野菜摂取量と1日の歩数は減少が続き、食塩摂取量は変化なし 令和5年国民健康・栄養調査
厚生労働省は11月25日、令和5年「国民健康・栄養調査」の結果の概要を発表した。栄養に関連する項目を中心に抜粋して紹介する。
身体状況および糖尿病等に関する状況
肥満およびやせの状況
肥満者(BMI25以上)の割合は、男性31.5%、女性21.1%であり、この10年間でみると、女性では有意な増減はみられないのに対し、男性では平成25年から令和元年の間に有意に増加し、その後有意な増減はみられない。
図1 肥満者の割合(20歳以上、性・年齢階級別)
やせ(BMI18.5未満)の割合は、男性4.4%、女性12.0%であり、この10年間でみると、女性では有意な増減はみられないのに対し、男性では平成25年から令和元年の間に有意に減少し、その後有意な増減はみられない。また、20~30歳代女性のやせの者の割合は20.2%である。
65歳以上の高齢者の低栄養傾向(BMI20未満)の割合は、男性12.2%、女性22.4%であり、この10年間でみると男女とも有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、男女とも85歳以上でその割合が最も高い。
図2 低栄養傾向者(BMI20未満)の割合(65歳以上、性・年齢階級別)
糖尿病に関する状況
「糖尿病が強く疑われる者」(HbA1c6.5%以上または治療中)の割合は、男性16.8%、女性8.9%である。この10年間でみると、男女とも有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、年齢階級が上がるにつれ、その割合が高くなっている。
血圧に関する状況
収縮期血圧の平均値は男性131.6mmHg、女性126.2mmHgである。令和元年からの推移でみると、男女とも有意な増減はみられない。140mmHg以上の者の割合は男性27.5%、女性22.5%である。令和元年からの推移でみると、男性では有意な増減はみられないのに対し、女性では有意に減少している。
コレステロールに関する状況
血清総コレステロール値が240mg/dL以上の者の割合は男性10.1%、女性23.1%である。この10年間でみると、男性では有意な増減はみられないのに対し、女性では平成28年から令和元年の間に有意に増加している。
血清non-HDLコレステロール値の平均値は男性139.0mg/dL、女性143.5mg/dLである。この10年間でみると、男女とも有意に有意な増減はみられない。
栄養・食生活に関する状況
食塩摂取量の状況
食塩摂取量の平均値は9.8gであり、男性10.7g、女性9.1g。この10年間でみると、男女とも有意な増減はみられない。
図3 食塩摂取量の平均値(20歳以上、性・年齢階級別)
野菜摂取量の状況
野菜摂取量の平均値は256.0gであり、男性262.2g、女性250.6g。この10年間でみると、男性では有意に減少している。女性では平成27年以降有意に減少している。
年齢階級別にみると、男女ともに20歳代で最も少なく、年齢階級が高い層で多くなっている。
図4 野菜摂取量の平均値の年次推移(20歳以上。左図は年齢未調整、右図は年齢調整後)
図5 野菜摂取量の平均値(20歳以上、性・年齢階級別)
栄養バランスのとれた食事に関する状況
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を毎日1日2回以上摂っている者の割合は、男性45.7%、女性47.1%であり、男女ともに70歳以上で最も高い。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度別に食習慣改善の意思をみると、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上摂っている日が週に1日もない者や、週に1日の者では、「改善することに関心がない」、「関心はあるが改善するつもりはない」、「食習慣に問題はないため改善する必要はない」に回答した者の割合の合計が、男性では約8割であり、女性では6割を超えている。
図6 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度(20歳以上、性・年齢階級別)
食習慣改善の意思
食習慣のうち、「野菜を十分に食べる」、「果物を食べる」、「食塩の摂取を控える」ことについて、男女とも、「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した者が最も多かった。
野菜摂取量別に食習慣改善の意思をみると、男女ともに1日の野菜摂取量が70g未満の者では、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した者の割合が最も高い。果物摂取量別に食習慣改善の意思をみると、男女ともに1日の果物摂取量が0gの者では「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した者の割合が最も高い。食塩摂取量の状況別に食習慣改善の意思をみると、男女ともに1日の食塩摂取量が7g以上の者では「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した者の割合が最も高い。
図7 食習慣改善の意思(20歳以上、男女別)
健康な食習慣の妨げとなる点
健康な食習慣の妨げとなる点について、「主食・主菜・副菜を組み合わせて食べる」、「野菜を十分に食べる」、「果物を食べる」、「食塩の摂取を控える」のいずれについても、男女ともに「特にない」と回答した者の割合が最も高い。
図8 健康な食習慣の妨げとなる点(20歳以上、男女別)
共食に関する状況
「家庭」での共食頻度は、「ほとんど毎日」と回答した者の割合が最も高く、66.6%であるのに対して、「職場・学校」での共食頻度は、「ほとんどない」と回答した者の割合が最も高く、61.4%である。「地域」での共食頻度および「友人・知人」との共食頻度が「年に1回程度」以上と回答した者の割合は、それぞれ19.0%、65.2%である
身体活動・運動および睡眠に関する状況
運動習慣者の状況
運動習慣のある者の割合は、男性で36.2%、女性で28.6%であり、この10年間でみると、男女とも有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、その割合は、男性では30歳代、女性では20歳代が最も低く、それぞれ23.5%、14.5%である。
図9 運動習慣のある者の割合(20歳以上、性・年齢階級別)
歩数の状況
歩数の平均値は男性で6,628歩、女性で5,659歩であり、この10年間でみると、男女とも有意に減少している。20~64歳の歩数の平均値は、男性7,506歩、女性6,494歩であり、65歳以上では男性5,329歩、女性4,419歩である。
図10 歩数の平均値の年次推移(20歳以上。左図は年齢未調整、右図は年齢調整後)
睡眠の状況
ここ1カ月間、睡眠で休養がとれている者の割合は74.9%であり、平成21年からの推移でみると有意に減少している。1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男性35.2%、女性33.9%である。6時間未満の者の割合は、男性38.5%、女性43.6%であり、性・年齢階級別にみると、男性の30~50歳代、女性の40~60歳代では4割を超えている。
図11 1日の平均睡眠時間(20歳以上、性・年齢階級別)