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クエン酸ナトリウムの副作用対策と効果の最大化につながる摂取方法の検討

クエン酸ナトリウムによるエルゴジェニック効果(スポーツパフォーマンス向上効果)を得るには、既報からその摂取量は500mg/kgが良いとされてる。しかしクエン酸ナトリウムの摂取により消化器症状が誘発されることがあり、それを抑制することが効果の最大化上でネックとなる。また、クエン酸ナトリウムのテーストに対しては個人の嗜好があり、好みに合わないこともある。このような背景から本研究の著者らは、クエン酸ナトリウムの摂取方法を工夫し、副作用を生じにくく効果を得られ、かつ嗜好に左右されにくい方法を検討した。

クエン酸ナトリウムの副作用対策と効果の最大化につながる摂取方法の検討

被験者は運動習慣のある者37名。年齢23.4±3.2歳、男性24名、体重73.5±12.1kg、身長174.2±9.1cm、VO2peak45.7±4.4mL/kg/分。500mg/kgのクエン酸ナトリウムを、カプセルまたは水溶液の状態で摂取し、摂取後240分間にわたり30分間隔で採血し、血中のpHおよび重炭酸塩濃度を測定した。

カプセルで摂取する場合は750mLのスポーツ飲料とともに摂取し、水溶液で摂取する場合は同量のスポーツ飲料に希釈して飲用した。750mLを3回に分け、15分間隔で摂取・飲用し、計30分で摂取を終了した。クエン酸ナトリウムの嗜好性に関しては、非常に嫌いを1点、非常に好きを9点とする9段階評価で定量化した。

カプセルでのテストと水溶液でのテストの間は9±6日のウォッシュアウト期間を設けクロスオーバーさせ、全被験者に2回のテストを行った。なお、摂取のためのスポーツ飲料の量を750mLに設定した理由は、800mLを超えると胃排出速度が低下することが報告されているため。

結果について、まずpHの変化をみると、カプセルで摂取時はベースラインからの増加幅が0.100、水溶液で摂取時は0.082で、カプセルで摂取した時の方が大きく上昇しており、群間に有意差があった。また、ピークに到達するまでの所要時間は、同順に199分、175分で有意差があった。

次に、重炭酸塩濃度のベースラインからの増加幅は、カプセルで摂取時が7.9mmol/L、水溶液では6.8mmol/Lであり、ピーク到達までの所要時間が204分、164分で、いずれも有意差があった。

嗜好性はカプセルで摂取時が6.3、水溶液で摂取時が3.5で、カプセルの方が好まれることが多く、有意差があった。

消化器症状は、摂取から30、60、90、120分後にベースラインに比し有意にスコアが上昇した。ただし150分後以降はベースラインとの有意差は消失した。最も良くみられた症状は腹部膨満感だった。副作用の症状のうち、食欲不振に関してはカプセルで摂取時が水溶液で摂取時に比べて有意にスコアが高かった。消化器症状のトータルスコアは、カプセルで摂取時が5.8、水溶液で摂取時が5.2で、群間に有意差はなかった。

これらの結果の考察として著者らは、問題となる消化器症状がクエン酸ナトリウム摂取後120分まではスコアが上昇したが、アルカローシスの効果は摂取後200分(カプセルで摂取した場合)でピークに到達していることに着目。また、カプセルの方がアルカローシス効果が高く、嗜好性が良く、かつピークまでの到達時間が長くて副作用が出現しやすい時間帯と効果発現の時間帯の時間差が大きいことから、結論として、「500mg/kgのクエン酸ナトリウムを運動開始の少なくとも180分前に、カプセルで摂取することを推奨する」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Sodium citrate ingestion protocol impacts induced alkalosis, gastrointestinal symptoms, and palatability」。〔Physiol Rep. 2019 Oct;7(19):e14216〕

原文はこちら( John Wiley & Sons, Inc)

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