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アスリートと虫歯の関係、その有病率は? 文献レビューとメタ解析の結果

2020年06月15日

アスリートにとって、う蝕(虫歯)はパフォーマンスに影響を与える可能性のある厄介な疾患だ。そのアスリートの虫歯の有病率を、メタ解析から割り出した結果が報告された。推定有病率は、46.25%だという。

アスリートと虫歯の関係、その有病率は? 文献レビューとメタ解析の結果

アスリートは虫歯になりやすい可能性

虫歯は世界で最も広く蔓延している感染性疾患と言え、2010年には24億人が罹患していると報告されている。そしてアスリートは、虫歯のリスクがより高いと考えられている。

アスリートが虫歯のリスクが高いとされる理由として、食事の頻度、運動の過剰不可による免疫能への影響、運動中の唾液の流動性の減少、スポーツドリンクの過剰飲用、口腔衛生に関する知識の欠如などが想定されている。文献的には、アスリートの虫歯の有病率は8.57~84%と大きな乖離がみられる。一般には、先進国と比較した場合、開発途上国で高いと考えられる。

著者らは、2017年4月までに発行された論文を、PubMed、Scopus、Web of Scienceなどの電子データベースを利用し検索した。用いた検索キーワードは、「スポーツ」「アスリート」「虫歯(デンタルカリエス)」。1,376本の報告がヒットし、これを2人の独立クリした研究者が採用基準に基づき選択。最終的に5本の論文が解析対象となった。

アスリートの虫歯有病率は46.25%。ただし有意な不均一性

選択された論文はすべてが横断研究であり、研究対象者数は25~278人で合計559人だった。対象アスリートの競技種目は、3件がサッカー、1件はトライアスロン、1件は25種類の競技アスリートを対象としていた。

ランダム効果モデルによりアスリートの虫歯の推定有病率は46.25%となった。ただし報告による差が大きく95%信頼区間は28.73~64.27で、有意な不均一性が認められた(p<0.000)。

この検討の結果から著者らは、結論を「このシステマティックレビューとメタアナリシスによると、アスリートの虫歯の推定有病率は46.25%と高く、とくに開発途上国のアスリートの虫歯推定有病率が高い。この有病率の推定値は、今後の虫歯の予防策および研究において重要な意味を持つと考えられる」と述べている。

解析対象となった5件の研究

報告年(年)研究デザイン対象者数(人)競技種目年齢(歳±標準偏差)虫歯有病率(%)
2016 タイ横断研究25 サッカー27.5±4.2784.000
2015 UK横断研究187 フットボール不明36.898
2015 ドイツ横断研究35 トライアスロン36.8±7.28.571
2013 イングランド横断研究278 25.755.036
1983 イングランド横断研究34 フットボール不明52.941
:陸上、ボクシング、ホッケー、水泳、水球、柔道、ボレーボール、射撃、フットボール、重量挙げ、フェンシング、アーチェリー、ハンドボール、ビーチバレー、テコンドー、レスリング、サイクリング、バスケットボール、カヌー、体操、馬術、セーリング、卓球、ボート、バドミントン

文献情報

原題のタイトルは、「Estimated prevalence of dental caries in athletes: An epidemiological systematic review and meta-analysis」。〔Indian J Dent Res. Mar-Apr 2020;31(2):297-304〕
原文はこちら(PubMed)

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