スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

中高年者の筋力維持にタウリンが寄与する可能性、一方で日本人のタウリン摂取量は減少傾向

中高年者の筋力維持にタウリンが寄与する可能性が報告された。しかし、その一方で日本人のタウリン摂取量は、魚介類の摂取源に伴い過去8年間で約2割減少していたという。大正製薬発行の2報のニュースリリースを紹介する。

中高年者の筋力維持にタウリンが寄与する可能性、一方で日本人のタウリン摂取量は減少傾向

中高年者の筋力維持にタウリンが寄与する可能性

背景

大正製薬では長年、タウリン関連の研究から多くの知見を発表してきている。最近では、コロナ禍で人々の身体活動量が低下した状況下での検討を行っている。

5月に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけが5類感染症に移行したことで、イベントや野外での活動などがパンデミック前の日常に戻りつつある。一方で、スポーツ庁の調査からは、65~79歳の高齢者の体力は2019年まで上昇傾向だったが、コロナ禍の2020年以降に低下したことが見て取れる。

研究成果

筋力とタウリン摂取に関して、高用量(1,000mg/日以上)のタウリンを短期的に摂取した際の影響を評価した研究は多い。一方、食事由来のタウリン摂取(平均100~300mg/日)の長期間にわたる筋力への影響については知見が少ない。そこで同社では今回、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが保有するデータを用いて、その関連を検討した。

40歳以上を対象に8年間の体力変化とタウリン推定摂取量の関係を評価したところ、タウリン推定摂取量が多い人ほど筋力を維持していることがわかった(図1)。

図1 40歳以上(1,154人)の膝伸展筋力変化量

40歳以上(1,154人)の膝伸展筋力変化量

(出典:大正製薬ニュースリリース)

また、65歳以上に限ると、タウリン推定摂取量が多い人は8年間における筋力低下が半分程度に抑制されていた(図2)。

図2 65歳以上(238人)の膝伸展筋力変化量

65歳以上(238人)の膝伸展筋力変化量

(出典:大正製薬ニュースリリース)

研究成果のまとめ

今回のデータ解析により、中高年者の筋力維持にタウリンが寄与する可能性が示唆された。食事由来のタウリンの多くは、魚介類から摂取されているため、人によっては摂取量が少なくなりがち。日々の運動とともに、積極的にタウリンを摂取することが、筋力維持のサポートになると期待される。

ニュースリリース

中高年者の筋力維持にタウリンが寄与する可能性を発見(大正製薬)

日本人のタウリン摂取量が魚介類の摂取減に伴い8年で約2割減

また同社は、日本人の中高年者の健康データを解析し、タウリンの食事からの摂取量の年次推移を初めて推定した。その結果、食事からの摂取量は8年(2002~04年調査時から、2010~12年調査時)で約2割減少していることがわかった

背景

上述の研究により、タウリンを約300mg╱日程度摂っている中高年者は、約100mg╱日程度の人に比べ脚の筋力を維持できていることがわかった。タウリンは魚介類に多く含まれているが、人間の体内にも体重の0.1%に相当する量が存在している※1。また、タウリンが、コレステロール低下、高血圧やメタボリックシンドロームの予防などに資する可能性を示唆されている※1、2

しかし、タウリンはビタミンやたんぱく質などのような、食品中の含量の公的な資料がない。よって日本人のタウリン摂取量の報告は少なく、その年次推移の報告はほとんどないのが現状。

これを背景として同社では、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが保有するデータを用いて、日本人の中高年者(40歳以上の男女)のタウリン摂取量の年次推移を推定した。

※1 厚生労働省e-ヘルスネット「タウリン」
※2 読んで効くタウリンのはなし(村上 茂監修、国際タウリン研究会日本部会編著、成山堂書店刊)

研究成果

食品からのタウリン摂取量を独自に推定した結果、300mg以上╱日の摂取者が減少し、約9割の中高年者は、目安とされる300mg╱日よりも摂取量が少ないことがわかった(図3)。

図3 中高年者の食事からのタウリン摂取量

中高年者の食事からのタウリン摂取量

(出典:大正製薬ニュースリリース)

また、食事からのタウリン摂取量の経時的変化をみると、8年間で約2割減っていることがわかった。平均摂取量も200mg未満╱日(2010~12年時点)まで減少していた(図4)。

図4 食事からのタウリン平均摂取量(推定値)の年次推移

食事からのタウリン平均摂取量(推定値)の年次推移

(出典:大正製薬ニュースリリース)

この解析では、食事からのタウリン摂取量のうち、7割以上が魚介類から摂られていた。その割合は8年間で減少しており、一方で、タウリン含量の少ない肉類からの摂取が増加していた(図5)。

図5 食事からのタウリン摂取量の内訳

食事からのタウリン摂取量の内訳

(出典:大正製薬ニュースリリース)

近年は、魚介類消費量の減少(図6)により、タウリン摂取量もさらに減少していると考えられる。

図6 魚介類摂取量の減少傾向

魚介類摂取量の減少傾向

(出典:大正製薬ニュースリリース)

研究成果のまとめ

今回の研究では、健康維持に重要な成分であるタウリンの摂取量の年次推移を日本人で初めて推定した。その結果、食事からの摂取量は8年で約2割減少しており、中高年者の約9割が300mg未満╱日である可能性が示された。普段の食事で不足分を補うためには、1日に1食程度、カキ、タコ、サンマなどの魚介類のメニューを食事に取り入れることで、約300mgのタウリン摂取が期待できる※2

ニュースリリース

日本人のタウリン摂取量の年次推移を初めて推定~魚介類の摂取減に伴い8年で約2割減少~(大正製薬)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