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思春期の子どもの食事や運動などの生活習慣は、家族や友人との関係性で大きく変化する 米国横断研究

米国で2020~21年にかけて中学生を対象に実施された調査の結果、友人や家族と過ごす時間の長短が、食習慣や運動習慣に影響を及ぼしている可能性のあることが示された。著者によると、このような個人や社会との関連と健康行動の関係に焦点を当てた研究は、これまで成人で実施されてきており、思春期の子どもたちでの知見は限られていたとのことだ。

思春期の子どもの食事や運動などの生活習慣は、家族や友人との関係性で大きく変化する 米国横断研究

社会的統合と健康関連行動との関係は、子どもたちにも認められるか?

社会的統合とは、個人が社会の一員として存在するという感覚の重要性に着目した、社会科学的な概念で、近年ではこれが個人の健康にも関与していることが報告されている。例えば、身体活動量の多さにとって重要なのは、家族との関係よりも知人との関連の強さであるといった報告や、社会的統合が強い人は死亡リスクが低いといった報告がみられる。ただ、これまでのところこのような視点での研究は主として成人を対象に実施されており、子どもの健康的な習慣に社会的統合の強弱が関連しているのかは、よくわかっていない。

これを背景として、今回紹介する論文の著者らは、中学生を対象とする横断調査を実施した。

米国の中学生を対象に横断調査

対象は米国ミズーリ州カンザスシティにある公立中学校に在籍する、10~14歳の生徒76人。回答内容が不十分だった生徒3人を解析から除外して、73人(12.04±0.93歳、女子47%)の回答が解析された。

身体活動については国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)短縮版を用いて、過去7日間に行った身体活動の種類と時間を思い出してもらって回答を得た。食習慣については、やはり過去7日間に摂取した、野菜、果物、加糖飲料などの摂取頻度を質問した。また、睡眠の質について、過去7日間で就眠が困難と感じた回数を答えてもらい評価した。

これらのほかに、社会的統合の強弱について、過去7日間に友人および家族と過ごした時間を答えてもらい、その実数、および5段階のスコアで関係性の強さを判定した。

過去7日間で野菜や果物を摂取した生徒はどちらも6割

まず、全体的な傾向をみると、過去7日間での中~高強度身体活動(moderate to vigorous intensity physical activity;MVPA)を行った時間は286.40±307.19分であり、野菜・果物を摂取した割合はいずれも61%、炭酸飲料を摂取した割合は26%で、スポーツドリンクは16%が摂取し、睡眠困難を経験した割合は51%だった。

社会的統合については、家族と過ごした時間は11~20時間で5点満点の関係性スコアでの評価は4.26±1.21点、友人と過ごした時間は1~5時間で関係性スコアは2.02±1.12点だった。

野菜や果物を摂取した生徒は家族との関係性スコアが高い

次に果物・野菜・炭酸飲料・スポーツドリンクを、それぞれ摂取したか否かで二分したうえで、友人または家族と過ごした時間を比較。その結果、果物または野菜の摂取した生徒は、家族との関係性のスコアが高いことが明らかになった。詳細は以下のとおり。

過去7日間に果物を摂取した生徒は家族との関係性のスコアが4.44±1.03点、摂取しなかった群は4.00±1.41点で、前者が有意に高値(p=0.005)。友人との関係性のスコアは同順に2.34±1.25点、1.57±0.84点で、やはり前者のほうが高値ではあったが、群間差は有意水準未満だった(p=0.08)。

過去7日間に野菜を摂取した生徒は家族との関係性のスコアが4.49±1.07点、摂取しなかった群は3.87±1.39点で、前者が有意に高値(p=0.012)。友人との関係性のスコアは同順に2.12±1.17点、1.91±1.08点で群間差は非有意(p=0.68)。

なお、炭酸飲料やスポーツドリンクの摂取の有無で群分けして比較した結果は、家族および友人いずれの関係性スコアにも有意差はなかった。

友人との関係性のスコアが高い生徒は身体活動量が多い

続いて、家族および友人との関係性のスコアと、中~高強度身体活動(MVPA)にあてた時間との関連を検討。すると、友人との関係性のスコアの高さとMVPAにあてた時間の長さとの間に、有意な関連が認められた(β=0.33、p=0.02)。その一方で、家族との関係性のスコアは、MVPA時間との関連が非有意だった(p=0.94)。

このほかに検討された睡眠の質(入眠困難)については、家族および友人いずれの関係性スコアとも、有意な関連は認められなかった。

人生の早い段階で良好な健康習慣を身につける必要性

著者によると、本研究は思春期の子どもたちの身体活動、食習慣、睡眠に対する社会的統合との関連を検討した初の研究だという。また、思春期に形成され始める食習慣や身体活動習慣が成人期まで引き継がれやすく、その結果として死亡リスクにまで影響を及ぼす可能性があることから、人生の早い段階で非健康的な習慣に関連のある因子を特定し、修正する働きかけが必要だとしている。

ただし、サンプルサイズが小さいことや、評価指標の多くを客観的ではなく主観的な判断によって把握していること、研究期間が新型コロナウイルス感染症パンデミック中であったことなどの限界点があるため、追試が求められるとも述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Relationship Between Social Integration and Physical Activity, Diet, and Sleep Among Youths: Cross-sectional Survey Study」。〔JMIR Pediatr Parent. 2022 Nov 23;5(4):e40354〕
原文はこちら(JMIR Publications)

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