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カフェイン摂取による柔道のパフォーマンスへの効果は用量依存的

カフェインのエルゴジェニック効果に関する新たなエビデンスが報告された。柔道選手を対象とする検討で、カフェイン摂取の用量に応じてパフォーマンスが向上する効果がみられたという。

カフェイン摂取による柔道のパフォーマンスへの効果は用量依存的

この研究はポーランドからの報告。国際大会に参加もしくはポーランドの国内大会で上位に位置し、同国を代表する柔道選手30名を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験で実施された。

カフェインを異なる3種類の用量(3、6、9mg/kg)、またはプラセボを摂取後、ウォームアップに続いて2人を相手に一本背負投を1分15秒(15秒+30秒+30秒で、間に10秒の休止を挟む)継続。さらに5分の休憩後、乱取りを12分(4分+4分+4分で、間に4分30秒の休止を挟む)実施。一本背負投の回数と、乱取りで技を仕掛けた回数をパフォーマンスの指標とした。

カフェインの用量およびプラセボ条件への変更に際しては、それぞれ7日間のウオッシュアウト期間を設けた。試験期間中に、感染症やアクシデント等により7名が脱落し最終的に22名を検討対象とした。その22名の主な背景は、年齢21.7±3.7歳、BMI24.0±2.1、トレーニング歴11.0±4.5年など。

背負投の回数が用量依存的に増加

結果をみると、まず一本背負投の回数は以下のとおり。ベースライン時24.5回、カフェイン3mg/kg摂取後25.2回、6mg/kg摂取後26.2回、9mg/kg摂取後26.7回、プラセボ摂取後25.3回。統計学的に、ベースライン時とカフェイン3mg/kg摂取後およびプラセボ摂取後の3条件では有意差がなく、カフェイン6mg/kg摂取後の背負投の回数は有意に増加し、さらに9mg/kg摂取後は6mg/kg摂取後と比較しても有意に回数が増えていた。

次に、乱取りで技を仕掛けた回数については以下のとおり。ベースライン時34.9回、カフェイン3mg/kg摂取後35.5回、6mg/kg摂取後38.3回、9mg/kg摂取後39.0回、プラセボ摂取後34.2回。統計学的に、カフェイン6mg/kgおよび9mg/kg摂取後は、プラセボ摂取後に比し有意に回数が増えていた。ただしカフェイン摂取量別に解析した場合、群間差は有意に至らなかった。

ふだんカフェイン摂取していないと、より少量で効果発揮

上記のほか、カフェインをふだん習慣的に摂取しているか否かで分けた検討も行っており、興味深い結果を報告している。 前述の一本背負投の回数について、ふだんカフェインを摂取している群(n=10)では、9mg/kg摂取後のみ有意な回数の増加がみられたが、ふだんカフェインを摂取していない群(n=12)では6mg/kg摂取後でも有意な回数増加が認められた。

また、本研究では心拍数に及ぼす影響も検討している。その結果をみると、ふだんカフェインを摂取していない群では、運動中の心拍数がプラセボに比べて有意に大きく上昇していたが、ふだんカフェインを摂取していない群の対プラセボ心拍数上昇幅は有意でなかった。

以上より著者らは「運動前のカフェイン摂取が柔道のパフォーマンスに急性のエルゴジェニック効果をもたらすことが示された。その効果は用量依存的であるとともに、ふだんのカフェイン摂取状況にも影響される」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Dose-dependent effect of caffeine supplementation on judo-specific performance and training activity: a randomized placebo-controlled crossover trial」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2019 Sep 5;16(1):38〕

原文はこちら(Springer Nature)

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