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習慣的に摂取している加糖飲料を低・ノンカロリー飲料に替えるとBMI上昇か オランダで成人8万人、4年間の縦断研究

8万人近くの一般成人を中央値4年間追跡し、加糖飲料や低カロリー飲料・ノンカロリー飲料、またはフルーツジュースの摂取量と、体重やウエスト周囲長の変化、および過体重・肥満、腹部肥満の罹患率との関連を調査した結果がオランダから報告された。低カロリー・ノンカロリー飲料では、摂取量が多いほど体重関連指標が悪化し、フルーツジュースについては150mL/日未満の場合、良い影響が認められたとのことだ。

習慣的に摂取している加糖飲料を低・ノンカロリー飲料に替えるとBMI上昇か オランダで成人8万人、4年間の縦断研究

大規模で長期間の観察研究から加糖飲料などの摂取の影響を探る

1975年から2016年の間に、世界の成人の肥満者数は1億人から6億7,100万人に増加した。肥満の増加の一因として、加糖飲料の摂取が古くから指摘されている。そのため、人工甘味料を用いることなどにより低カロリーまたはノンカロリーとした飲料が普及してきた。

これまでに、加糖飲料(sugar-sweetened beverage;SSB)や低またはノンカロリー飲料(low/no-calorie beverages;LNCB)の摂取と体重との関連については複数の無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)がなされてきているが、結果に一貫性がなく、LNCBでBMIの上昇を示した研究もある。このような現状の背景として本論文の著者らは、RCTやそのメタ解析は、エビデンスレベルが最も高い研究と位置付けられているが、通常、サンプル数が限られており介入期間も長くないという特性があることを指摘。一方で観察研究は、介入効果を判断するという目的ではエビデンスレベルが低いものの、大規模なサンプルサイズで長期間追跡できるというメリットがあると述べている。

そこで著者らは、オランダの一般住民対象に行われている大規模な疫学研究のデータを用いて、SSB、LNCB、およびフルーツジュースの摂取の体重関連指標への長期的な影響を、縦断的に解析した。

研究デザインと解析対象者の特徴

この研究は、オランダ北部の小児、成人、高齢者という3世代が登録されている一般住民対象の学際的な前向きコホート研究「ライフラインコホート研究(Lifelines Cohort Study)」のデータを用いて行われた。同コホート研究は2006~13年に参加登録が行われ、30年以上追跡する計画。このコホート研究の登録者のうち成人は15万2,728人で、そのうち今回の研究に必要なデータの欠落がない、7万8,286人を解析の対象とした。追跡期間は1~9年の範囲であり、中央値は4年だった。

ライフラインコホート研究では半定量的な110項目の質問からなる食物摂取頻度調査(food frequency questionnaire;FFQ)が行われており、加糖飲料(SSB)、低またはノンカロリー飲料(LNCB)、フルーツジュースの摂取量を1サービング(約150mL)単位で把握している。また、体重関連の指標としては、体重、BMI、ウエスト周囲長、および、過体重・肥満(BMI25以上)、腹部肥満の有病率が検討されている。腹部肥満の判定は世界保健機関(world health organization;WHO)の基準に則して、男性は94cm、女性は80cmをカットオフ値とした。

その他、共変量として、年齢、性別、飲酒・喫煙・運動習慣、教育歴、糖尿病・心血管疾患・高血圧・高コレステロール血症の既往を把握した。また食事関連の変数として、摂取エネルギー量のほかに、肉・乳製品・豆類・野菜・ナッツ・果物・ジャガイモ・脂質・穀物・紅茶・コーヒーの摂取量を共変量として加えた。

ベースライン時にBMI25以上の群は追跡中に体重減少

解析対象者7万8,286人は、ベースライン時点で45.9±12.7歳で、女性が59.6%、BMIは26.0±4.2だった。

中央値4年の追跡期間中に、体重は0.02±1.58kg/年、ウエスト周囲長0.01±2.04cm/年の速度で増加した。ベースラインのBMIで二分すると、基準範囲内だった群(普通体重群.全体の45%)では追跡中に体重とウエスト周囲長が増加し(0.21±1.20kg/年,0.10±1.88cm/年)、BMI25以上の群(過体重・肥満群)では反対に低下していた(-0.13±1.82kg/年,-0.07±2.15cm/年)。また、過体重・肥満群ではベースライン時に「体重を減らしたい」と考えている割合が高かった(普通体重群が29%であるのに対して79%)。

