ホエイタンパク摂取による体組成への影響は、タンパク質比率や同時に行う運動量によって異なる
チーズ等の乳製品の製造過程で作られるホエイタンパクは、高レベルのβ-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、免疫グロブリンを含み、食品や医薬品の成分として利用されている。またロイシンなどの必須アミノ酸を高濃度で含むことから、アスリート、特に筋力トレーニング実践者に好んで用いられる。
ホエイタンパクはその製造法によって、濃縮、加水分解といったタイプに分けられ、それぞれタンパク質量の含有比率が異なる。しかしそれらの違いにより、摂取後の体組成の変化に影響があるのか否かは明らかでない。本報告はこの点を明らかにするために行った文献レビューの結果である。
PubMed、Cochrane、Scopus、SPORTdiscus、Web of Scienceという5つのデータベースから、独立した2名の査読者が文献検索を実施。成人(18~60歳)を対象とした無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)のうち英語で公開されている報告5,299件から、適格基準を満たした8件の報告をメタ解析の対象とした。最終的な解析対象者数は計246名で、トレーニング介入期間の平均は64.5±15.3日。ホエイタンパクの摂取量はRCTによって0.24~1.28g/kgの範囲で異なり、栄養介入期間は46.75±12.46日だった。
結果をまず除脂肪体重への影響からみると、ホエイタンパクのタイプや身体活動レベル(トレーニング量)にかかわらず有意な関係は認められなかった(加重平均の差0.26,95%CI;-0.32-0.83,p=0.381)。
一方、脂肪量への影響をみると、ホエイタンパク摂取により有意に減少する関係が認められた(加重平均の差-0.96,95%CI;-1.37--0.55,p<0.001)。ホエイタンパクのタイプ別にサブグループ解析した結果は、濃縮されたタイプのホエイタンパクで有意な関係が維持されていた(加重平均の差-0.63,95%CI;-1.19--0.06,p<0.03)。またタンパク含有量別の解析では、タンパク含有比率が51%から80%に上昇すると、脂肪量の減少が有意になった(加重平均の差-1.53,95%CI;-2.13--0.93,p<0.001)。身体活動量との関連では、定期的にトレーニングしている群でのみ有意な脂肪量の減少が確認された(加重平均の差-0.95,95%CI;-1.70--0.19,p=0.014)。
以上をまとめると、摂取するホエイタンパクのタイプ、そのタンパク含有量、同時に行うトレーニング量に関係なく、除脂肪体重への有意な影響は認められなかった。脂肪量の減少に対しては、濃縮されたホエイタンパクの摂取、および、定期的トレーニングを実践している場合において有意だった。
文献情報
原題のタイトルは、「Comparative Meta-Analysis of the Effect of Concentrated, Hydrolyzed, and Isolated Whey Protein Supplementation on Body Composition of Physical Activity Practitioners」。〔Nutrients. 2019 Sep 2;11(9)〕