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女性ランナーの疲労骨折の有病率とトレーニング量、食生活、LEAとの関連

競技レベルではなく、レクリエーションレベルでランニングを行っている女性の疲労骨折の有病率と、その関連因子に関する研究結果が報告された。調査回答者の3人に1人が、過去に2回以上、疲労骨折の経験があると回答し、意図的な食事制限や摂食障害などとの関連が認められたという。

女性ランナーの疲労骨折の有病率とトレーニング量、食生活、LEAとの関連

レクリエーションランナーの疲労骨折に焦点を当てた研究

ランニングによって生じる荷重負荷は基本的には骨代謝を刺激し骨密度を増やすように働く。しかし、摂取エネルギー量が不足している場合や月経機能異常を来している女性では、ランニングにより骨密度が低下し疲労骨折のリスクが増大する。実際、持久系競技の女性アスリートでは、疲労骨折および利用可能エネルギー不足(low energy availability;LEA)の有病率が高いことが広く知られている。ただし、競技に参加することを意図せずにランニングを行っているレクリエーションレベルの女性ランナーにおける疲労骨折に関するデータは少ない。

今回紹介する論文の著者らは、このような背景から、レクリエーションランナーの疲労骨折に焦点を当てたオンラインアンケートを行った。米国からの報告。

過半数が疲労骨折の経験を報告し、33%は2回以上の既往

このアンケートの参加者はInstagramで募集された。適格条件として、性別が女性であり年齢が18~25歳の範囲で、1週間あたりの走行距離が10マイル(約16km)以上であって、現在または過去に競技ランナーとしては活動した経験がないこととされていた。

アンケートの質問内容は、年齢や身長、体重、トレーニング量、過去の疲労骨折の経験、女性の利用可能エネルギー不足に関する質問票(Low Energy Availability in Females Questionnaire;LEAF-Q)、摂食障害リスク評価(Disordered Eating Screening Assessment;DESA-6)などだった。

3,499人が回答したが、上記の条件を満たす回答者は458人だった。主な特徴は、年齢23.1±1.8歳、BMI22.4±4.2、トレーニング時間6.2±2.4/週、走行距離31.9±13.7kmであり、29%が経口避妊薬を使用中で月経機能異常が59%、続発性無月経が6%に認められた。また、51%が減量のための食事制限を実施しており、体重増加への恐れは45%、現在の体重への不満は65%が訴え、36%が摂食障害と判定された。LEAF-Qは10.0±6.0だった。なお、LEAF-Qは0~49点の範囲で評価され、8点以上はLEAのリスクありと判定されるため、本調査の過半数がLEAリスクありであることを意味する。

疲労骨折の既往が2回以上のランナーは、LEAリスクありが8割を超える

疲労骨折については、回答者の51%が過去に1回以上経験したことを報告し、さらに33%は2回以上経験したと回答した。

疲労骨折が2回以上の群(149人)と2回未満の群(309人)を比較すると、LEAのリスクありの割合が前者は82%、後者は49%であり、前者が有意に高かった(p<0.01)。またLEAF-Qのスコアは14.0±5.8 vs 8.3±5.3だった(p<0.01)。さらに摂食障害の有病率は64 vs 23%であり、やはり疲労骨折が2回以上の群のほうが高値だった(p<0.01)。

そのほかにも、減量のための食事制限の実施率(71 vs 41%)、月経機能異常の有病率(82 vs 48)などは疲労骨折が2回以上の群のほうが高値であり有意差が認められた(いずれもp<0.01)。続発性無月経の有病率には有意差はなかった(9 vs 5%、p=0.14)。

一方、トレーニング時間は5.6±2.3 vs 6.5±2.4時間/週で、疲労骨折の既往が2回未満の群のほうが長かった(p<0.01)。ただし、走行距離は疲労骨折が2回以上の群のほうが長かったものの、群間差は有意水準未満だった(33.6±11.5 vs 31.0±14.5km/週、p=0.06)。

LEAや摂食障害などが、疲労骨折が2回以上であることの独立した関連因子

次に、疲労骨折が2回以上であることを従属変数、BMI、トレーニング時間、LEAF-Qスコア、続発性無月経、減量のための食事制限、摂食障害などを独立変数とするロジスティック回帰分析を施行。

その結果、疲労骨折が2回以上であることと独立した正の関連のある因子として、LEAF-Qスコア(OR1.13〈95%CI;1.04~1.22〉)、減量のための食事制限(OR2.66〈1.63~4.33〉)、摂食障害(OR2.43〈1.44~4.08〉)という3因子が特定された。反対に、トレーニング時間の長さは負の独立した関連が認められた(OR0.86〈0.78~0.95〉)。BMIと続発性無月経は、独立した有意な関連が示されなかった。

LEAリスクあり/なしでの比較

続いて、LEAのリスクの有無で2群に分けて比較が行われた。LEAF-Qスコア8点以上でLEAリスクありと判定された群の273人(60%)は、スコア8点未満のLEAリスクなし群の185人(40%)に比べて若年で(22.9±1.9 vs 23.4±1.76歳)、走行距離が長く(33.2±13.3 vs 30.0±13.9km/週)、経口避妊薬服用率が高い(33 vs 22%)という有意差が認められた(いずれもp<0.01)。また、過去1年以内にトレーニングの妨げとなる怪我が3回以上発生した割合も高値だった(31 vs 2%、p<0.01)。

一方、BMIやトレーニング時間には有意差がなかった。

レクリエーションランナーにもスクリーニングが必要

論文の結論は、「本研究に参加した若年成人女性レクリエーションランナーの半数以上が、少なくとも1回の疲労骨折を経験し、3分の1は2回以上経験したと報告した。2回以上の疲労骨折を報告した女性ランナーは、摂食障害や食事制限を行っている頻度が高く、LEAのリスクありと判定される割合が高い。これらの知見は、LEAF-QやDESA-6などのツールを使用して、レクリエーションレベルの女性ランナーにおいても、食事制限、摂食障害、LEAなどを早期に見いだす必要のあることを強調している」とまとめられている。

また、考察において、「食事制限をしている場合には、月経機能異常を来さなくても、疲労骨折のリスクが上昇する可能性がある」と述べられ、注意が喚起されている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Prevalence of Stress Fractures and the Associated LEAF-Q Responses, Self-Reported Exercise Volume and Dietary Behaviors in Female Recreational Runners」。〔Int J Exerc Sci. 2024 Aug 1;17(2):1092-1104. eCollection 2024〕
原文はこちら(PubMed)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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