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アスリートの'乱れた食行動'に関するオーストラリアのコンセンサスステートメント 

2020年08月15日

オーストラリアのスポーツ協会(The Australian Institute of Sport)と摂食障害関連組織(National Eating Disorders Collaboration)はこのほど、アスリートの'乱れた食行動'に関するコンセンサスステートメントをまとめた。乱れた食行動がアスリートの健康やパフォーマンスに及ぼす影響、早期発見、栄養評価、心理的評価、競技への復帰、予防・教育などの11項目にわたり、計約40項目のステートメントで構成されている。

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最適な栄養状態と摂食障害の間に位置する'乱れた食行動'

乱れた食行動(disordered eating.DE)は、最適な栄養状態(optimised nutrition)と摂食障害(eating disorder.ED)の中間にあたる。頻繁に食事を抜く、強迫的に食事をとるなどの行動がみられるが、摂食障害(ED)の診断要件は満たさない。

アスリートはそれぞれのキャリアのなかで、例えばオフシーズンに、あるいは負傷したときなどに摂食行動が変化する。そして、ときに摂食障害に至らずとも乱れた食行動(DE)を呈することがある。DEがEDに悪化すると、アスリートのキャリアとは無関係に、健康とパフォーマンスに影響が及ぶリスクが高まる。

有病率とリスク因子

アスリートのDE・EDの推定有病率は報告により、男性0〜19%、女性6〜45%とされている。これは非アスリートに比べて高い値だが、競技種目と個人特性によりその有病率、リスクは異なる。

体重の減少または増加、および身体組成の維持が要求される競技や環境では、DEのリスクは上昇する。審美系スポーツも同様。

乱れた食行動(DE)の早期発見

アスリートのDEは常に発生する可能性がある。DEを早期発見し適切に介入することで良好な結果につながるが、アスリート自身の知識不足や羞恥などのために本人が周囲に助けを求めることには妨げがある。

介入の遅れによりDEがEDに悪化することがある。EDは精神疾患のなかで最も死亡率が高い疾患の一つである。スポーツ栄養士、医師、心理学専門家などのサポートチームが警告サインに気づくことが重要。

DEの警告サイン(抜粋)

  • 行動の変化:
    食べ物、カロリー、体型、体重へのこだわり/二極化・二分的思考/食後に浴室へ行く/暴食を示唆するもの(食品の大量購入、隠された食品包装紙)/食事摂取またはトレーニングを隠れて行う
  • 物理的な変化:
    体重増加・減少/体型を隠すような重ね着/容赦のない過度なトレーニング/怪我や病気の回復が不十分な状態でのトレーニング/骨ストレス傷害/ホルモン機能不全(月経周期の乱れ、性欲・勃起機能の低下)/頻繁な病気/脱水/肌の感想/成長・発育の鈍化
  • 心理的な変化:
    執着・貧弱などのメンタル/身体への注意・要求の増加

DEのスクリーニングと栄養評価

一般集団のDEやEDをスクリーニングするツールは複数開発されているが、アスリートを対象とするツールでエビデンスのあるものは少ない。現在、一般集団を対象とするED診断のゴールドスタンダードである「摂食障害検査17.0(Eating Disorder Examination 17.0;EDE17.0)」やその短縮版などのアスリートへの適用が試みられている。

スポーツ栄養士の役割

スクリーニングでDEの可能性があるとされたアスリートは、DEまたはED、および低エネルギー可用性(low energy availability;LEA)の確認のため、スポーツ栄養士に紹介されるべきである。

スポーツ栄養士は次に挙げる事項を担う。食事歴と栄養評価、アレルギーの有無を確認する。エネルギー可用性の評価。DEまたはEDの危険因子と警告サインを確認し、アスリートが摂食行動のスペクトルのどこに位置しているのかを評価する。

アスリートは、体重が安定していても摂取エネルギーが不足していることがある。よって体重のみを判定の指標としてはならない。スポーツ栄養士は、アスリートの食品の選択に対する心理的要因や文化的背景等を理解し、適切で的を絞った栄養介入を適用する。

LEA、DE、ED、および6カ月以上無月経が続くアスリートは、骨密度を評価すべきである。その際、体重がかかる競技のアスリートは、非アスリートより5~15%高い骨密度を維持する必要があることに留意する。食品からのカルシウム摂取が不十分な場合、サプリメントの使用が考慮されるが、その決定はスポーツ栄養士による十分な食事評価の後になされるべきである。

本ステートメントでは上記のほかにも、DEの医学的評価、コアとなる学際的チームの形成、女性アスリート、男性アスリート、メンタルヘルス、治療と継続的モニタリング、家族および社会的ネットワーク、健康なスポーツシステムの構築などのテーマを掲げ、詳細に解説。それらの解説の上で、冒頭に述べたように、約40項目のステートメントを箇条書きで列記している。

文献情報

原題のタイトルは、「The Australian Institute of Sport (AIS) and National Eating Disorders Collaboration (NEDC) position statement on disordered eating in high performance sport」。〔Br J Sports Med. 2020 Jul 13;bjsports-2019-101813〕
原文はこちら(BMJ Publishing Group Ltd & British Association of Sport and Exercise Medicine)

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