっていた。

さらに血糖値が50mg/dL未満のより重度な低血糖も記録されていた。その人数は、安静条件では同順に、3名、2名、0名、運動負荷条件では14名、6名、1名だった。

なお、低血糖症状は肥満糖尿病群の2名で認められたが、その時点の血糖値は70mg/dL以上だった。

午前中や日中にも低血糖は起きているのか?

著者らは本研究を「トレーニングを受けていない人を対象とする食後の中等強度運動関連低血糖に関する最初の研究」と位置付けている。そして、研究の結果、「夕食をとること自体が、食事から約2時間後に血糖値の低下をもたらし、運動負荷によってさらなる血糖低下が誘発され、低血糖の可能性が上昇した。このような血糖変動は、個々の糖代謝プロファイルが大きく異なるにもかかわらず、すべての被験者で発生した。運動終了後はすべての被験者で正常血糖レベルに回復した」とまとめている。

また、「これと同様の血糖変動が、朝や午後の早い時刻にも発生しているか否かを確認するために、1日のさまざまな時間帯で検討する必要がある」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Post Meal Exercise May Lead to Transient Hypoglycemia Irrespective of Glycemic Status in Humans」。〔Front Endocrinol (Lausanne). 2020 Sep 2;11:578〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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