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アスリートでない人はどのようなスポーツ食品を利用しているのか? 豪州で実態調査

アスリートではない人々のスポーツ食品の利用の実態が、オーストラリアから報告された。利用者の65%が3種類以上のスポーツ食品を摂取していることなどが明らかなり、スポーツを行っていない集団では栄養素の需要がそれほど高くないことから、過剰摂取のリスクも懸念されるという。

アスリートでない人はどのようなスポーツ食品を利用しているのか? 豪州で実態調査

スポーツフードの利用者の中心は非アスリート

プロテインや炭水化物、β-アラニン、L-カルニチン、カフェインなどを高配合したスポーツ食品(formulated supplementary sports foods.以下、スポーツ食品)は、エネルギーや栄養素需要の高いアスリートの使用を想定して作られている。この研究が行われたオーストラリアでは、これらのスポーツ食品は、摂取対象者、使用条件、摂取量の条件制限をパッケージに記載することが義務付けられているという。これらの食品は、もちろんアスリートによって利用されているが、実際に使用している人の多くは非アスリートであることが知られている。

アスリートでない人がこれらの食品を摂取した場合、高配合されている栄養素の需要がそれほど高くないにもかかわらず大量に摂取することになることから、とくに規定の用量以上に摂取した場合などにおいて、アスリートよりも有害事象などのリスクが高くなると考えられる。非アスリートによるスポーツ食品の利用はオーストラリアに限らず世界各国で増加しているとされ、その実態の把握が必要となっている。

こうした背景のもと、今回取り上げる論文の著者らは、オーストラリア在住者を対象にスポーツ食品の利用に関するオンラインアンケート調査を行った。

ネットでの横断調査で実態を把握

この調査は、2022年5~8月に、Facebook、Instagram、X(Twitter)などのソーシャルメディアでの募集に応じた、過去3カ月以内にスポーツ食品を摂取したことのある、18~65歳の成人を対象に行われた。研究目的から、アスリートは除外されている。

531人がアンケートへの回答を開始し、データ解析に必要な項目に回答した307人の回答を解析対象とした。この対象は女性が56.4%、年齢は30~49歳が45.0%、18~29歳が28.7%、50歳以上が26.4%で、過半数(54.4%)が学士以上の教育歴だった。

以下に、主な結果を紹介する。

非アスリートは商品のパッケージ情報を基に購入の意思を決定している

6割以上が3種類以上のスポーツ食品を利用

過去3カ月以内に摂取したスポーツ食品の種類(複数回答可)は、プロテインが94.5%と多く、炭水化物19.5%、その他が61.9%だった。

利用した食品の数は、3種類以上との回答が64.5%に及び、2種類が35.5%だった。多くの種類のスポーツ食品を摂取していることに関して、52.4%はリスクを認識していると回答。47.6%はリスクの認識がなかった。実際に有害事象を経験したことがあるとの回答は34.5%だった。

購入場所(複数回答可)は、スーパーマーケットが51.5%、インターネットが48.9%、健康食品・サプリメント販売店が46.6%などだった。購入したスポーツ食品に関する情報源(複数回答可)は、メディアが38.8%、家族や友人が29.6%、パッケージラベルが29.3%、トレーナーやジムの受付担当者が18.9%、店舗の店員が12.7%であり、購入の意思決定に影響したパッケージ上の情報(複数回答可)は、栄養成分表示が95.4%、作用が40.1%、警告または推奨が30.9%、デザインが13.0%。

女性の摂取量のほうが多い

次に、スポーツ食品の購入頻度と種類からスコア化して摂取量を3段階で評価し、回答者の背景別に最も摂取量が多い群に該当するオッズを算出。スポーツ食品の摂取量が多いことと関連のある因子を検討した。

その結果、男性よりも女性のほうが、スポーツ食品の摂取量が有意に多いことが示された(オッズ比〈OR〉1.82〈95%CI;1.19~2.76〉)。年齢や収入、教育歴は有意な関連がなかった。摂取に伴うリスクを認識していること(OR0.40〈0.26~0.61〉)や実際に有害事象の経験があること(OR0.25〈0.16~0.39〉)、およびウォーキングを行っていること(OR0.57〈0.36~0.91〉)などは、スポーツ食品の摂取量が多いことと負の関連(摂取量が相対的に少ないという関連)が認められた。

タンパク質摂取量を確保するためにスポーツ食品を摂取

スポーツ食品を摂取する目的は、タンパク質の摂取量確保が56.7%と多くを占め、その他にスタミナの維持(34.9%)、回復促進(33.9%)などが挙げられた。

摂取に伴うリスクとして認識されていた事がらは(解析対象はリスクを認識していると回答した142人)、消化器症状が49.3%と多く、肝臓・腎臓への影響(38.0%)、心血管系への影響(26.8%)などが続いた。一方、実際に有害事象を経験した事象は(解析対象は有害事象を経験したことがあると回答した118人)、消化器症状が77.1%と多くを占め、次いで振戦などが17.8%だった。

著者らは、「非アスリートのスポーツ食品の利用は、パッケージラベルの情報に影響される部分が大きいようだ。より安全な消費行動を促すため、パッケージに記載する情報に関して、規制を厳格にすることも必要ではないか」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「A Cross-Sectional Study of Sports Food Consumption Patterns, Experiences, and Perceptions amongst Non-Athletes in Australia」。〔Nutrients. 2024 Apr 9;16(8):1101〕
原文はこちら(MDPI)

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