大学生アスリートは栄養摂取量を過少報告する傾向 イタリアでの研究
十分なエネルギー量でバランスの優れた栄養素の食事を、適切なタイミングで摂取することは、運動負荷からの回復を早めアスリートのパフォーマンスを向上させる。ただ、実際に摂取しているエネルギー量を正確に把握することは容易でない。本論文では、大学生アスリートは摂取エネルギー量を過少報告する可能性があることを指摘している。
研究の対象はイタリアの大学でチームスポーツに参加している50名の選手。内訳は、バレーボール選手が2チームから23名(女性13名、男性10名)、サッカー選手が2チームから19名(全員男性)、シンクロナイズドスイミング選手が1チームから8名(全員女性)。年齢は21.32±4.16歳、BMIは22.40±2.99、体脂肪率は23.53±5.85%。
各選手に7日間(3日間はトレーニング、1日は試合日、他の3日間は休息)にわたり、全食事の記録をつけてもらい、その記録から「報告による摂取エネルギー量」を割り出した。一方、選手個々の性別、年齢、体重に基づきSchofield式から予測基礎代謝量を計算。続いてエネルギー摂取量の誤報告を評価するカットオフ値をGoldberg/black式により算出。
報告による摂取エネルギー量を予測基礎代謝量で除した値が1.23~2.65の範囲を「もっともらしい適切なエネルギー摂取量の報告」とし、1.23未満の場合は過少報告、2.65を上回る場合は過大報告と分類した。
その結果、50名中28名が過少報告に分類され、過大報告に該当した者はなかった。そして過少報告した者は適切なエネルギー報告者に比し、BMIが有意に高かった(23.17±3.46 vs 21.41±1.91,p=0.038)。
著者らは結論を「大学のチームスポーツ選手によるエネルギー摂取量は過少報告が頻繁に発生する可能性があり、栄養素摂取量の解釈において考慮に入れる必要があることを示唆している」とまとめている。
文 献
原題のタイトルは、「Assessment of Dietary Under-Reporting in Italian College Team Sport Athletes」。〔Nutrients. 2019 Jun 21;11(6)〕