SSB、LNCB、フルーツジュース摂取量との関連

加糖飲料(SSB)、低またはノンカロリー飲料(LNCB)、フルーツジュースの摂取量と体重関連指標との関係の解析結果について、論文では前述の共変量のうち、採用する調整因子を変えた四つのモデルの結果を示しているが、ここではすべての共変量を調整因子に加えたモデルでの結果のみを紹介する。

ベースラインでの普通体重群3万5,202人のうち4,884人(13.9%)に、追跡中の過体重・肥満の発生がみられ、ベースラインでウエスト周囲長がカットオフ値未満だった群3万1,292人のうち6,896人(22.0%)に腹部肥満の発生がみられた。

普通体重群での過体重・肥満、腹部肥満の発生率比

加糖飲料(SSB)の摂取は過体重・肥満の発生とのみ有意な関連があり、低またはノンカロリー飲料(LNCB)は過体重・肥満および腹部肥満の双方の発生と有意な関連が認められ、フルーツジュースは腹部肥満の発生とのみ有意な関連が認められた。

発生率比(incidence proportion ratios;IPR)は以下のとおり。

SSBの摂取量が1日に1サービング(約150mL)多いごとに、過体重・肥満の発生率比(IPR)が1.03(95%CI;1.00~1.06)、腹部肥満のIPRは1.02(0.99~1.05)。LNCBは過体重・肥満のIPR1.08(1.06~1.11)、腹部肥満は1.05(95%CI;1.02~1.06)。フルーツジュースは過体重・肥満が1.00(0.96~1.04)、腹部肥満は1.03(1.00~1.07)。

摂取量との用量反応関係

次に、SSB、LNCB、フルーツジュースの摂取量と過体重・肥満および腹部肥満の用量反応関係を検討。その結果、SSBでは1日2サービング超で過体重・肥満が有意に増加、LNCBは1サービング以下であっても過体重・肥満と腹部肥満の双方が有意に増加することがわかった。一方、フルーツジュースは1日1サービング以下の場合に、過体重・肥満のリスクが11%有意に低かった。

有意性が認められた発生率比(IPR)は以下のとおり。

SSBの摂取量が1日に2サービング超の場合、全く飲まない人を基準とする過体重・肥満のIPRが1.16(95%CI;1.04~1.26)。LNCBの摂取量が1サービング以下で過体重・肥満のIPRが1.06(1.01~1.11)、腹部肥満が1.06(1.02~1.10)、1~2サービングで過体重・肥満が1.18(1.10~1.26)、腹部肥満が1.12(1.05~1.19)、2サービング超で過体重・肥満が1.26(1.13~1.38)、腹部肥満が1.13(1.02~1.25)。フルーツジュースの摂取量が1サービング以下で過体重・肥満のIPRが0.89(0.83~0.95)。

なお、ここまでに示した結果は、感度分析のために、ベースラインで「体重を減らしたい」との希望を有していた人を除外した検討、および疾患有病者を除外した検討でも、基本的に同様の結果だった。

SSBをLNCBに変更すると過体重・肥満が増え、LNCBを水に替えると減少する

続いて、摂取している飲料を1サービング分、ほかの飲料に変更した場合の影響を検討した。その結果、SSBをLNCBに変更すると過体重・肥満が有意に増え、LNCBを水に替えると過体重・肥満が有意に減少することがわかった。SSBをフルーツジュースまたは水に変更した場合は、過体重・肥満への有意な影響はないと推測された。また、腹部肥満に対しては、いずれの変更も有意な影響がないと推測された。

発生率比(IPR)に有意な影響が生じると推測された組み合わせは以下のとおり。

1サービングのSSBをLNCBに置き換えた場合、過体重・肥満のIPRが1.06(95%CI;1.02~1.10)。1サービングのLNCBを水に置き換えた場合、過体重・肥満のIPRが0.91(0.86~0.97)。

以上より論文の結論は、「加糖飲料と低カロリーまたはノンカロリー飲料の習慣的な摂取が体重関連指標に悪影響を与える可能性のあることが示された。対照的に、適度な量(1日150mL以下)のフルーツジュースの摂取は、体重とウエスト周囲長の抑制にメリットがあるのではないか」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Dose-Response and Substitution Analyzes of Sweet Beverage Consumption and Body Weight in Dutch Adults: The Lifelines Cohort Study」。〔Front Nutr. 2022 Jun 24;9:889042〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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