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平昌冬季五輪におけるアスリートの医療サービス利用実績

2019年10月07日

2018年の平昌冬季オリンピックにおける医療サービスの利用実績が報告された。

平昌冬季五輪におけるアスリートの医療サービス利用実績

アスリートのほぼ半数が診療所を利用。大会期間中の利用も

同大会はアジアにおいて札幌、長野に続く三番目の冬季五輪であり、参加国数、参加選手は冬季五輪で過去最大の92カ国、2,920人に上った。大会会期は2月9日~25日の17日間で、開会式前の1月26日から閉会式後の2月28日まで、沿岸部と山間部の計2カ所に総合診療所が開設されていた。2カ所の総合診療所を利用した人数は合計5,405人で、このうち1,639人がアスリートだった。

全アスリートのうち1,402人(47.9%)が疾患のために、2カ所いずれかの総合診療所を利用していた。疾患の種別としては、上気道感染症、インフルエンザ、ノロウイルスなど、冬季五輪であることの影響と考えられる感染症が少なくなかった。怪我での利用は237人(14.5%)だった。競技種目別にみると、アルペンスキーによる負傷が最も多く、次いでスノーボードだった。

大会開催期間の17日間に限ってみると、全アスリートの16%が病気のため、8%が怪我のために少なくとも1回以上、総合診療所を利用していた。大会の序盤は整形外科と救急サービスの利用が多かったが、後半になると内科やリハビリテーション科の利用が増えた。多くの競技のトーナメントの最終局面を迎えた大会8~14日目に利用件数が増加し、最大は大会11日目の120件だった。

薬局においては、合計1,965件の処方対応がされ、そのうちの300件がアスリートの利用によるものだった。処方内容で最も多かったのは鎮痛薬・抗炎症薬で、総処方の25%を占め、胃腸薬と呼吸器用薬がそれに続いた。世界アンチドーピング機関によって禁止されている薬剤は一切使用されていなかった。

過去の冬季五輪との比較と、将来の展望

過去の冬季五輪と比較すると、大会期間中のアスリートの病気による総合診療所の利用頻度は、平昌16%、バンクーバー7%、ソチ8%で、平昌で高かった。最もよくみられた疾患は急性咽頭炎・扁桃炎だった。平昌の気温と湿度の低さがこれらの発症に寄与したと考えられる。

また、ノロウイルスが発生したことは注目される。ホテルに滞在したボランティアの172人が発症し、オリンピック村でもアスリート4名が発症。本論文では、これら感染性疾患の発生と伝播の防止のため、将来的にはボランティアを含めすべての参加者に予防接種を行うことを提案している。

文献情報

原題のタイトルは、「PyeongChang 2018 Winter Olympic Games and athletes' usage of 'polyclinic' medical services」。〔BMJ Open Sport Exerc Med. 2019 Aug 12;5(1):e000548〕

原文はこちら(BMJ Open Sport & Exercise Medicine)

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