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脂肪酸の口内洗浄で空腹感が低下、その影響は脂肪味に感受性が高い人でより顕著

2020年03月25日

脂肪酸を添加した水溶液で口内洗浄(口すすぎ)をすると、空腹感が減り満腹感が増すというデータが報告された。体重管理のための食欲調整に、脂肪の味を活用可能かもしれない。ただし研究結果から、この影響は脂肪味に対する感受性が高い人ほど強く、感受性が低い人で影響が少ないことも明らかになった。

脂肪酸の口内洗浄で空腹感が低下、その影響は脂肪味に感受性が高い人でより顕著

口の中で満腹感を感じる?

消化管に存在する脂肪酸受容体の反応は、満腹中枢を刺激し胃内容排出の遅延誘発へとつながる。このシグナル伝達により摂食時には摂食量の減少、および摂食後の食欲を抑制するように働く。また。消化管に存在する脂肪酸と相同性のある受容体が口腔内の舌乳頭にも存在することが報告されており、口腔から消化管全体が食欲の調節にかかわると考えられる。そのため、脂肪酸を口腔内に含むだけでも満腹シグナルが誘発される可能性が想定される。その検証のため、研究者らは以下の検討を行った。

対象は、メルボルン(オーストラリア)の18~50歳の地域住民34名。食物アレルギーのある者、喫煙者、妊娠中・授乳中、食事療法中の者などは除外した。研究開始後に3名が辞退し、31名を解析対象とした。年齢は32.0±8.4歳、BMI26.1、女性55%で、脂肪味覚閾値(数値が高いほど脂肪味に対する感受性が低い)は3.7±3.0。

2条件を各2回のクロスオーバー法で検討

研究デザインは、オレイン酸20mMを添加したスキムミルク、およびオレイン酸無添加のスキムミルクを口に含み30秒間口内洗浄するという条件を、被験者1人に対して各2回、計4回実施するというクロスオーバー法。各実験の間には24時間のウオッシュアウト期間を設け、実験条件の順序は無作為に設定した。

計4日にわたるテストは、10時間以上の絶食(水のみ摂取可)後、毎回午前8時30分に開始。まず、食欲に関するアンケート調査に回答後、提供される朝食を15分以内に接触した。食欲アンケートは、満腹感、空腹感、食べられると思う量、今すぐスナックを食べたいか、今すぎ食事を食べたいかなどの質問で構成され、ビジュアルアナログスケールで点数化した。朝食は推定エネルギー必要量の9%に調整され、脂肪分を含まないものとした。

その後、午前9時にオレイン酸添加または無添加のスキムミルクで30秒含嗽。以後、30分間隔で食欲アンケートを行い、3時間後まで食欲の変化を記録した。食欲との関連の解析は、被験者全体での解析および、脂肪味覚閾値で3群に分けて解析した。

オレイン酸水溶液含嗽で食欲が抑制される

脂肪味覚閾値の全体平均は前述のように3.7±3.0で、脂肪味覚閾値が低い「高感受性群」9名の平均は1.4±0.4、脂肪味覚閾値が中等度の「中感受性群」11名の平均は2.4±0.5、脂肪味覚閾値が高い「低感受性群」11名の平均は7.0±2.1だった。3群間に男女比や年齢などの有意差はなかった。BMIは、高感受性群23.9±3.4、中感受性群26.5±9.2、低感受性群27.6±9.0で、傾向性p値は0.1であり有意ではないが、BMIの高い群ほど脂肪味覚閾値が高かった(脂肪味への感受性が低かった)。

含嗽後の満腹感の推移を、ビジュアルアナログスケールの点数の曲線化面積の平均で比較すると、対象全体ではオレイン酸添加水溶液では168点、対照条件では147点で有意差が認められた(p<0.01)。また空腹感も、同順に147点、170点であり有意差があった(p<0.01)。このことから、脂肪酸を含む水溶液の口内洗浄で食欲が抑制されることが示唆された。

ただし、食欲アンケートで評価した、食べられると思う量などのその他の指標については、有意な差が認められなかった。

脂肪味への感受性が低い人では効果が低い

満腹感を脂肪味覚閾値別に解析すると、高感受性群はオレイン酸添加水溶液で178点、対照条件139点で有意差があった(p<0.01)。しかし、中感受性群は171点、149点、低感受性群は156点、152点で、いずれも有意差がなかった。

空腹感は、高感受性群で140点、183点(p<0.01)、中感受性群で148点、178点(p<0.05)で有意差があった。しかし低感受性群は152点、150点で有意差がなかった。

肥満関連疾患の治療に有望

これらの結果から、著者らは「脂肪酸による口内洗浄は食事の量を減らすうえで、対象者の負担が少ない方法である」とし、「摂取エネルギー量のコントロールが必要な疾患の治療法として大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

その一方で、脂肪味への感受性が低い群で効果が低い傾向が認められ、それらの群で肥満や過体重の割合が高かったことに関し、「脂肪酸含嗽の治療が最もメリットを受けると想定される集団にそのメリットが少ない可能性がある」と問題点を掲示。対策として、脂肪酸の濃度を高めるか、脂肪酸受容体への親和性がより高い不飽和脂肪酸を使用する方法があるとしている。また先行研究で、低脂肪食を短期間続けることで脂肪酸受容体がアップレギュレーションされることが示されていることから、「低脂肪食との併用が脂肪酸含嗽の効果の向上につながるのではないか」と考察している。

結論として、「脂肪酸口内洗浄は、食欲と体重の管理を支えるために空腹感を減らす有望な治療法であると示唆される。臨床的重要性を確かなものとするために、過体重・肥満者を対象とする追試が必要」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「A Fatty Acid Mouth Rinse Decreases Self-Reported Hunger and Increases Self-Reported Fullness in Healthy Australian Adults: A Randomized Cross-Over Trial」。〔Nutrients. 2020 Mar 2;12(3)〕

原文はこちら(MDPI)

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