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思春期サッカー選手への短期間の栄養教育の効果は? 二つの方法での検討

思春期のサッカー選手に対する、短期間の栄養介入は有効とする研究結果が報告された。炭水化物や水分の摂取量増加などが認められ、回復や健康状態の主観的な評価も向上したという。ポーランドからの報告。

思春期サッカー選手への短期間の栄養教育の効果は? 二つの方法での検討

思春期アスリートの栄養教育をどうするか

思春期には成長と発達のために十分な栄養素が必要となる。それに加えてスポーツを行っている場合、トレーニング等による栄養ニーズも加わる。栄養素摂取量が十分でない場合、成長の遅延、トレーニング後の回復の遅延、怪我や健康リスクの上昇、パフォーマンス向上の制限などが生じる。思春期には成長の個人差が大きいことや、トレーニング量の差もあることから、個別化した栄養介入が重要とされる。

一方、思春期アスリートの多くがサプリメントを利用している。ただし、推奨される食事パターンを遵守している限り、大半のケースでは思春期アスリートにサプリメントは必要でないと考えられている。

今回紹介する論文は、このように多くの課題のある思春期のアスリートに対する栄養教育の介入効果を、栄養に関する個別化された推奨事項を示すだけの場合と、それに加えてグループ単位での教育を行う場合とで検討した研究の報告。

平均15歳のサッカー思春期アスリートを2群に分けて教育介入

研究の対象は、ポーランドのサッカー教室に参加している12~17歳(平均年齢15歳)の50人。慢性疾患を有する者や外傷治療中の者は除外されている。

無作為に2群に分け、1群(20人)には選手ごとに個別化された推奨事項を手渡した。他の1群にも推奨事項を手渡し、そのうえでグループでの栄養教育を実施。11週後と17週後に食事調査などの追跡調査を行った。

食事の評価には、「(非)健康的食事指数-14(Non-Healthy-Diet-Index-14;nHDI-14)という指標を用いた。これは、摂取が推奨される食品(全粒穀物やそれを使ったパン、パスタ、果物、野菜、乳製品、魚、豆など)と、控えることが推奨される食品(精製穀物、ファーストフード、バター、ラード、加工肉、加糖飲料など)の施主頻度を基に、100点満点でスコア化する指標。

研究参加者の特徴、食事摂取習慣

研究参加者のサッカーでのポジションは、ミッドフィールダー(41%)とディフェンダー(31%)が多くを占めていた。7割は両親と同居していて、平日の平均ワークアウト時間は45~90分が57%、90~120分以上が43%、週末は45~90分が56%。

89%は毎日朝食を欠かさず、昼食は学校で食べている者が83%であり、約4人に1人(24%)は何らかの食事スタイル・療法を実践していて、10%は高タンパク食、7%はラクトース除去食だった。

短期の介入でも実効性があることが示される

グループ指導群では炭水化物の摂取量が増え、非健康的な食品は減る

介入から追跡調査の間に両群各2人が脱落し、解析はグループ指導群28人、推奨のみ群18人で行われた。グループ指導を行った群では、易消化性炭水化物の摂取量が266gから273g、食物繊維は19.7gから22.2gに増加し、スクロースは44.0gから39.2gに減少した。

nHDI-14のスコアについては、グループ指導群では健康的な食品のスコアは上昇したものの変化量は有意でなかった。その一方で、非健康的な食品のスコアは有意に低下していた。推奨のみ群ではそれとは反対に、健康的な食品のスコアが有意に上昇し、非健康的な食品のスコアは有意な変化がなかった。

サプリメント利用率は83%だが介入で変化。水分摂取量も増加

サプリメントの利用率は83%だった。そのうち、その利用を医師の勧めに基づいて行っていたのはわずか5%だった。最も多用されていたのはビタミンDであり72%が利用し、続いてプロテインサプリが54%であり、ビタミンC、ビタミンB群、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄などのビタミン・ミネラルが続いた。教育介入によって、タンパク質サプリの利用率は低下し(11週目30%、17週目20%)、マルチビタミン・ミネラルの利用率は上昇した(同順に41%、48%)。

また、11週目と17週目に水分摂取量の増加が観察された。当初は1日2L以上摂取していたのは両群で33%だったが、その割合が最終的には15パーセントポイント以上上昇していた。

主観的評価への介入の影響

ベースライン時に、自分が適切な食事を摂っていると考えていたのは41%だった(グループ指導群50%、推奨のみ群28%)。介入によりその割合は増加し、11週目では70%(同順に64%、78%)、17週目には83%(86%、78%)に及んだ。また、栄養に関する知識の自己評価も経過とともに上昇していた。

食事の変更によって自分の体に生じた変化については、「回復が速くなった」は11週目に26%、17週目には41%が肯定。「健康状態が改善した」も同順に24%、26%が肯定した。

これらの結果をもとに著者らは、「思春期のサッカー選手に対する短期間の介入は肯定的な結果をもたらした。しかし、思春期アスリートの栄養に関する今後のアプローチの方向性としては、保護者とコーチも巻き込んだ長期的な食事改善計画の実践であろう」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Dietary Intervention and Education on Selected Biochemical Parameters and Nutritional Habits of Young Soccer Players」。〔Nutrients. 2022 Sep 6;14(18):3681〕
原文はこちら(MDPI)

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