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介護予防戦略の確立へ 追跡期間10年以上の前向きコホート「文京ヘルススタディー」

我が国は、世界中のどの国も経験したことがない超高齢社会を突き進んでいる。健康寿命の延伸と介護予防戦略の確立は焦眉の急だが、要介護状態となる原因は、関節疾患、認知症、脳卒中、骨折・転倒など多岐にわたり、総合的なアプローチ法はまだ確立されていない。こうした中、東京都文京区の地域高齢者を対象として、認知機能や運動機能が、いつから、どのような人が、なぜ低下するのかを明らかにするための前向きコホート研究が進行中だ。2015年から参加登録がスタートし、5年後にあたる本年、2020年からは参加者の健康状態の再評価が始まる。

介護予防戦略の確立へ 追跡期間10年以上の前向きコホート「文京ヘルススタディー」

この研究は、順天堂大学スポートロジーセンターが主導している「文京ヘルススタディー」。同センターのWebサイトに研究の目的や内容の詳細が記されており、また研究プロトコル論文が先ごろ「BMJ Open」に掲載された。それらの情報から一部を紹介する。

研究の手法

文京ヘルススタディーは、2015~18年に参加者登録が行われた。対象は文京区に住む65~84歳の高齢者。該当する8,629名に説明会への参加を呼びかけ、1,830名が参加に同意。ペースメーカーや除細動器植込み患者、インスリンが処方されている糖尿病患者、および同意を撤回した者を除いた1,629名を追跡対象とした。参加者にはベースライン時において、骨格筋の量・質(インスリン感受性)の測定、認知機能、脳MRI、動脈硬化、関節機能、遺伝子多型、生活習慣(身体活動量・食事内容)などを網羅的に調査した。その後は毎年、郵送による健康状態のアンケートを行い、かつ5年ごとにMRI検査を含めた詳細な検討によって状態の変化を確認する再評価を行い、10年以上に及び追跡を続ける。

登録者の背景

ベースライン時の登録者の主な背景は、男性687名が女性は942名(0.73:1)、年齢73.1±5.4歳(男性73.0±5.3歳、女性73.2±5.4歳で、これは東京都全体の平均と同様。BMIは23.2±3.1、就労またはボランティア活動中が34.6%、独居者が21.0%。既往疾患は、高血圧45.9%、糖尿病11.5%、脂質異常症39.2%、脳血管疾患4.2%、心疾患4.6%、がん2.5%など。

認知機能は、MoCAが25.1±3.0で軽度認知障害(MCI.MoCA22点以下)に該当する頻度は18.1%、MMSEは27.7±1.9で認知症(MMSE23点以下)に該当する頻度は3.3%。画像検査による脳小血管病(SVD)は24.8%にみられ、地域住民を対象とした研究の既報と同等だった。

筋肉機能に関しては、skeletal muscle mass index(SMI.筋骨格量)が男性7.9±0.9kg/m2、女性6.5±0.8kg/m2、下肢の等速性筋力は男性148.4±38.8Nm/kg、女性122.2±32.3Nm/kgだった。

これまでにわかったこと

本研究は2015~18年に参加者が登録されたため、プロトコルによると5年後にあたる2020~23年にかけて最初の再評価、10年後にあたる2025~28年に二度目の再評価が行われ、詳細な検討結果が報告される。しかしベースライン時のデータの横断的解析から、既に明らかになった知見も報告されている。

例えば、高齢者の変形性膝関節症(OA)の痛みと歩行速度等の運動機能との関連について検討した結果、65歳以上の高齢者では約60%が初期の膝OAを呈していた。一方で初期の膝OAを呈する高齢者の多くは、歩行時の痛みは強くないと回答していた。

単純X線とMRIで膝OAを評価し、初期膝OA群と進行期膝OA群の2群に分け、骨密度や骨・軟骨代謝関連因子、ロコモティブシンドローム度テスト、運動機能、メタボリックシンドローム関連因子、認知機能との関連を検討したところ、痛みが強くなくても進行期膝OA群は初期膝OA群と比較し、運動機能や認知機能が低下し、メタボ関連因子が増悪していることが明らかになった。

今年から始まる再評価の結果から、エビデンスに基づいた介護予防戦略が確立されることを期待したい。

関連情報

順天堂大学大学院スポートロジーセンター「文京ヘルススタディー」

文献情報

プロトコル論文のタイトルは、「skeletal muscle function and need for long-term care in a prospective cohort study of urban elderly people in Japan」。BMJ Open. 2019 Sep 17;9(9):e031584〕
原文はこちら(BMJ Open)

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