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緑茶を飲んで運動すると減量の効率が上がる可能性 体重、BMI、体脂肪量で有意差

減量目的で運動をするなら緑茶を飲みながらしたほうが、わずかながらもより高い効果を期待できるかもしれない。システマティックレビューとメタ解析の結果、体重やBMI、体脂肪量に関して有意な差が認められたという。一方、脂質関連プロファイルには有意差がみられないとのことだ。

緑茶を飲んで運動すると減量の効率が上がる可能性 体重、BMI、体脂肪量で有意差

運動に加えて緑茶カテキンを摂取することに意味はある?

緑茶には、脂質酸化促進、熱産生刺激、エネルギー消費の増大などの作用があることが示唆されていて、その作用の多くはポリフェノールであるカテキンによるものと考えられている。これまでに緑茶摂取と体重や体脂肪の減少、脂質プロファイルの改善との関連を示す報告がある。しかしその一方で、有意な関連を認めないとする報告もある。

一方、減量には食事介入と並行して運動介入が実施される。その運動介入に緑茶摂取を加えた場合、減量効果がより高まるのではないか、という可能性も想定される。今回紹介する論文はそのような考え方のもと、システマティックレビューとメタ解析による検討を行った報告。

文献検索について

文献検索は、2人の研究者が独立して、PubMed、Scopus、Web of Scienceを利用して実施。ヒトを対象に行われた無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)で、英語で執筆され2023年11月までに報告された論文を検索。検索キーワードは、緑茶、カテキン、運動、トレーニング、身体活動などを用いた。また、抽出された論文に記されている参考文献のハンドサーチも行った。採否の意見の相違は討議により解決した。これらの作業は、システマティックレビューとメタ解析の推奨報告項目(PRISMA)のガイドラインに則して実施された。

一次検索で1,362報がヒットし、重複削除後の1,015報をスクリーニングして、24報を全文精査の対象とした。最終的にオンライン検索から9件、ハンドサーチから1件、計10件のRCTの報告を適格と判断してメタ解析の対象とした。

解析対象研究の特徴

10件の研究の参加者数は合計476人で、そのうち199人が運動+緑茶群、196人が運動単独群に割り付けられ、その他は他の条件に割り付けられていた。参加者の年齢は21~70歳でBMI24.9超により過体重/肥満と判定された人だった(国内基準ではすべて肥満に該当)。

10件中5件は女性のみ、2件は男性のみ、3件は女性と男性を対象としており、運動介入は6件が有酸素トレーニング、2件は高強度運動、他の2件はそれら両者を平行して行っていた。介入期間は8~24週間で多くの研究は8~12週間の範囲だった。運動の頻度は3~5回/週の範囲で週3回が最多だった。

緑茶はサプリメントとして摂取され、99~1,500mg/日の範囲であり、500mg/日が最多だった。

体重や脂肪量は緑茶摂取併用で有意に低下するが脂質プロファイルへの影響は非有意

メタ解析では、体重・体組成への影響と脂質プロファイルへの影響が検討され、以下に示すように、前者は有意、後者は非有意という結果となった。

体重・体組成への影響

体重への影響については8件のRCTがメタ解析の対象となった。いずれの研究も、それぞれ単独では緑茶の有意な影響が示されていなかったが、メタ解析の結果は運動単独よりも減量効果が高いという有意な結果となった(標準化平均差〈SMD〉=-0.30〈95%CI;-0.53~-0.07〉、p=0.011)。研究間の異質性は認められなかった(I2=0.000、p=0.85)。

BMIへの影響については7件のRCTがメタ解析の対象となった。7件のうち1件のみが緑茶摂取による有意な減量効果を報告していた。メタ解析の結果、運動単独よりも緑茶摂取を加えたほうがBMI低下効果が高いという有意な結果となった(SMD=-0.33〈-0.64~-0.02〉、p=0.03)。研究間の異質性は認められなかった(I2=0.000、p=0.69)。

脂肪量への影響については4件のRCTがメタ解析の対象となった。いずれの研究も、それぞれ単独では緑茶の有意な影響が示されていなかったが、メタ解析の結果は運動単独よりも減量効果が高いという有意な結果となった(SMD=-0.29〈-0.57~-0.01〉、p=0.049)。研究間の異質性は認められなかった(I2=0.000、p=0.84)。

脂質プロファイルへの影響

トリグリセライド(TG)への影響については6件のRCTがメタ解析の対象となった。6件のうち3件は緑茶摂取による有意なTG低下効果を報告し、1件は運動単独のほうがTG低下効果が高いと報告していた。メタ解析の結果は、有意差なしだった(SMD=-0.40〈-1.30~0.49〉、p=0.38)。なお、研究間で高い異質性が認められた(I2=91.29、p=0.0001)。

LDL-コレステロール(LDL-C)への影響については5件のRCTがメタ解析の対象となった。5件のうち2件は緑茶摂取による有意なLDL-C低下効果を報告し、1件は運動単独のほうがLDL-C低下効果が高いと報告していた。メタ解析の結果は、有意差なしだった(SMD=0.03〈-0.73~0.82〉、p=0.92)。研究間で高い異質性が認められた(I2=81.98、p=0.0001)。

総コレステロール(TC)への影響については4件のRCTがメタ解析の対象となった。4件のうち1件のみが緑茶摂取による有意なTC低下効果を報告していた。メタ解析の結果、有意差なしだった(SMD=-0.36〈-0.85~0.14〉、p=0.16)。研究間に非有意ながら高い異質性が認められた(I2=53.15、p=0.09)。

HDL-コレステロール(HDL-C)への影響については5件のRCTがメタ解析の対象となった。5件のうち1件は緑茶摂取による有意なHDL-C低下効果を報告し、1件は運動単独のほうがHDL-C低下効果が高いと報告していた。メタ解析の結果は、有意差なしだった(SMD=0.12〈-0.71~0.46〉、p=0.67)。研究間で高い異質性が認められた(I2=70.10、p=0.01)。

論文の結論は以下のようにまとめられている。

「このメタ解析に基づくと、運動トレーニングと併せて緑茶カテキンを摂取すると、運動トレーニングのみの場合と比較して、体重減少にわずかながらも一貫した効果がある。一方、脂質プロファイルに対する上乗せ効果はない。ただし、脂質に対する影響については研究間の異質性が大きいことから、より厳密で適切にデザインされた前向き研究が必要とされる」。

文献情報

原題のタイトルは、「Does green tea catechin enhance weight-loss effect of exercise training in overweight and obese individuals? a systematic review and meta-analysis of randomized trials」。〔Int Soc Sports Nutr. 2024 Dec;21(1):2411029〕
原文はこちら(Informa UK)

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