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睡眠不足だと骨折が治りにくく、トレハロースが治癒を促す可能性が動物実験で示される

2019年09月17日

睡眠不足が種々の疾患リスクとなり得ることに関してはさまざまな報告がなされている。例えば糖尿病、心血管疾患、メタボリックシンドロームなどとの関連には複数の報告があり、最近では睡眠不足と骨密度の低下の関連を示す報告もみられ、これには全身の炎症反応の関与も示唆されている。

睡眠不足だと骨折が治りにくく、トレハロースが治癒を促す可能性が動物実験で示される

一方、二糖類の一種であるトレハロースは、近年、抗炎症作用を有することが報告されている。骨密度が低下した結果として発生する骨折の修復に、トレハロースの抗炎症作用が支持的効果を及ぼす可能性も考えられる。そこで本論文の著者らは、睡眠不足が骨折の治癒に及ぼす影響、およびその過程にトレハロースが与える影響を、動物実験で検討した。

同条件で飼育後に外科的に骨折させた18匹のラットを3群に分類。うち1群は骨折から1週間後、水槽内に浮かべたプラットフォーム上で1日18時間飼育、残り6時間は通常のゲージ内で飼育した(睡眠不足群)。他の1群は同様の手順で睡眠不足とした上で、トレハロース1g/kg/日を腹腔内注射で投与した(睡眠不足+トレハロース群)。残りの1群は骨折のみの比較対照群とした。

骨折から4週間後(睡眠不足の負荷開始から3週間後)、ラットを屠殺しX線撮影、マイクロCT等により骨折の治癒状況を評価した。実験終了までに脱落したラットはなく、トレハロース投与による有害事象は確認されなかった。

実験終了時点の体重を比較すると、全群とも骨折時点から増加していたが、睡眠不足群は最も軽く、次いで睡眠不足+トレハロース群、対照群の順に体重が増加しており、それぞれ群間に有意差があった。また画像所見の評価では、睡眠不足群は他の2群に比し骨折の治癒が遷延していることが認められた。

酵素免疫測定(ELISA)法により、睡眠不足群のインターロイキン-1β(IL-1β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)が有意に高いことが示され、炎症反応の亢進が確認された。一方、睡眠不足+トレハロース群は比較対照群と有意差がなかった。

以上からの結論として、「睡眠不足が骨折治癒に悪影響を及ぼすことが明らかになった。骨折の修復を促進するために、睡眠の時間と質を改善する必要がある。トレハロースは、炎症を抑制し、睡眠障害の骨折患者に適する可能性を有している」と著者はまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Trehalose enhances bone fracture healing in a rat sleep deprivation model」。〔Ann Transl Med. 2019 Jul;7(14):297〕

原文はこちら(AME Publishing Company)

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