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ビタミンDの健康アウトカムに関するエビデンス 観察研究とRCTのレビュー

ビタミンDの機能性については古くから知られている骨代謝への影響に加え、近年、さまざまな疾患リスクに関連のある可能性が報告されるようになった。それにもかかわらず一連の研究に一貫性がないことがしばしば指摘される。このような状況を総括したレビュー論文を紹介する。著者らによると、観察研究では有用性が認められるものの、無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)ではそれが否定される傾向があるとし、その背景の考察も加えている。

ビタミンD代謝物、遊離型ビタミンDのレベルがアスリートの身体能力と有意に関連

イントロダクション

今年はビタミンDという栄養素が命名されてからちょうど100年目にあたり、PubMedには現在、約10万件のビタミンD関連論文が収載されている。それらのうち、20世紀に発表された研究は大半が骨格系疾患との関連をテーマにしたものだ。2000年ごろからはビタミンDの骨格系以外への機能性がトピックとなり多くの研究報告がなされるようになった。

ただし、骨代謝以外への影響については、依然かなりの混乱が残っている。これは主として、観察研究の結果と無作為化比較試験(RCT)の結果と不一致に起因する。一般に観察研究では、血清25(OH)D濃度と健康転帰との間に逆相関があると報告される。それに対してRCTでは一般に、ビタミンD摂取による有意な健康上のメリットは示されないことが多い。しかし、ビタミンDのRCTの解釈にはいくつかの制限がある。

例えば、ビタミンDの独特の代謝を考慮していなかったり、対象者のベースラインの25(OH)D値が低くない研究であったり、投与量が比較的少なかったりすることがある。さらに比較対照群に割り当てられた参加者が、試験とは別のビタミンD源を持っていることがあり、介入中の25(OH)Dレベルの変化を把握せず単にベースライン値とアウトカムとの関連を評価していることが多い。

本論文の著者はこのような認識に立ち、現時点のエビデンスを疾患別(上気道感染症、COVID-19、高血圧、2型糖尿病、心血管疾患、癌、自己免疫疾患、アルツハイマー病・認知症、大うつ病性障害、全死亡、および妊娠・出産)に、ナラティブレビューとして総括している。30ページ以上の情報の中から、一部を抜粋する。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)

2022年6月16日の時点で、pubmedで「ビタミンD、COVID-19」を検索すると、2,100件を超える論文がヒットする。複数の観察研究で、ビタミンDサプリメント使用者のSARS-CoV2感染およびCOVID-19重症化リスクの低いことが示されている。72件の観察研究のメタ解析でも、ビタミンDの欠乏または不足がCOVID-19罹患と重症化の高さとの関連が確認された。一方でビタミンDの摂取は、COVID-19罹患率に独立した関連がないとする報告もある。

ただし、現在パンデミックが進行中のCOVID-19関連では、ワクチンのブースター接種についてもRCTではなく観察研究に基づいて接種が推奨されている。COVID-19に対するビタミンD摂取の有用性について今日までに最終的な結論を引き出すことはできていないが、このような状況を勘案すべきだろう。

心血管疾患

ビタミンDが心血管疾患リスクを軽減するメカニズムはよく理解されている。メタ解析からは、ビタミンDレベルとメタボリックシンドロームや肥満、BMI、脂質異常症、血圧、インスリン抵抗性、および血糖異常リスクとの逆相関が報告されている。またビタミンDがアテローム性動脈硬化症の進行における重要な因子である炎症を抑制することも示されている。

癌についても観察研究では有用性が認められるとする報告がみられるのに対して、RCTはネガティブなものが多い。その理由として、介入により達成された25(OH)D値ではなく、ビタミンDの投与量に基づいて解析されていること、研究参加書の25(OH)Dレベルが全体的に高く、有意差を得られにくい研究が多いことなどが推測される。ただ、発癌リスクへの影響は非有意であっても、死亡率に対してはビタミンD摂取の有用性を示した研究も報告されている。

全死亡

前向き観察研究のメタ解析から、血清25(OH)Dレベルは全死亡リスクと逆相関することが報告されている。あるメタ解析では、25(OH)Dが20ng/mL未満の場合に死亡率との有意な逆相関があることが示された。このカットオフ値が30ng/mLだとするメタ解析の報告もある。

論文の結論では、観察研究の限界とこれまで行われてきたビタミンD関連RCTの問題点を改めて整理したうえで、ビタミンDが健康アウトカムに影響を及ぼすメカニズムの研究の必要性も指摘。「ビタミンDがいくつかの健康アウトカムへの悪影響を軽減するメカニズムを知ることは、欠乏症の問題を理解するための基本であり、今後のビタミンD関連の研究では計画時点でメカニズムの考察という視点を常に考慮すべき」と述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Comparing the Evidence from Observational Studies and Randomized Controlled Trials for Nonskeletal Health Effects of Vitamin D」。〔Nutrients. 2022 Sep 15;14(18):3811〕
原文はこちら(MDPI)

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