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ヨーロッパで最も肥満した国、ハンガリーの人は身体活動量が少ないわけではない

2020年08月01日

経済協力開発機構 (Organisation for Economic Co-operation and Development;OECD) の2016年のデータによると、欧州で最も肥満率が高い国はハンガリーであり、世界全体を見渡してもハンガリーよりも肥満率が高い国は、米国、メキシコ、ニュージーランドの3カ国のみだ。ハンガリーの15歳以上の半数以上、55.5%が肥満または過体重であると報告されており、ハンガリーでは肥満と強く関連する非感染性疾患(Non-communicable diseases;NCD)に起因する早期死亡率が極めて高く、出生時点の平均余命がEUの平均よりも約5年短い。

ヨーロッパで最も肥満した国、ハンガリーの人は身体活動量が少ないわけではない

肥満は不健康な食生活と運動不足によって助長される。では、ハンガリーの人は運動不足なのだろうか。この疑問に答えるため、身体活動量の評価に広く用いられている国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)のロングバージョンを用いて、ハンガリー人の身体活動量を評価した結果が今回紹介する論文だ。

ハンガリーの人口分布を考慮して研究対象をサンプリング

この研究は、18歳以上のハンガリー国民1,343人を対象に行われた。同国の人口の、性別、年齢、居住地などの分布を考慮し、国民全体の平均と一致するようにサンプリングされた。

身体活動量の把握に用いたIPAQのロングバージョンからは、仕事、移動、家庭内での活動、余暇活動、座位時間などの情報が収集され、このほか、性別、年齢、居住地域、婚姻状況、教育歴、職業、世帯収入、身長、体重などの社会人口統計学的変数が、Webまたは電話インタビューにより収集された。身体活動量はIPAQの基準に基づき、「少ない」「中等度」「多い」の3群に分類し検討した。

解析対象者の背景

最終的に解析対象となったのは1,295人で、主な背景は、男性が47.7%であり、年齢分布は18〜29歳が28.3%、30〜49歳が39.1%、50〜59歳が16.1%、60歳以上が25.4%。居住地域は首都のブダペストが17.3%を占め、BMIは18.5~25未満の普通体重が35.6%、25~30未満の過体重が33.7%、30以上の肥満が23.6%。

身体活動量が「少ない」は12%弱

身体活動量は、63.39%が「多い」、24.78%が「中等度」と判定され、「少ない」と判定されたのは11.73%のみだった。

この結果を対象者の属性別にみてみよう。

女性より男性、都市部より地方で身体活動量が多い

まず、性別にみると、身体活動量が「多い」に該当したのは男性では67.1%、女性では60.0%であり、有意に男性のほうが多かった(傾向性p=0.021)。一方、年齢層での比較では、有意差は認められなかった(傾向性p=0.609)。

教育歴とも有意な関連が認められ、身体活動量が「多い」に該当したのは、初等教育まで受けた群は69.2%、中等教育まで受けた群は68.6%、高等教育を受けた群は55.6%であり、教育歴が長い人ほど身体活動量が少なかった(傾向性p<0.001)。

また居住地域とも有意な関連があり、身体活動量が「多い」に該当したのは、首都ブダペストで55.0%、ブダペスト以外の都市部で59.6%、地方の町で66.3%、地方の村で70.0%と、都市部よりも非都市部の居住者で身体活動量が多かった(傾向性p=0.002)。IPAQの回答からは、非都市部の生活者は都市部の生活者よりも、家事やガーデニング、歩行や自転車による移動が多いことが示された。

ハンガリー国民の身体活動の傾向を6つのクラスターに分類

以上のような量的解析に加えて著者らは、ハンガリーの人の身体活動の傾向を、以下の6つに分けるという質的な検討も行った。

  1. 18~29歳の男性。体重は最適であることが多く、独身であり都市部に居住。仕事と余暇での身体活動が多い。
  2. 30〜39歳の女性。地方の町や村に居住していて、BMIは適正であることが多い。仕事や家事を通じて高い身体活動量を維持している。
  3. 60歳以上の男性。地方の町に居住していて、過体重か肥満であることが多い。仕事を通じて高レベルの身体活動を維持し、40%はスポーツも行っている。
  4. 50~60歳の男性。都市や町に居住し、過体重または肥満に該当する群。仕事を通じて中等度から高レベルの身体活動を行っているが、67%は余暇にスポーツをしていない。
  5. 50歳以上の女性。都市や町に居住し、体重は普通。家事や仕事で高レベルの身体活動を行っているが、移動関連の活動性は低い。
  6. 都市部に居住する40歳以上、多くは60歳以上の女性。大半が過体重か肥満。家事を通して高レベルの身体活動を行っている。

これら6つのクラスターのすべてが、仕事や家事を通して中等度または高レベルの身体活動量を満たしているが、移動に関連する活動や余暇時間のスポーツ活動にはクラスター間の差が存在するという。また、都市部に居住する高齢の既婚者の多くは過体重だとしている。

ハンガリー人は活発な生活を送っている

これらのデータをもとに著者らは以下のような結論を述べている。

「ハンガリー人は仕事と家事を中心に、活発な日常生活を送っている。近年の研究では、身体活動による健康上のメリットは、余暇活動による活動かそうでないかとは関係がなく、身体活動の種類とは無関係に現れることが指摘されている。ハンガリー人の88.27%は中等度から高強度の身体活動を行っており、平均以上の結果と見なすことができる。その一方で、余暇スポーツや移動手段に関連した身体活動の増加を目指す必要性が認められる」

文献情報

原題のタイトルは、「Physical Activity of the Population of the Most Obese Country in Europe, Hungary」。〔Front Public Health. 2020 Jun 2;8:203〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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