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世界トップレベルのアーチェリー選手は試合期の栄養状態や睡眠の時間・質を上手に自己管理している

エリートレベルのアーチェリー選手の競技会参加中のエネルギー出納や睡眠時間・質を調査した結果が報告された。4日間にわたる大会中、毎日の身体活動量にあわせて摂取量を的確に調整し、睡眠時間や質の乱れは認められなかったという。

世界クラスのアーチェリー選手は試合期の栄養状態や睡眠の時間・質を上手に自己管理している

アーチェリー選手の大会参加中の栄養や睡眠を調査

アーチェリーは緊張、ストレスなどの心理的なプレッシャーによって成績が左右されやすく、精神的スポーツと位置づけられることが多い。ただし、矢を放つための上半身筋力や体幹の安定のためのバランス保持力、および、1日3~4時間におよぶ試合を数日間にわたって続けることから持久力も必要とされる。

一方、アスリートにとって適切な栄養戦略が重要であることは言うまでもなく、また適切な水分補給の重要性もよく知られている。脱水は筋肉の震え、筋持久力低下、姿勢制御の乱れなどを引き起こすため、アーチェリーにおいても脱水を避けるための水分補給戦略が求められる。さらに近年、アスリートの睡眠と競技パフォーマンスとの関連が注目されており、高い集中力を要するアーチェリーも、質の良い睡眠が重要と考えられる。

しかし、これまでのところトップレベルにあるアーチェリー選手が競技会参加中のエネルギー出納や水分の出納、睡眠の時間や質を調べた研究はほとんどない。今回紹介する論文の著者によると、この研究はそのような視点で行われた初めてのものとのことだ。

五輪参加選手を含む6人の男性アーチェリー選手を対象に調査

この研究は、トルコの代表チームの男性選手6人が、2023年4月の欧州選手権に参加した際に実施された。選手の主な特徴は、年齢20±2歳、体重67.5±6.7kg、身長180.3±6.2cm、体脂肪率8.5±3%、VO2max45.0±3.3mL/kg/分で、Tier5(オリンピック選手、世界選手権または欧州選手権のメダリスト)が3人、Tier4(国際大会参加レベル)が3人だった。

大会参加中の4日間にわたって毎日、食事日誌と写真により摂取量を把握。また起床後、競技前後、就寝前の採尿により尿比重を測定した。睡眠については、睡眠時間をアクティグラフィーにより客観的に把握したほか、コンセンサス睡眠日誌、カロリンスカ眠気尺度により評価した。トーナメント中の気温は14.5±0.5℃、湿度47.3±7.6%だった。

大会期間中の食事は、朝食と夕食はホテル、昼食は競技会場周辺で摂取。帯同したスポーツ栄養士が、摂取すべき主食についてのみ指導し、エネルギー量や主要栄養素のバランスに関する情報は提供されなかった。競技中の補食やサプリメントについては、スポーツ栄養士が計画的な摂取を指導した。研究チームによる栄養介入は行わなかった。

大会中の身体活動量と消費エネルギー量の変化

4日にわたる大会参加中、試合数により矢数は1日目が180±6、2日目38±5、3日目162±11、4日目72±18と変化すると予測され、競技時間は同順に335±22分、27±3分、212±13分、113±35分、歩行距離は4,200m、1,260m、3,360±543m、2,590±902mと予測。

これらより、消費エネルギー量は1日目から順に、4,067±354kcal、2,527±203kcal、3,467±295kcal、2,964±264kcalと予測された。

選手は大会中の身体活動量の変化に応じて食事を調整し、睡眠習慣を維持

摂取エネルギー量

4日間の摂取エネルギー量は、1日目から順に、3,985±18kcal、2,564±31kcal、3,315±37kcal、2,847±61kcalと推移し、前述の予測消費エネルギー量の変化と一致していた。1日目は他の3日間よりも有意に多く摂取され、また3日目は2日目や4日目よりも有意に多く摂取していた。

炭水化物の摂取量もほぼ同様に変化しており、選手が毎日の身体活動量を考慮して食事を摂取していることがうかがえた。

水分の出納(尿比重と比色)

尿比重は、日内変動については起床直後がもっと高く、わずかに水分が不足していることが示された。同様の結果は尿の比色からも示された。

日差変動については、大会3日目の尿比重が最も高く、最も低かった大会初日との間に有意差が認められた。ただし、尿比色には有意差は観察されなかった。

睡眠時間、睡眠の質

睡眠時間は初日のみ他の3日に比べて短い傾向があったが、有意水準未満だった(p=0.07)。入眠潜時(p=0.59)、中途覚醒時間(p=0.93)、起床後30分時点での眠気(p=0.47)はいずれも安定しており、大会期間中の睡眠の乱れは観察されなかった。

以上の結果に基づき著者らは、「世界クラスのエリートアーチェリー選手は、トーナメント参加中の消費エネルギー量の変化に対応させて摂取エネルギー量を調整させる能力があることが示唆される」と述べている。また、適切な水分補給と睡眠の確保もできているとし、「このようなデータは、トップアスリートがなぜ成功を収めているのかを理解するための一助となる」とも記している。

文献情報

原題のタイトルは、「Energy intake, hydration status, and sleep of world-class male archers during competition」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2024 Dec;21(1):2345358〕
原文はこちら(Informa UK)

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