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ニキビを食事でどこまで改善できる? 若者の幸福感に及ぼすニキビの影響などの調査結果

競技レベルにあるアスリートの年齢層では、ニキビが好発する。人によっては、ニキビが心理的ストレスとなることがある。また、ニキビの病状に食習慣の影響があるとされている。では、ニキビ患者はどの程度、食事に気を配り、どのような食事が良い、または悪いと考えているのだろうか。このような視点で行った調査の結果が、ポーランドから報告された。

ニキビを食事でどこまで改善できる? 若者の幸福感に及ぼすニキビの影響などの調査結果

ニキビ(尋常性ざ瘡)についてのオーバービュー

ニキビ(尋常性ざ瘡)は皮脂腺の障害であり、若年層の代表的な皮膚疾患の一つ。患者の85%は12~25歳で、性別による有病率の違いはないとされている。ただし、重度のニキビは男性に多い傾向がある。患者の15%程度を占める重度のニキビ患者では、医学的問題だけでなく、社会的・心理的な問題を伴うことがあり、自尊心の低下や深刻な場合は抑うつ感情を引き起こす。

一方、近年、さまざまな疾患の発症や治療反応性に、腸内細菌叢の組成や多様性が関与していることが明らかになり、ニキビとの関連も示され始めている。そのメカニズムとして、腸管粘膜のバリア機能の低下や、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mammalian target of rapamycin;mTOR)のシグナル伝達経路への作用などが想定されている。

いわゆる「欧米型」と呼ばれる食事スタイルは、ニキビの形成を促す可能性が指摘されている。欧米型の食事には、高エネルギー密度、グリセミックインデックス高値、飽和脂肪酸リッチなどの特徴があり、そのような食事スタイルの国ではニキビの有病率が高い。反対に、旧石器時代食(パレオダイエット)はニキビを抑制する可能性があり、パプアニューギニアやパラグアイの狩猟採集民族またはイヌイットではニキビが見られないとする報告がある。

ニキビの病状に影響を及ぼす可能性のある食事スタイルや、食事の重要性の認識の程度が、ニキビ患者の心理的幸福感と関連すると考えられるが、そのような視点での研究はこれまで実施されていなかった。

ニキビの症状と食事との関連、不安・うつレベルの相関を検討

この研究では、オンラインアンケート(回答者数948人)と、ポーランド南東部の皮膚科クリニックを受診したニキビ患者に対する紙ベースのアンケート(同381人)を統合して解析が行われた。適格条件は、35歳未満で現在または過去にニキビと診断されたことがあり、他の皮膚疾患(乾癬、伝染性膿痂疹、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など)の症状が重複していないこと。オンラインアンケートの告知はFacebookとInstagramが用いられた。

不安やうつ症状の評価には、HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)というスケールを用いた。HADSは当初、入院患者を対象とする評価指標として開発されたものだが、現在は外来患者や疫学調査にも広く用いられている。0~7点は正常、8~10点は境界域、11~14点は中等度、15~21点は重度の不安・うつ状態と判定される。

調査回答者のニキビの症状

調査に回答した合計1,329人は女性が72.4%を占めていた。最初にニキビの問題と自覚した年齢は15.3歳で、女性のほうがやや若年だが有意差はなかった。症状の発現部位(複数回答可)は顔が99%で、胸が34.8%、肩や背中が26.6%であり、顔以外の症状は女性に多く、性別間に有意差がみられた。

5段階の自己評価に基づく重症度は、軽症(1~2点)が9%、中等症(3~4点)が77%、重症(5点)が14%だった。

ニキビと不安・抑うつの関係

HADSスコアの分析で、女性患者の57%、男性患者の22.5%に中等度の不安がみられ、同順に5%、3.5%に重度の不安が認められた。抑うつに関しては、同順に24%、22%に中等度の抑うつ、2%、3%に重度の抑うつがみられた。不安レベルは女性のほうが有意に高く、抑うつレベルは有意差がなかった。

女性患者の4分の3強、男性患者の3分の2が、ニキビのせいで自分に魅力を感じなくなったと回答した。女性患者は男性よりも心理的な不快感が有意に強く、病変を隠すためにメイクを多用していた。一方、男性患者は身体活動に関連する不快感を上げる割合が有意に高かった。皮膚科を受診した割合は女性のほうが有意に高かった。

痛みを伴う皮膚病変を訴える患者は4分の1であり、中等度の不安のある女性患者、抑うつレベルが重度の男性患者で、その割合が高かった。女性の3分の2弱と男性の20%が、家族や友人とともに感情を共有することが難しいと感じ、女性の70%と男性の67%が、ニキビによる日常生活や精神的または身体的な負担に関連する怒りを経験していた。

次に、食習慣との関連の解析結果についてみていこう。

ニキビに“良くない”または“効く”食べ物

ニキビに“良くない”食品として、女性患者からはファストフード(56%)、チョコレート(56%)、スパイス(46%)、塩(35.6%)、牛乳(38.7%)などが挙げられた。男性患者からは、塩辛いスナック(72.9%)、スパイス(67%)、プロテインシェイク(30%)、牛乳(21.6%)などが挙げられた。回答者全体で50%がそれらの食品を避け、その結果、その回答者の3分の2が症状が軽快または消失したとしていた。

ニキビの重症度は、それらの食品を控えるという行動に有意な関連があり(r=0.79)、その行動の継続期間は症状の改善と有意に関連し(r=0.81)、さらに心理的幸福度の高さとも関連していた(r=0.76)。また、不安レベルの高い患者ほど、食事と症状の関連についての確信が強く、グリセミックインデックスの高い食品を避けていた。

ニキビ患者への栄養介入の可能性

その他の解析結果とあわせて、論文の結論は以下のようにまとめられている。

  • ニキビは、患者の幸福感に影響を与え、その低下は社会的な障壁と捉えられ相互に働き、抑うつを引き起こすことがある。
  • 大多数の患者が顔の症状を気にしており、自分の魅力の損失と捉えている。
  • 不安レベルの高い患者は、ニキビの悪化に対する食事要因の役割をより強く認識しており、抑うつレベルは、スナック、甘味飲料、グリセミックインデクスの高い食品の摂取と相関していた。
  • ニキビ治療中に12カ月以上、それらの食品の除去を遵守した患者は、皮膚病変が改善したとする割合が高かった。一方で、調査対象者の半数以上は、それらの食品の除去の遵守が困難と感じていた。
  • 牛乳・乳製品の摂取量は、男性患者と中等度~重度の抑うつ症状のある患者で高かった。
  • 回答者の約50%が、乳酸桿菌またはビフィズス菌株を含むプロバイオティクスサプリメントによって、ニキビ症状が緩和すると考えていた。

著者らはこれらの結果に基づき、「医療従事者は、適切な食事がニキビの治療効果を高め、治療後の再発リスクを抑制することについて、信頼性の高い情報を患者に提供する必要がある。ニキビ患者のための栄養相談によって、患者の知識を向上させ、症状に影響を及ぼすと捉えられている食品の除去の遵守のサポートが可能になる」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Impact of Common Acne on the Well-Being of Young People Aged 15–35 Years and the Influence of Nutrition Knowledge and Diet on Acne Development」。〔Nutrients. 2022 Dec 13;14(24):5293〕
原文はこちら(MDPI)

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