どのタイプの断続的断食が最も効果的か? 2種の時間制限食と隔日断食を直接比較したRCT
2種類の時間制限食と隔日断食という3タイプの断続的断食の効果を、無作為化比較試験で直接的に比較した研究結果が報告された。BMIが最も低下したのは隔日断食だが、遵守率は最も低かったという。
異なる断続的断食の効果を無作為化並行群間比較試験で検討
世界肥満連盟(World Obesity Federation;WOF)が発表した2023年のアトラスによると、この先の12年間で世界人口の51%、40億人以上が肥満または過体重に該当するようになると予測されている。減量のためのダイエット戦略は古くから研究されてきているが、近年、カロリー計算の必要ない断続的断食の人気が高まり、そのエビデンスも増えている。
断続的断食には、1日の中で一定の時間帯のみ食事を摂取可とする時間制限食や、食事摂取を禁止する日と可能な日を交互に設定する隔日断食などのスタイルがある。これらはいずれも減量効果に関する一定のエビデンスがあるが、同時に直接比較した研究はこれまで行われていない。今回紹介する論文の著者らによると、本研究は複数の断続的断食の効果の比較のために初めて実施された無作為化並行群間比較試験だという。
健康な成人を3群に分け断続的断食を8週間継続
この研究は健康な18~65歳の成人を対象に行われた。BMI20以上、VO2max20mL/kg/分以上で、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が正常、血圧150/95mmHg未満、心拍数35bpm以上、心電図異常なしなどの要件を満たす31人が、無作為に以下の3群に割り付けられた。
16/8時間制限食群
1日のうち連続する8時間のみ、摂取エネルギー量を考慮せず自由に食事を摂取でき、残りの16時間は水のみを摂取可とする。食事を摂取可とする8時間は研究参加者が任意に設定できたが、毎日同じ時間帯にすること、断食時間の50%は夜間とすることが推奨された。この群に割り付けられたのは11人。
20/4時間制限食群
1日のうち連続する4時間のみを食事摂取可とする。その他の条件は上記の16/8時間制限食と同じ。この群に割り付けられたのは10人。
隔日断食群
摂取エネルギー量を考慮せず自由に食事を摂取できる日と、水のみを摂取可とする日を交互に繰り返す。この群に割り付けられたのは10人。
摂取量の追跡と評価項目
研究参加者には食事記録アプリを支給し、4週間連続で摂取した食品と摂取時刻の記録を求めた。この間、不明点があれば研究者に連絡して確認可能な体制をとった。この4週間に引き続き、さらにその後の4週間も、定められた条件の食事パターンを継続してもらった。
評価項目は、BMI、体重、代謝関連指標、および連続血糖測定(CGM)で把握される血糖変動などであり、ベースライン、試験開始4週後、試験終了時点(8週後)に評価された。
体重管理には隔日断食が優れる傾向があるが、継続が困難な可能性
31人のうち、8週間の試験期間を終了したのは25人(25.9±3.1歳、BMI24.8±3.4)だった。ベースライン時点において、年齢、BMI、ウエスト/ヒップ非に有意差はなかった。
BMIの変化
介入によるBMIの変化幅は、16/8時間制限食群では+0.20±0.71(p=0.38)、20/4時間制限食群では-0.35±0.69(p=0.27)であり、この2群は有意な変化がなかった。それに対して隔日断食群は-0.60±0.52(p=0.01)と有意な減量効果が認められた。
体重も16/8時間制限食群は+0.60±2.2kg(p=0.39)、20/4時間制限食群は-1.1±2.1kg(p=0.26)で非有意であり、隔日断食群のみ-1.90±1.6 kg(p=0.01)と有意に減少していた。
その他の体重・体組成関連指標
ウエスト/ヒップ比は、16/8時間制限食群(-0.04±0.05、p=0.04)と20/4時間制限食群(-0.09±0.05、p=0.05)は有意に低下、隔日断食群は(-0.05±0.07、p=0.10)で非有意だった。
体脂肪量、体脂肪率の変化は、3群すべて非有意だった。一方、除脂肪体重や骨格筋量に関しては、いずれも隔日断食群でのみ有意に減少していた
遵守率
16/8時間制限食群の遵守率は84.5±23.0%、20/4時間制限食群は92.7±9.5%だった。それに対して隔日断食群は78.1±33.5%とやや低値だった。ただし群間の有意差はなかった(p=0.57)。
摂取エネルギー量と栄養素摂取量
時間制限食の2群は、摂取エネルギー量に有意な変化がなかった。一方、隔日断食群は-481.6±270.1kcal/日と有意な低下が観察された(p=0.002)。
主要栄養素の摂取量は介入前後で、隔日断食群は炭水化物(p=0.04)、タンパク質(p=0.001)、脂質(p=0.008)と、すべて有意に減少していた。20/4時間制限食群は炭水化物(p=0.04)のみ有意に減少していた。16/8時間制限食群は、摂取量が有意に減少した主要栄養素はなかった。
その他、血糖値や血糖変動、血清脂質値、ケトン体などの代謝関連マーカー、および炎症マーカー(C反応性蛋白〈CRP〉)に有意な変化はなく、群間差も非有意だった。
著者らは、「断続的断食の一部のパターンは、体重管理に有望なことが示唆された。ただし、その食事スタイルは、継続に困難を伴うようだ」と総括している。
文献情報
原題のタイトルは、「Effects of Different Types of Intermittent Fasting Interventions on Metabolic Health in Healthy Individuals (EDIF): A Randomised Trial with a Controlled-Run in Phase」。〔Nutrients. 2024 Apr 10;16(8):1114〕
原文はこちら(MDPI)