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プロサッカークラブのアカデミーへの入団時期とワールドカップへの出場は、あまり関係ない?

あるスポーツに秀でたスキルを身につけるために、より早く競技に特化した練習をすべきか、それとも一定程度の年齢まで多くの競技を行い総合的な身体能力を高めたうえで、適性等を見極めてから特化したほうが良いのかという疑問は、いまだ議論が続いているが、サッカーワールドカップに出場した選手の経歴を調べた結果、プロアカデミーの入学年齢はあまり関係がなさそうだとする研究結果が報告された。オランダの研究者によるもの。

プロサッカークラブのアカデミーへの入団とワールドカップへの出場は、あまり関係ない?

2022年カタール大会に出場した32カ国815選手のキャリアを調査

早期競技特化を行うべきか否かという疑問の答を得るために、これまでにも複数の研究が行われてきているが、結果に一貫性がなく結論は得られていない。また、この論文の著者によると、このトピックに関する研究で、団体競技の場合にポジションが変数として考慮された研究はほとんどないという。これらの疑問を明らかにするため、この研究では、2022年にカタールで開催されたサッカーワールドカップに出場した選手のキャリアを可及的に調べるという手法が用いられた。

Wikipedia、Googleで各選手のキャリアを調査

2022年カタール大会に出場した32カ国のうち、フランスとセネガルは規定より少ない人数が参加し、他の30カ国は規定最大の26人が参加しており、合計829人が調査対象となった。このすべての選手のキャリアを、まず英語版のWikipediaを参照し、プロアカデミーに入学した年齢を調査した。英語版のWikipediaに該当する情報がない場合は、その選手の出身の国の言語のWikipedia(日本なら日本語版)を参照。それでも情報が見つからない場合にはGoogleで、選手の氏名、および「ユース時代のキャリア」を検索用語として用い、情報を収集した。なお、キャリアに示されている入学した組織がプロのアカデミーに該当するか否かは、国際サッカー連盟(Fédération Internationale de Football Association;FIFA)のプロフェッショナルサッカーレポート2019に基づき判断した。

調査の結果、14人の選手はプロアカデミー入学時年齢が不明、または信頼性が十分でないと判断され、解析から除外。815人が解析対象とされた。

カタール大会参加選手のプロアカデミー入学年齢の中央値は13.2歳

解析の結果、2022年FIFAワールドカップ カタール大会に参加した選手が、プロアカデミーに入学した年齢は中央値13.2歳であり、最も早く入学した選手は4.2歳、最も遅く入学した選手は22.6歳だった。日本は15.8歳だった。

入学年齢の中央値を国別に比較すると、最も早いのは英国で8.4歳、反対に最も遅いのはカメルーンで17.2歳だった。5大陸で比較すると、欧州の選手は中央値11.1歳で最も早く、他の4大陸との間に有意差が認められた。また、南米の選手は12.9歳で、アフリカ(14.6歳)やアジア(15.6歳)の選手よりも有意に早くプロアカデミーでのトレーニングをスタートしていた。その他の大陸間では有意差は観察されなかった。

各大陸別のプロアカデミー年齢の中央値および範囲は以下のとおり。アジアのみ国別でも示す(国名のアルファベット順〈韓国はSouth Korea〉)。

アジア全体では15.6(7.0~21.3)。国別では、オーストラリア15.2(10.3~18.8)、イラン13.8(10.0~20.3)、日本15.8(7.2~19.3)、クウェート16.9(7.0~19.6)、サウジアラビア15.9(10.2~21.3)、韓国15.7(8.11~18.8)。

アジア以外は、アフリカ14.6(4.2~21.8)、欧州11.1(4.2~22.6)、北米・中米14.4(4.2~19.5)、南米12.9(4.5~18.9)。

入学時年齢とポジションとの関連

2022年カタール大会参加選手のポジションは、ミッドフィールダーが32.8%、ディフェンダーが32.5%、フォワードが22.7%、ゴールキーパーが12.0%だった。

フォワードの選手のプロアカデミー入学時年齢は中央値12.4歳(4.5~22.6)であり、これはゴールキーパーの14.5歳(4.2~21.8)より有意に若年だった。ゴールキーパーと、ミッドフィールダー(13.1歳〈5.2~21.4〉)、ディフェンダー(13.3歳〈4.2~21.3〉)との間には有意差がなかった。

エリートアスリートとなる道筋は一つではない

著者によると本研究は、FIFAワールドカップに参加した全選手のプロサッカーアカデミーでプレーし始めた年齢を調べた初の研究だという。明らかになったポイントとして、以下のようにまとめられている。

  • ワールドカップ参加選手は、中央値13.2歳でプロサッカーアカデミーでのプレーを始めている。
  • 最も早い開始年齢と最も遅い開始年齢の差は18歳に及ぶ。このような大きな差の存在は、世界最高レベルのサッカー選手となるには、異なる道筋が存在していることを明示している。
  • 大陸ごとに開始年齢に違いがあった。サッカーが最も人気のあるスポーツであり、多数の若者が優れたリーグやクラブでプレーしている欧州では、ほとんどの代表チーム選手は12歳以前にプロアカデミーに入学している。他の大陸では、ほとんどの選手は12~15歳の間に入学している。
  • アフリカ諸国の選手の多数が欧州で生まれ育ったか、欧州でサッカーを学んでいる。例えば、ワールドカップで4位となったモロッコの選手26人のうち、15人は欧州で生まれ育っている。
  • プロアカデミー入学年齢はエリート選手となった後のポジションとは関係なく、フォワードとゴールキーパーの間に見られた有意差も、わずかなものだった。

結論は、「少なくとも、我々の調査結果は、プロサッカーアカデミーへ早期に入学することがFIFAワールドカップ出場のための必須条件ではないことを示しており、すべての国のサッカー選手たちを安堵させ得る」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「An early start at a professional soccer academy is no prerequisite for world cup soccer participation」。〔Front Sports Act Living. 2023 Nov 23:5:1283003〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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